「琉球 美の宝庫」展 感想

 2018年にサントリー美術館で開催されていた「琉球 美の宝庫」展の記録です。

 一番感動したのは玉冠ぎょくかん
「表面を黒縮緬ちりめんで覆い、帯状の金糸が縫い付けられ、各筋には金、銀、珊瑚さんご、水晶、瑪瑙めのう琥珀こはく、軟玉の7種類の玉が金のびょうでとめられている」
(展示横の説明文より引用)

(軟玉:硬度が比較的低い玉の一。緑閃石りょくせんせきまたは透閃石とうせんせきからなり、古くから飾り石や工芸品に用いられた。「デジタル大辞泉」より)

 豪華でありながら上品。
 こんな宝石の飾り方があるのかと感心した。
 特に朱色っぽい珊瑚の赤と、黒い布の組み合わせにうっとりする。

 着物の布地も色鮮やかで美しかった。
 王族の少年が着用していたと思われる、芭蕉布の夏物ひとえ
 紅花で緋色に染められている。
 芭蕉は大きな葉を持つ植物で、この茎の繊維から糸を紡いで織るそうだ。

 桐板トゥンビャンという布もあり、これは虎尾蘭とらおらんの繊維で織るとのこと。
 苧麻ちょまという草の繊維で作る宮古上布もあった。
 どちらも薄く、暑くても気持ちよく着られそうだ。

 映画「メットガラ ドレスをまとった美術館」を見て、西洋のデザイナーは中国と日本の文化をごちゃ混ぜにしていると、少々呆れた。
 しかし琉球文化を見ると、中国と日本の文化は分断しておらず、連続しているのだと感じる。

 絵画の中に描かれている「針突はじち」も興味深かった。
 琉球の女性が指や手の甲などに施していたという入れ墨。
 やはり入れ墨が重要な、ポリネシア文化とのつながりを思った(勝手に思っただけで実際に起源が同じかは不明です)

 華やかさという意味でも、他文化との交流という意味でも、開放的な印象を持った。
 日本に琉球文化があるのは本当に幸せなことだなぁ、と感じる展示でした。