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Photo by
okasaka
画廊の楽しみ方ーーなんで画廊に足を運ぶのか(54)
53回では、語られないもの、と謎かけみたいな書き方をしましたが、後世に残された作家の作品は、彼らの人生の結果であります。
きっとその作品が出来上がるまでに、幾つもの修正や、やり直しがあったと思います。また、山のような失敗作もあったはずです。
スランプや人間関係のトラブル、生活の問題と、僕らと同じように様々な問題に見舞われてもいたでしょうし、作品が素晴らしいと言っても、人間性がひどい人もいたでしょう(ある意味、狂気を抱えているからこそ、人を驚嘆させる作品を作れるのかもしれません)。
そういうものがあるんだと少しは含みおきたいということです。
時代や環境が違うとはいえ、同じ人間ですから、どこか通じ合える部分はあると思います。だから、表現の道を歩んでいる現代の作家の活動する姿の中にも、美術史の天才達に通じる部分を見出せるとも思います。
そういうふうに考えると、作品と共に作家に会える機会を大切にしたいと考えています。
小画廊や個人の営みを飾る装飾の中に、今まさに紡がれている美術史の手ざわりもあるようにも思えています。