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『NPO支援組織の生成と発展』を読んで

ボランタリーネイバーズが2025年度の中期計画を策定するにあたり、「NPO支援組織」をどう捉えるべきか、そのヒントを求めてこの本を手に取りました。アリスセンターの成り立ち、発展、そして終焉までの流れを学ぶ中で、多くの示唆を得ることができました。以下、特に印象に残ったポイントを挙げます。


1. 地域性がもたらす違い

愛知と神奈川の違いは非常に興味深い点でした。神奈川では市民運動や生協のメンバー、さらには政治との関わりが、組織の立ち上げ方や支援のあり方に影響を与えています。この地域的な特性がNPO支援組織の発展・展開にどのように影響するのか、考えさせられました。


2. NPO法人化と役員の入れ替わり

NPO法人化の過程で、従来の任意団体時代の役員を引き継がなかった点が印象的でした。また、「同じ人が長く続けるのは良くない」との考えから、1期2年の任期制限を設けたことも、組織運営に影響を与えたと感じます。このような役員の入れ替わりは、組織の新陳代謝として意義がある一方、継続性にどのような影響を及ぼしたのか、さらに掘り下げて考えたいと思いました。


3. 委託事業・公設民営の市民活動センターを受託するか

中間支援組織は財源の確保が困難であるという課題があります。他地域のNPO支援組織が公設民営の市民活動センターを受託した一方、アリスセンターはこれを選択しませんでした。この選択が、財源の安定や人材確保の面で大きな分岐点となったと考えられます。


4. 組織構造の特徴:有識者理事と専従職員

設立当初から専従職員を置いていたものの、行政委託事業が減少し、新たな事業の必要性に迫られる中、有識者理事と1人の専従職員(および非常勤スタッフ)という構造は、運営を継続するには厳しい体制だったと感じます。中間支援組織は、さまざまな分野に関わる業務や関係者との調整が必要で、業務が定型化しづらいという特徴があります。このような背景を踏まえ、人材の入れ替わりを前提にした体制構築と育成の重要性を強く感じました。


5. JSPS科研費を活用した調査研究

科研費を活用して調査研究を行ったことが本書の末尾で触れられていました。学術的視点からNPOを分析するために科研費を活用した取り組みは非常に意義深く、他のNPO支援組織でも行い、比較検討してほしいと思いました。


最後に

『NPO支援組織の生成と発展』を通じて、地域性や法人化、財源の多様性といった課題を再認識しました。この学びを生かし、組織運営の改善に取り組みたいと考えています。また、この本をテーマに読書会を開催し、多様な視点を共有できる場が作れればと思います。



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