特別展「深海2017~最深研究でせまる”生命”と”地球”~」感想
2017年に上野の国立科学博物館で開催されていた深海展の記録です。
まず入口近くの「水圧でつぶれたカップ麺の容器」が面白かった。くしゃっとなるのではなく、そのままの形で縮んでいる。
10000メートルの深さまで行き、高さが1/3くらいになっても、商品名(ブタメン)が読める。全面に均等に圧力がかかるのがよく分かる。
深海の生物の「発光」に焦点を当てた映像展示は、どれもこれも、
「CG? アニメ?」
と目をぱちぱちしてしまうほど美しく、現実感がない。会場内で流れている久石譲のミニマル・ミュージックがよく合っていた。
最も幻想的に感じたのはムラサキカムリクラゲ。無数の光点が円を描いて高速で移動する。
ホタルイカも体中の小さな点が光っていることが分かり驚いた。ふだんは光ってないやつに柚子こしょう付けて食べちゃうだけだから。
チョウチンアンコウの標本はグロテスクだけど、ラスボスではなく初級ステージのボスっぽい。
深海生物がどのように栄養を摂取しているかの展示では、ミツクリザメが興味深かった。獲物を捕る時に、あごが飛び出て伸びるのだ。
「可愛い顔して! 一瞬や!!」
と関西の女の子が感想を述べていた。
サルパという透明な生き物の映像が綺麗で、標本を見てみたら、小さい。大きめのしらすくらいだろうか。何しろ体が透明でよく見えないのだ……
メタンや硫化水素をエネルギー源とする「化学合成生態系」の解説に興奮した。光合成を土台とする我々のものとは別の、生態ピラミッド。深海の湧き水に含まれる物質を使って微生物が有機物を作り出し、それを食べる動物が集まる。
このあたり、もっと詳しく勉強してみたい。「よく知られているものとは違うやり方・可能性」に、私は強く惹かれる。
ショップでは、オオグソクムシを練り込んだせんべいを売っていた。
午後3時過ぎに会場に入り、出たのは6時近く。美と知を求める気持ちが同時に満たされる良い展示でした♪