ショートショートを書くゲーム「じゃれ本」で遊ぶ

文責:cosh

こんにちは、coshです。今回、リレーでショートショートを書くゲーム「じゃれ本」で遊んでみました。

ルール説明

①タイトルを決める
(i)    10個の名詞をリストアップ
(ii)   (i)のうち1つを選び、それから思いつく言葉を5個リストアップ
(iii)  (i)と(ii)から1つずつ選び、組み合わせてタイトルにする

②1回当たり2分(調節可能)で文章を書き、次の人に回す。
このとき、見ることができるのはタイトルと前の人が書いた文章だけです。

②を8回繰り返す。

③成果物を鑑賞する。

タイトルと前の人が書いたものしか見られないというのがポイントですね。このルールのおかげで(せいで)物語の流れがめちゃくちゃになったり、設定が生まれたり消えたりします。

ルール通りに進行するだけで、参加者数の物語が出来るという、素晴らしいゲームです。

参加者

・cosh
この記事の著者。ハイパボリックコサインではなく、コッシュ。

・KEY
キラーパスはキラーパスで返す。

・T
文章創作力がなさすぎる。困った。

1回目

今回は1ターン2分で行います。まずはタイトル決めから。

KEY「よし、できた。さわれない時計
cosh「おお、いいじゃん」
KEY「こんな感じでいいやろ」

cosh「程よい奴ができた。上品な密室
T「なんだそれは」
T「書き出し困りそうだな」

T「なんか普通の奴になってしまった。分厚い教科書

タイトルが出そろいました。それでは、さっそく書いていきましょう。

~執筆中の反応~
「書けね~」「2分って短い」
内容が破壊されているんだが」「おい!そうはならんやろ」
「収拾つくのかよこれ」
「ちょっと待って収拾つかない 助けてください」
「全部突飛な話やったな」「3回ごとに話変わりすぎて怖いんだよね」

やってみればわかるのですが、本当に時間が短いです。2分ではほとんど何も伝えることができません。ストーリー展開などまともに作れるはずもなく...

「上品な密室」

それでは発表しましょう。まずは「上品な密室」から。

真島は知らない部屋で目を覚ました。やたらと寝心地が良いベットだったのか、快適に起きることが出来たようだ。彼は辺りを見回すと、気が付いた。やたらと家具が重厚なのだ。彼は中流階級の出身で、このような部屋は見たことがなかった。 (cosh)

するとどこかからか彼の名前を呼ぶ声がした.彼は不気味に思ったが,その声のする方向に歩き出した.声はますます大きくなり, (T)

彼は思わず身震いした。恐怖に耐えながら彼が進んでいくと、扉があった。声は扉の向こうから聞こえているらしい。意を決して扉を叩くと、なにかに叩き返された。 (KEY)

ドアの向こうに呼びかけてみる。
「あなたは一体誰なんですか?」
するとドアの向こうから返事が聞こえる。
「おや、忘れてしまったのかい?なんと悲しいことだ...。」
しかし、彼はその声に聞き覚えはなかった。そのことを伝えると、ドアの向こうからいきなり叫び声と物が崩れるような音が聞こえ (cosh)

た.あっという間に屋敷は跡形もなく壊れてしまい,彼は広大な空き地に取り残されてしまった.声の主は実は彼の (T)

恋人”だったもの”であった。彼女は彼を呼び続け、生前住んでいた屋敷で彼とともに暮らすことを夢見ていたのだ。しかし、彼の裏切りによって、彼女は自らその命を絶った。彼女が (KEY)

死の直前、彼の名前を恨めしそうに呼び続けていたというのは有名な話だった。
「そうか...お前だったのか...」
男はそう言うと、自分の部屋に走った。そう、彼の部屋には武器が置いてあるのだ。彼は冷酷にも、彼の恋人だった (cosh)

綾香を亡くしてしまったのだ.もうあの人は戻ってこない.彼は後悔に包まれ,一人立ち尽くしていた. (T)

~反応~
「主人公の名前消えちゃった」「真島っていうのか」「え、屋敷壊れるの!?」「屋敷が壊れたらダメだろ」「設定が壊れた」「屋敷と共に文脈も壊れてしまったってことですか」

めちゃくちゃでしたね。舞台ごと破壊する大技には圧倒されました。そこに注目が向いてしまい、誰もホラー展開になろうとしたことに触れなくなってしまいました。

さわれない時計

次は「さわれない時計」です。

秒針が回る。男は思考を巡らせる。彼の冷たい表情には、その熱く煮えたぎる思考はまったく表れていない。数分の後、彼は突然立ち上がって叫んだ。
(KEY)

「分かるわけないだろ!ふざけるなよ!何で俺がこんな目に会わなきゃいけないんだ!」
男は、苛立って床を蹴りつけた。そして男は懐から手帳を取り出した。
「こんな無理難題、解決できるわけがないだろう!」 (cosh)

「まあ,怒っていても何も始まらないからな.」男はなんとか落ち着きを取り戻し,コーヒーの入ったカップを片手に自身の置かれた状況についてもう一度かんがえなおしてみることにした. (T)

そもそも彼は自分がどうしてこんな目に合うのか理解できなかった。彼は普段から信心深くはなかったが、自分の不幸が天命によるものなのかと疑ったりもした。しかしいずれにせよ、彼は一人で自分の問題を片付けなくてはならなかった。 (KEY)

あの時計に辿り着くこと、それが彼が救われる唯一の方法だった。しかし、一体鉄の壁の反対側にある時計にどうやって向かえば良いのだろう。男が途方に暮れていると、突然、足元から声がした。 (cosh)

「あそこへ行きたいのかい?私に任せなさい」どこからともなく仙人が現れ,あの時計に向かう真っ直ぐな橋を掛け始めたのだ.男は礼を言い,急いで足を進めた. (T)

秒針が回る。男は時計の前へと進み出て、鋭い針をつかもうとしたが、その手は空を切った。まもなく12時を指してしまう。男は焦った。自分よりも遥かに高い (KEY)

その文字盤に、手が届かない。男は思い出した。そうだ!台があったはずだ。あれに乗れば、きっとあの時計にも触れることができる!そう思い、台に乗って手を再度伸ばした、その瞬間、レーザーが彼の手を焼いた。そうだ。その時計は、何者であっても触れることは出来なかったのである。 (cosh)

~反応~
「情緒が安定しない」「急に落ち着きを取り戻すの怖い」「仙人が下から来ることってあるんだ」「鉄の壁のどこに橋を架けられるんだ」「タイトル回収してるけどさ」「収拾がついているって言っていいのかな」

他のと比べるとまだ安定しているような気がします。「情緒が不安定すぎる人」や、「足元から現れる仙人」「脈絡なく現れるレーザー」など、いくつか無茶ポイントはありましたが、ましな方です。


分厚い教科書

1回目の最後は、「分厚い教科書」です。

我が家にはいつからあるのかすら分からない古びた分厚い本がある.普段は誰も手に取ることはないのだが,何かの拍子にその本が妙に気になってしまうことがある.その本は教科書であり,題名は (T)

火星気象学入門」である。この題名から察するに、火星における気象現象を扱った本なのだろうが、それにしては分厚い。人類が火星に直接行ったこともないのに、火星の天気など誰が気にするのだろうか? (KEY)

その答えは明らかだ。火星人だ。火星の天気を気にするのは火星人に違いない。当然の帰結だ。我々地球人類は昨年月に訪れた火星人と交流を果たすことに成功した。未だ人類は火星には辿り着いていないものの、外からやってきた文明について学ぶこと (cosh)

に今は熱心になっている.彼らの言語は良く分からないが,この一年間で火星人は我々よりもはるかに進んだ技術を手に入れていることがわかったのだ. (T)

火星人の存在と、地球人類に対する優越性が明らかになったとき、人々の間には不安が広がった。火星人は人類に対して友好的に振る舞うのだろうか?SF小説は飛ぶように売れ、シェルターに引きこもるものも多く現れた。あるものは火星人を崇拝する儀式まで行い、その歓心を買おうとした。 (KEY)

しかし、実際の火星人を目にした人は、それらを馬鹿馬鹿しい、と切り捨てた。火星人は高度な技術力は持っていたものの、地球人類に対しては非常に友好的であり、困ることといえば、ただジョークがつまらない、というだけであった。火星人との交流会は全世界に放映されたが、あまりのつまらなさに (cosh)

途中で参加者の9割は会場を去っていった.もう彼らに用はない,と誰もが思ったその時だ.会場の奥から (T)

ジャーナリストのような男が現れて叫び、会場は騒然となった。「戦争が始まった!」その戦争は、人類の起こした最後の戦争になった。 (KEY)

~反応~
「火星って言ったのが間違いかもしれない」「反語に答えるなよ」「いきなりSFになった」「欠点ジョークかよ」「急に戦争始まった」「意味は分からないけどオチはついた」「ジョークがつまらなさすぎて戦争が起こったっていうこと?」「人類がジョークの面白さで二分される時代」「火星人との交流会って現地で行われたんだな」

今見返すと、「言葉が通じない」という設定と「ジョークがつまらない」という設定が完全に矛盾していますね。誰かが急速にハンドルを切り出す、というのはこのゲームではよくあることです。

1回目を終えて

cosh「ということで、やってみたわけだけど、もう一回やる?」
KEY, T「いいね」
cosh「じゃあ今度はジャンル決めてやってみる?」

ということで、2回目は「1ターン2分半」で、「ジャンルはファンタジー」にすることが決まりました。

KEY「剣と魔法の世界にしよう」
cosh「ファンタジーといってもいろいろあるからね。明るいファンタジーからダークファンタジーまであるし」
T「いや~ファンタジーか...」

2回目

2回目のタイトル決めです。

T「およそファンタジーとは思えないようなタイトルになりそう」

KEY「タイトルが出来ました!」
T「早くない?」
KEY「恐怖のメガネ
cosh「めっちゃ怖い、眼鏡をかけた人の話かもしれない」
KEY「メガネに何らかの異常性があるって想定よ」

cosh「できました!環状線の歯磨き粉
T「ファンタジー?」
KEY「ファンタジーとは」
cosh「乱数使ったら環状線が出ちゃって」

T「あーできた。邪悪なグラフ
cosh, KEY「ファンタジー?」
T「そもそもグラフがどっちかのグラフかっていう話はある」

~執筆中の反応~
「2分半ってちょうどいいかもしれない」
「コラ~~~!!!」「〇すぞ~~~~!!」
「は?何がどうなってるの」「え、状況がつかめない」
「キラーパスがひどすぎる」「ずっとキラーパスが飛んでくる人がいるんだけど」「え?誰のことですか?」

(※今回の参加者の間ではなぜか「やばいクレーマーの某ラーメンYoutuber」が今更流行っています。擦り続けています。)

恐怖のメガネ

それでは発表に移りましょう。最初は「恐怖のメガネ」です。

この世界には古くからの言い伝えがある.世界のどこかに一つだけ不思議な眼鏡があって,それを掛けた人は1つだけ好きな願いが叶うのだという.誰もがその眼鏡を見つけたいと願っている. (T)

私の村からも何人も、その眼鏡を探そうとするものが現れた。しかし、彼らは皆、たった3年程度しか旅に出ていなかったにも関わらず、村に戻ってくるころには30歳は老けた姿で帰ってくるのだ。80歳の村の長老が探しに行った結果、信じられないほど老けこんで帰ってきたのには驚いた。私は見たことがないが、あれが110歳相当の見た目なのだろうか...。 (cosh)

最初は、そんな眼鏡を手に入れたいとは全く思わなかった。しかし、眼鏡を探しに行き、老いてしまった人たちの話を聞くたびに、自分も旅に出て眼鏡を探しに行きたいと思いはじめた。妻子を置いて旅に出るのはとても心苦しかったが、 (KEY)

事情を話すと二人ともすんなりと納得してくれた.「その眼鏡を見つけたら,お前たちの願いをなんでも叶えてやろう.」僕はそう約束して,終わりの見えない旅に出てしまった. (T)

外の世界は、知らないことばかりだった!活気にあふれた市場、夜になっても眠らない街、沢山の人!どれもこれも、僕が過ごしていたところでは体験出来ないことばかりだった。最初は、ただの物珍しさから、その中に身を置いていただけだったんだ。それがだんだんと居心地が良くなっていって、5年もたった日には、僕は、街で有名なギャングの一員 (cosh)

になっていた。ギャングと言うと聞こえが悪いかもしれないが、僕には僕なりの正義があって、ちょっと非合法な手段でその正義を貫いていただけだ。ギャングになってから3年すると、初めて部下を持つことができた。新しい生活は僕をすっかり変えてしまって、元いた村のことなど完全に忘れてしまっていた。それから10年が過ぎたある日、 (KEY)

自分の事務所に一人の若者がやってきた.とても礼儀正しい好青年だったが, (T)

その顔には、奇妙な造形の眼鏡をかけており、その手には、ナイフが握られていた。
「これが、僕の使命なんだ!」
そう叫ぶと、男はナイフを僕の手に握らせ、そしてその柄で彼の眼鏡のレンズを割った。その瞬間、私の頭の中のもやが晴れた。そうだ、私は、この眼鏡を探さなければいけなかったのに...。私は、膝から崩れ落ちた。 (cosh)



何???????????

伏線が回収されないまま大量に残った小説を読んだ気分になりました。恐怖のメガネって何だったんだ。青年って誰なんだ。主人公に何が起こってたんだよ。

~反応~
「ギャング!?」「おい主人公」「予想外の展開過ぎて何も書けなかった」「急展開すぎる」「なんとかまとめようという努力は感じる」「どういうこと?」「ギャングはやりすぎた」「2人飛ばすととんでもないことになっている場合とそうではない場合がある」

やりすぎました。

環状線の歯磨き粉

さて、来ました。異常タイトルです。本当にファンタジー?

彼の日課は、環状線を回ること。早朝に起き、歯を磨き、家を出て散歩に出る。昼前には家に帰ってくる。いつもと変わらない日常。しかし、この日は何かが違っているような気がした。 (KEY)

環状線の形がいつもと違う,そんな気がしてならない.どこかが歪んでいるのだろうか.だが,さらに恐ろしいことに,ある一点で切れている.その場所は  (T)

ちょうど山沿いだった。山沿いに線路が走っているのだから、歪んだとしたら山肌にぶつかっている可能性も考えられる。そこで、支度を整えて調査に向かうことにした。
線路沿いに歩くこと数日、問題の場所に辿り着いた。すると、なんと、山にはいつの間にかトンネルがほられていて、線路はその中を通っていたのだ。信じられない。一体誰がこんなトンネルを?私はトンネルの中を歩いた。トンネルを抜けると、 (cosh)

そこは雪国であった。雪など降らない土地に住んでいたから、ひどく凍えてしまった。おかしい。山の向こうはこんな場所ではなかったし、そもそも今は夏だ。何か羽織るものはないかとカバンを探してみたが、歯磨き粉しか入っていなかった。 (KEY)

歯磨き粉だけでどうしたらいいんだ.僕は途方に暮れてしまった.このままでは命が危ういと思い食料を探しに行くことにした.その時だ.なんとその歯磨き粉 (T)

がいきなり七色に発光しだした。そうか、これは、最近噂に聞く、ゲーミングっていうことなのか!?歯磨き粉は、僕に語りかけてくる。
「私があなたの口内衛生を守りますよ。ゲームで忙しいあなたのお役に立ちます!」
しかし、僕はゲームはしないし、何より今は食糧を探さなければいけないときなのだ。無用の長物とはおさらばだ。 (cosh)

歯磨き粉を放り投げて道を進もうとすると、七色の光を放ちながら歯磨き粉が叫んだ。
「私を置いていくんですか?虫歯になっても知りませんよ!」
「そんなことを言われても、食べるものがないんだから、虫歯になんてなりはしないよ。」
思わず歯磨き粉にまじめに返事をしてしまったが、我に返っておかしくなって吹き出した。 (KEY)

その瞬間,僕の歯という歯が痛み出した.それも立っていられないくらい.意識が遠のいていく.遠くで歯磨き粉の声が聞こえるが,私にはもうその内容を把握する力は残っていない (T)



本当に何?????????????

怪文書を読んだような気分になってしまいました。不条理が度を越しています。

~反応~
「環状線ってそんなに短かったの?」「トンネルが偶然振りになってしまった」「あれって振りのつもりじゃなかったのか」「コラ~~~~~!!!」「急に光らないでもらえますかね」「最後は何があったんだよ」「雪国と発光が戦犯」

(※今回の参加者の間ではなぜか「やばいクレーマーの某ラーメンYoutuber」が今更流行っています。擦り続けています。)

邪悪なグラフ

さて、今回の記事の最後の作品です。
(※グラフ理論を知らない方は一旦読み飛ばして、おまけの「『邪悪なグラフ』を読むために必要なグラフ理論の知識」を先に読んでください。)

私は夢の中で、ずっと紙に向かってペンを走らせていた。そう、グラフを描いていたのだ。無心でただ頂点を描き、頂点を辺で結んでいた。このグラフが一体何を意味するのかなど全く分からなかった。ただ、何故か、起きてすぐにそれを書き留めずにはいられなかった。周辺部は再現できなかったものの、大まかに再現された結果、それは、1メートル四方ほどの大きさになっていた。 (cosh)

壁に書いたグラフの意味を改めて考えてみたが、やっぱりよく分からない。とりあえず家を出て仕事に行った。その日は友達の一人が出勤しなかったことを除けば、特に何も変わらない一日だった。家に帰って、グラフを見ると、何かがおかしい。よく見てみると頂点が一つ減っている。 (KEY)

その頂点から出ている辺もすべてなくなっている.これは一体どういうことなのだろうか.気になって夜も眠れない.考え続けて3時間が立ったころ,あることに気が付いた.なんとこのグラフの頂点数は僕と同じ部署で働いている人の数と一致しているのだ. (T)

つまり、私の部署で働いている人間1人に、何かが起こったに違いない。出勤後、私は同僚に、最近この部署で変わったことがなかったか、と尋ねた。
「変わったことか...いや、この部署は変わったことばかりだっていうのは、君が一番良く知っているだろう」
そうだ。昨日はドラゴンの交通事故の処理をしたし、その前の日はぬいぐるみの暴走を止めるために奔走した。この部署ではいつも (cosh)

おかしなことばかり起こっている。しかし、私が感じた嫌な予感は、腕に魚の鱗が生えたあのときよりももっと強かった。家に戻ってまたグラフを見ていると、不意に辺の一つに触ってしまった。とっさに手を離したが、その辺は消えてしまっていた。すると、中心の赤い頂点から、消えた辺を経由してつながっていたいくつかの頂点も消えてしまった。嫌な予感が強まった。 (KEY)

このグラフは人の運命を支配しているのではないか...!そうだ,これを使えばこの世界は自分のものにできるんだ.私は急いでパソコンを立ち上げ,グラフを操作するためのプログラムを書き始めた. (T)

全ての辺を削除し、私から全人類へと有向辺をつないだ。これで、私の立場は絶対的な物となる。全人類は私を経由しないと互いに関係を結ぶことが出来ないのだ。私の存在は世界にとって必要不可欠なものとなるだろう。愚かなことに、私は真剣にそう思っていた。 (cosh)

次の日、グラフを見ると無数の新しい辺ができていた。そうか、人は一人では生きられない。たとえ全ての人が他人との関係性を失ったとしても、生きている限り新しい関係性は絶えず生まれるのだ。そのことに気づいて、私は自分の愚かさに恥じ入り、勇気を出して、中心の赤い頂点を消した。 (KEY)



あれ....

普通に良い!

普通に良いものが出来てしまいました。
落ちがスッキリしていて、良いショートショートを読んだ後のような爽快感があります。たまにこういった良作が生まれるのも面白いです。そういえば、どことなく状況設定が魔法ファンタジー物っぽくないですか?

~反応~
「良作だ」「落ちが気持ちいいね」「構造がしっかりしてる」「途中での些細なおふざけが全て印象から消えた」「あのおふざけは、まあ、ファンタジー要素よ」

まとめ

皆で苦しみながら文章を紡いでいく、というのはなかなか楽しかったです。設定が繋がっても繋がらなくても発表の時に盛り上がれるのが良いですね。非常にお手軽なゲームです。
皆様もやってみてはいかがでしょうか?



おまけ - 「邪悪なグラフ」を読むために必要なグラフ理論の知識

おまけです。

皆様は、グラフというと何を思い浮かべますか?グラフ理論を知らない方が思い浮かべるグラフは図1のように、軸が複数あり、複数の数の関係や、複数の数の組からなるデータをプロットしたものを想像することでしょう。

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しかし、実はそれとは別の「グラフ」が存在するのです。それは、下のように、点と線を用いて、ものごと同士の関係を表現したものです。

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例えば、頂点(点のこと)に人を割り当て、知り合いである2つの頂点を辺(線のこと)で結ぶことにすると、次のグラフは、

・AとBは知り合いであり、BとCは知り合いである。
・DとEは知り合いである。
・Fには知り合いがいない。

という状態を表しています。

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また、辺に向きを考えることもできます。例えば、頂点にゲーム大会の参加者を割り当て、勝者から敗者に向かって有向辺(向きの有る辺)を結ぶとすると、次のグラフは、

・AはCとEに勝った。
・BはCとFに負けた。
・DはEに勝ったがFには負けた。
・EはFに勝った。

という状態を表しています。

画像2

今回の「邪悪なグラフ」では、頂点を人間として、辺を人間関係として考えています。また、有向辺で支配関係を表してい (るつもりで書いてい) ます。

ここまでわかれば、きっとあなたも「邪悪なグラフ」が理解できるはず!
(画像を作るのが面倒で放置していたらT君が作ってくれました。感謝)

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