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富山県立大学×GEOTRA×KDDIセミナー『防災・まちづくり人流データ活用術~災害発生時のデータから学ぶ~』 セミナーレポート(24/10/23開催)
はじめに
こんにちは!GEOTRAインターン生の筒井です。
今回は、10月23日に開催した富山県立大学×GEOTRA×KDDIのWebセミナーの概要をご紹介します。
本セミナーでは、地震発生時の課題解決に向け、人流データ活用した研究を進めている富山県立大学 久加朋子氏にご登壇いただき、現時点での研究成果についてお話いただきました。
また、KDDIが推進するロケーションテック、GEOTRAの人流データ活用事例について紹介しました。
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第1部
「KDDIグループが推進するデータソリューション 防災・まちづくりのためのデータ活用」 KDDI株式会社 石橋様
KDDIのデータを活用した戦略として、KDDIの事業を通じて集積されるデータを活用したDXビジネスの拡大を行っています。
そのうちの1つとして、人流データをご紹介します。
人流データを用いることで、人の行動を可視化でき、施策の立案や効果検証をすることが可能になります。
ユースケースとしては、交通ルートの最適化や防災計画、施設・エリアの動線の見直しなどに活用されています。また、個人が特定されない形でデータを使用するため、安心して活用することができます。
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出典:KDDI資料より引用
KDDI Location Analyzer を活用した分析
KDDIの保有する位置情報ビックデータを活用した人流分析サービス「KDDI Location Analyzer」は、国内居住者・訪日外国人の人流を分析・可視化するサービスを提供しています。
導入事例として、以下が挙げられます。
北広島市、JR北広島駅及び北海道ボールパークFビレッジ周辺地区の交通戦略を策定
愛知県警、高齢者の通行量や動態を把握して交通事故抑止対策に活用
日本たばこ産業(JT)、人流データを用いた喫煙所付近の動態把握に活用
自治体・民間企業、業種を問わず様々なシーンで活用されています。
第2部
「令和6年能登半島地震発生後における富山沿岸域の状況と避難経路の考察」
富山県立大学 久加様
富山県立大学では、令和6年能登半島地震発生後における富山沿岸域の状況と避難経路の考察において、KDDIの人流データを活用した検討を行いました。
今回は検討内容の一部をご紹介します。
令和6年能登半島地震における富山沿岸域の避難状況
2024年1月1日 16時10分ごろ、石川県能登地方(深さ16キロ) 震源のマグニチュード7.6の地震が発生しました。
富山沿岸域は2m以下の低平地が続き、高層住宅が殆どなく、高齢者が多いという地域特性があり、それらを考慮した避難方法を考えることが重要でした。
また、地震発生が1月1日であり、地域住民でない人も多く滞在していたことや、低平地が続いており、低平地の中でもどこに逃げるのかが重要となったことから、土地勘の有無によって避難経路が異なったという特徴が見られました。さらに、自動車による渋滞も発生しました。
このような特徴を踏まえ、地震発生時の富山沿岸域の人流データを考察することで、実際に人がどのように避難していたのか可視化し、地震発生時の避難行動の把握と適切な避難行動について検討を行いました。
KDDI Location Analyzer(以下、KLA)で、2024/1/1と2023/1/1の新湊地区・放生津地区、岩瀬地区における人流データ(徒歩と自動車)を取得し、比較を行いました。自動車については、2人で1台利用と換算して台数を推定しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1731911517-AaTeiF0sb5kCrVnhgSE8Wo71.png?width=1200)
出典:富山県立大学様資料より引用
高岡伏木・新湊地区~国道8号線における人流データ
地震後は、南北方向沿いの車の移動が増加したことがデータによって明らかとなりました。
特に、標高のより低い東側に車が集中していたことからは、土地勘のない来訪者がお正月で多かったことが原因として考えられます。
一方、南北道路でも庄川堤防沿いの経路は比較的利用されていませんでした。
以下の図は徒歩による人流データを表しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1731992122-BYsmCIe6VKR05blZOXPwp7St.png?width=1200)
出典:富山県立大学様資料より引用
地震発生後、徒歩で避難している人も比較的多かったことが明らかになりました。一方で、沿岸域は住民が少ないので可視化されない可能性があり、人流データだけでは不明な点もあるため、アンケートも併用して確認する必要があります。
岩瀬地区~国道8号線における人流データ
データ分析により地震後は、南北方向沿いの車の移動が増加したことが判明しました。
比較的標高が高く、津波の到達範囲外の地域で避難する必要のない住民も、車で避難を行っていたことから、車での移動量が多く渋滞していた可能性が高いことが明らかとなっています。
また、「川に近づかないでください」というアナウンスの影響から、神通川堤防の利用はほぼなかったことがわかりました。
徒歩による人流データも、以下の図ように自動車と同様の結果が見られています。
![](https://assets.st-note.com/img/1731992190-wS1rEIBcqDiHZV2ouLgMbx6G.png)
出典:富山県立大学様資料より引用
比較的標高が高く、津波の到達範囲外の地域においても移動量が多いことがわかり、避難する必要のない地域住民も避難を行っていたことが明らかとなりました。
ハザード想定(検討中)について
津波高に伴う氾濫想定を検討しています。以下のイメージ図における対象地域は庄川沿岸域です。
津波の高さによって、氾濫規模も変化することから、データによって、津波の高さに伴う氾濫想定を行うことを検討しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1731992240-69lRQ1qtwnJm2ACGHjpLhfMT.png)
出典:富山県立大学様資料より引用
これまでの検討
現時点での検討内容は以下となっています。
1.人流データを用い、能登半島地震の際における富山沿岸域(新湊・放生津地区)の人の移動を可視化。
2.被災時の体感と同じく、車での避難市民は低平地側へと多数が移動していることを数値上からも再確認。庄川堤防を利用した短時間での標高の高い場所への避難数は限られていた。
3.徒歩での避難は比較的多く確認された。津波ハザードマップで危険エリア外に位置する住民の避難も多数確認された。
4.住民の少ない地域では人流データで拾いきれない避難行動があることが確認された。アンケートを用いた補足を行う。土地勘のある住民とない住民との行動差が大きい可能性。
5.津波の高さと氾濫域との比較と人流データを組み合わせた検討を行う。
第3部
「安全・安心なまちづくりに向けたGEOTRAの人流データ・シミュレーション」
GEOTRA株式会社 樋田
防災領域における人流データ活用・シミュレーション事例
能登地震では、建物倒壊や道路・上下水道施設といったインフラにおいて甚大な被害が発生し、道路復旧におけるさまざまな課題が指摘されました。
そうした道路復旧の課題への一つの対応策として、交通シミュレーションの重要性が増しています。
その際に人流データを用いることで、より素早く、様々な条件下でのシミュレーションが可能となります。
GEOTRAの防災対策における実際の取り組み事例を紹介します。
活用事例(1/4) 建物倒壊時の避難シミュレーション
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出典:当社資料より引用
大学との共同研究において、地震発生時の建物倒壊状況のシミュレーション結果と人流データを掛け合わせることにより、避難所までの避難シミュレーション等、地震発生時のより詳細なシナリオを想定した再現が可能となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1731992481-8OB263fFVv1CJn4mcT7D9ZWe.png?width=1200)
出典:当社資料より引用
GEOTRAでは、対象者が避難所に集まる想定で、道路ネットワーク・各道路のキャパシティを踏まえた人流シミュレーションモデルを作成し、避難経路や避難時の交通量を可視化しました。
データで仮想の人流を用いて、1人1人の移動時間や距離を明らかにすることで、避難中のボトルネックや、2時間以上かかった避難、避難時の交通量を可視化することができます。
活用事例(3/4) 通行止め道路の復旧シミュレーション
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出典:当社資料より引用
また、清水建設様等と協働で、人流データ・シミュレーションを基に、災害で通行止めとなった道路復旧の優先順位評価や、事前に設定した避難経路の可視化等、被害を最小限に留めるための取り組みを実施しました。
そこで実際に復旧された道路と、分析で示された優先順位の上位は一致していたことが明らかとなりました。
ビッグデータを使って、どの道路を優先的に復旧すべきかを分析することで、より早く、被害を少なく復旧することができます。
防災対策分野における人流データを用いた活用・ご連携については、お気軽にGEOTRAへご相談ください。
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございました。
本セミナーでは、富山県立大学 久加朋子氏にご登壇いただき、能登半島地震発生後における富山沿岸域の状況と避難経路の考察において、KDDIの人流データを活用した検討事例についてお話いただきました。
また、KDDIが推進するロケーションテック、GEOTRAの人流データ活用事例について紹介しました。
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GEOTRAでは、独自の個人情報保護技術により、人々の動きや行動目的などが高粒度に可視化された人流データ、GEOTRA Activity Dataをご提供しています。更に人流データのご提供に留まらず位置情報データ全般に関する利活用促進のためのご支援を行っております。
また、GEOTRAは、まちづくり領域の計画・調査・データ分析に関わる方の成功を支援するための会員制コミュニティ「INCITY」を開始しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1732244377-BoDFEs68KNXWnagIVpH4qile.png?width=1200)
INCITY Membership にご登録いただいた方には、今回の勉強会のような人流データ活用に関するイベントや、会員限定のコンテンツが見られるMembership Siteにご招待します。
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【「INCITY」詳細ページはこちら▶ https://www.geotra.jp/incity 】
〇具体的な活動(抜粋)
【勉強会・限定イベント(INCITY Meetup)】
まちづくり×データ活用をテーマに、会員限定の勉強会・イベント「INCITY Meetup」を企画しています。都市工学や交通工学などの有識者、自治体やデベロッパーなど、まちづくりの実務者が登壇し、現場の知見や専門性、具体的な事例に基づいた情報発信を行っています。
【セミナーアーカイブ】
過去のセミナーの動画や資料をアーカイブとして提供しています。建設コンサルタントや自治体・民間企業などまちづくりに関わる人流データの活用事例や技術動向をテーマとした講演をご覧いただけます。
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GEOTRAが提供する高粒度な人流データに関する技術資料、データ仕様に関するコンテンツをご用意しています。
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