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音楽の海

「どうして邦楽では和音があまり発達しなかったのだろう」
 と音大に行った後輩に尋ねたところ、
「建築です。音がよく響く石造りの建物の方が、和音の魅力を出しやすいですから」
 との答え。なるほど。日本家屋は音が壁に吸い込まれちゃうもんなー

 その代わり邦楽で何が発達したかというと「間」だと思う。
「どんな音を出したか」
 より、
「その音を出すまでに、どんな風にためらったか」
 が重視される。

 ためらいのない演奏は情緒がない。あんまりやり過ぎるとクサくなる。絶妙な「ためらい=間」が音楽を形作ってゆく。

 「間」を意識すると、西洋の音楽も違って聴こえるようになる。上手い演奏家ほど繊細にためらう。何となく好きだった演奏の、どこが良いかがはっきり分かる喜び。

 逆に和音に注目して邦楽を聴いても面白いかもしれない。最近私が気になっているのが雅楽だ。雅楽に使われる笙とパイプオルガンは同族の楽器と見なされるそうですよ。確かに似てる。

 色んなジャンルの音楽を味わうと、その広さ深さにうっとりしますね。