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海外事例研究|POSシステムを活用した飲食店のマーケティング戦略


はじめに

GEOTRAインターン生の筒井です。
 
競争が激しいレストラン業界では、売上を伸ばし、顧客を引き付けるための革新的な手法を見つけることが成功の鍵となります。
 
その中で特に効果的なツールの一つが「POS(Point of Sales)システム」です。
POSシステムは、注文管理や支払い処理を中心に設計されていますが、売上向上のためのマーケティングツールとしても多くの機能を備えています。
 
本記事では、Toast社(米国)のPOSシステムを活用した飲食店のマーケティング戦略事例について詳しく解説します。

Toast社について

Toast社は、レストラン業界向けに特化したクラウドベースのソフトウェアおよびハードウェアソリューションを提供する米国企業です。
2011年に設立され、マサチューセッツ州ボストンを拠点としています。
 
POSシステム、在庫管理、オンライン注文、配達、顧客ロイヤルティプログラム、給与管理など、多岐にわたる機能を一つのプラットフォームで統合しています。
 
Toast社の紹介動画▼

Toast POSシステムについて

Toast POSシステムは、レストラン業界向けに特化したクラウドベースのPOSシステムで、注文管理、支払い処理、データ分析、顧客エンゲージメントを一元化してサポートします。
 
この他にも、テイクアウトやデリバリー、メールマーケティングなどの機能も付いており、Uber EatsやDoorDashといったデリバリーサービスを通した注文を自動で反映するオプショナルプランもあります。
 
Toast POS システムを使用する最大の利点の1つは、顧客データを収集して分析できることです。
システムを通じて処理されるすべての取引を介して、顧客の購入習慣、好きな料理、平均支出額など、顧客に関する情報を集積することができます。

図1:Toast POSシステムの紹介イメージ
出典: Toast公式HP

Toast POSの主な機能

1.顧客データの収集と分析

個人に最適化されたプロモーション
購入履歴や顧客行動データを収集し、パーソナライズされたプロモーションを実現します。
過去の購入履歴に基づき顧客の好みに合った料理の提案や割引を提供したり、常連客への特別オファーや、記念日の特別プログラムなどを送信したりすることができます。
 
顧客セグメンテーション
顧客ベースを、頻繁に食事をする顧客、高額の買い物をする顧客、たまに訪れる顧客など、さまざまなグループに分けます。
各セグメントに固有のマーケティングキャンペーンを作成して、効果を最大化します。

図2:顧客セグメント毎に合わせたEメールを送信
出典:Toast公式HP

2.リアルタイムレポート

売上傾向
売上傾向を分析して、ピーク時間、人気メニュー、季節パターンを特定します。この情報を使用して、メニューとスタッフ配置を最適化します。

図3:Toast POSシステムを活用した売上分析
出典:Toast公式HP
図4:地域毎の各商品の売上分析
出典:Toast公式HP

在庫管理
在庫切れを防ぎ、無駄を減らすために、在庫レベルをリアルタイムで追跡します。
効果的な在庫管理を実装することで、コストを節約し、収益性を高めることができます。

図5:売上、在庫、コストのデータ
出典:Toast公式HP

従業員のパフォーマンス
従業員のパフォーマンスを分析して、優秀な従業員と改善の余地のある領域を特定します。
優秀な従業員を評価して報酬を与え、士気と生産性を高めます。

図6:Toast POSシステムから集積された従業員ごとの売上データ
出典:Toast公式HP

3.オンライン注文と配達

収集した顧客データに基づき、検索エンジンに個人に合ったメニュー、配送、プロモーションを提案します。

例えば、常連客がお気に入りのメニューを簡単かつ迅速に頼めるように画面の一番上に表示させたり、ポイントプログラムのオファーを支払金額に応じて表示させたりします。

図7:オンライン注文画面。顧客の消費行動によって表示される画面が異なる。
出典:Toast公式HP

4.ロイヤルティプログラム

ポイントベースのシステム
顧客が購入ごとにポイントを獲得できるポイントベースのシステムを設定します。
これらのポイントは、割引、無料商品、または特別オファーと引き換えることができます。

階層型報酬
顧客の支出レベルに基づいて階層型報酬を作成します。例えば、特定の支出マイルストーンに到達した場合に、より高い報酬を提供します。

図8:顧客に応じたリワークプログラムのオファー
出典:Toast公式HP

5.KDS (Kitchen Display System)

Toastのキッチンディスプレイシステムは、キッチン業務の効率化に特化したデジタルツールです。
 
リアルタイム注文管理: オーダーがPOSシステムからキッチンに即座に表示されるため、迅速な対応が可能。
作業効率向上: オーダーの優先順位や待ち時間を画面で管理でき、スタッフの混乱を軽減。
エラー削減: 手書きや口頭での伝達ミスが減り、正確な料理提供が可能。
分析機能: 調理時間や注文傾向のデータ分析で業務改善に役立つ。

図9:キッチンディスプレイシステム使用イメージ
出典:Toast公式HP

導入事例:Captain Parker's Pub

Toast POSシステムの導入により業務効率化や売上向上を実現した企業の事例をご紹介します。
 
導入背景
Captain Parker's Pub(米国)は顧客エンゲージメントを高め、リピーターを増やすためToastのシステムを導入。
 
施策
来店促進のため割引や無料アイテムの特典を提供するリワードプログラムを開始。
オフシーズン中には、顧客に毎月ニュースレターを送信し、顧客のエンゲージメント向上を促進。
また、業務効率化として、Toast POS、オンライン注文、キッチンディスプレイシステムを活用し、注文管理と調理の流れを改善。
 
結果
2週間で250人以上がリワードプログラムに登録し、リピーターが増加
運営効率が向上し、顧客満足度が改善。パンデミック下でも安定した営業を実現。

詳細は、こちらの記事から!

このように、Toast POSシステムによって集積されたデータを活用し、マーケティングに役立てることで、店舗運営や売上向上、在庫管理などを効率的かつ効果的に行うことができます。

本邦での取り組み

本邦でもPOSシステムを飲食店のマーケティングに活用する取り組みが広がっています。
 
株式会社ダイニーは、「“飲食”をもっと楽しくおもしろく。」をミッションに掲げ、飲食店の売上アップに貢献する「ダイニーPOSレジ」「ダイニーモバイルオーダー」「ダイニー顧客管理」等のサービスを提供しています。
 
「ダイニーPOS」レジでは、POSレジを通して得たデータを活用し、「曜日や時間帯別の売上分析」「各種売上分析」「商品のABC分析」などの多様な集計・分析が可能です。

図10:ダイニーPOSレジを活用した売上分析画面
出典:ダイニー公式HP

また、「ダイニー顧客管理」では、モバイルオーダーで自動獲得したLINE友だちに、「顧客属性」や「来店履歴」「喫食情報」に基づいたメッセージを配信し、リピーター創出を促しています。
顧客アンケートの自動取得もでき、「QSCのスコア化」「ランキングによる他店比較」「改善コメントの閲覧」も可能であり、顧客満足度向上に向けた具体的な対策へと繋がります。
 
株式会社ダイニーの取り組みを受け、本邦でもPOSシステムを活用した取り組みが今後更に加速していくことが期待されます。

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。
 
本記事では、Toast社(米国)のPOSシステムを活用した飲食店のマーケティング戦略事例についてご紹介しました。
 
当社のnoteでは、他にもデータドリブンな経営戦略の事例を掲載しています。興味のある方は是非ご覧ください。
 
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