画廊の楽しみ方ーーなんで画廊に足を運ぶのか（29）

　寄り道の思想・・・昔、そんなことを考えていたことがあります。僕らは日々、自宅と学校、職場という二つの空間、私の空間と公の空間を往復しますが、それ以外の空間があるんじゃないかと。職場や学校では、役割というか、役柄が与えられます。
　それに対して、自宅というのは私の空間ですが、それは、往々にして何らかの役割、定義がなされている所でもあります。

　第一の空間でも、第二の空間でもない、第三の空間がある。公でも私でもない、混同されない、わたしだけのための空間。それが、寄り道する、道草するときに現れる、フッと自分自身に戻れる可能性を秘めた空間ではないか・・。

　居酒屋に寄ったり、本屋に寄ったり、土手に座って夕日を見たり、職場や学校でも、家でも、感じれない自分と出会える。

　画廊もそんな場所の一つでもいいかと思っています。