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展示感想:『LIFE LINE』Gallery Face to Face 画廊新春企画、PART2その2

 今回の山内さんの作品は、ぼんやりとした名画をもとにしたベースと、くっきりとした線の輪郭の断片が重ねられた作品です。

 これまでの彼の意匠を踏襲しているものですが、『マスカレード』での展示作品は、ウイルス、マスクといったモチーフもあったので幾何学的な操作の印象がありました。

 今回は、バックに重ねられた領域は、曲線的であり、感覚的な感じです。
あたかも、カップのプディングの上にキャラメリーゼで作られた甘まい蓋を、スプーンで割ったような雰囲気がありました。

 くっきりとした前面と、ぼんやりとした背面のコントラストは、意識している部分の後ろにある薄らいでいく記憶というものを思わせます。

 山内さんが取り上げる西洋絵画を育てた文化では、記憶というものは大切な要素をしめています。それは、忘却と回想ということに繋がります。
 この二つは、最後の審判の際に、神と対面したとき罪を許されることが、最高の至福になるのですが、犯した罪の自覚がなければ、何を許されているかわかりません。西欧の政治が記録というものを大切にしたり、歴史が判断するというのは、そういう文脈があるということも大切かと思います。

 山内さんの今回の作品はそういうことも思い出させてくれました。



『LIFE LINE』 38 Artists New Year Group Show 2022
Part I:2022.1.7Fri.~1.16Sun.
Part II:2022.1.21Fri.ー1.30Sun.
会期中火曜日・水曜日休廊12:00 ー 20:00 ( 最終日は19:00まで)

参加作家

Part1
浅野井 春奈/翁 素曼/河村 菜々/北嶋 勇佑/木村 桃子/坂本 麻由里/澤田 重人
清水 佳奈/樹乃 かに/高梨 麻世/ただ あやの/館 泰子/平林 孝央/福田 美菜/船山 佳苗/山ぶき・のり/山田 ひかる/山本 亜由夢/Zachary Wan

Part II
織田 亮太/神山 侑子/川端 薫/小出 友里愛/小松 冴果/こまつたかし/三平 硝子高橋 まき子/竹渕 愛留萌/中村 惠一/南雲 未希/林 明日美/村上 紘一/村瀬 都思山内 康嗣/山田 翔太/山本 清/渡辺 佑基/Saki Otsuka

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