
展示紹介: 岡本直浩 個展「桃と樟 ーmomo&kusuー」ギャラリーマルヒ 7月 15日ー 23日
ギャラリーマルヒ 岡本直浩 個展「桃と樟 ーmomo&kusuー」が開催されています。
岡本直浩 個展「桃と樟 ーmomo&kusuー」
ギャラリーマルヒ企画
会期:2023年7月 15日(土)ー 23日(日)
時間:12:00〜18:00
休廊:無し 入場無料

岡本さんは、東京芸大出身の木彫の作家ですが、山梨で桃の農家をなさっています。そのためでしょうか、桃を育てるために樹を慈しむ日常の営みが、その作品にも現れている様です。
美術というものは、素材を利用しながらイメージを表現するものではあります。ですから、木彫においては、木材というのは、極端に言えば道具でしかありません。
ただ、双樹のこのクニでは、木に対する独特な信仰があると思います。仏像などでは、木の中にあるイメージを掘り出すだけだと説明する仏師もいます。
作品において、作者のイメージが先行するのか、木の存在が先行するのかその二つの間のどこかに作者は位置しています。
実際には、木材というのは、本来、自然の中で生きていた存在ですから、思い通りになるものではないです。ですから、木彫では、どこか、木と対話し続ける、そういう要素があります。ですから、日本の作家は、そのことに小さくない意味を見出したりもするのでしょう。

木が憑依したともいえる、作家が、本当に稀に存在すると思います。僕の知るところでは、佐々木誠さんなどは、そのような作家だと思います。
岡本直浩さんは、桃を育てながら、樹を世話してくわけです。ですから、枝を伸ばし、葉をつけて、花を咲かせ、実をつける。その日々の中で、桃の木の枝や葉をより分けながら作業をする。
その生きた木との対話が、作品によく現れています。

手にする枝、葉、そして、その向こうにある、樹木の精神、そして何もない空洞。でも、この空洞の中にこそ、日々の営みの空間であり、営みが継続した時があり、そこにこそ木との対話があるのでしょう。
これは、まるでヨーロッパの教会建築の中に潜んでいるケルトの要素でもある「グリーンマン」に連なる様にも思います。
23日までですが、岡本さんが育てているもぎたての桃も販売されています。是非、足を運んでください。