【画廊探訪 No.124】“LIFE LINE” 精霊の行き交う道 ―――グループ展『LIFE LINE』 木村桃子出品作品に寄せて―――
“LIFE LINE” 精霊の行き交う道
―――Gallery Face to Face 新春企画、グループ展『LIFE LINE』 木村桃子出品作品に寄せて―――
襾漫敏彦
私が顔を向けて見上げるあなたの姿は、本当の姿なのでしょうか。透き通った帳(とばり)は、あなたとの間に、幾重にも重なって、ゆがんだガラスのように、光を曲げてしまう。
フェイス トウ フェイスの新春企画、三十八人の作家によるグループ展『LIFE LINE』に、木村桃子氏も、三点の作品を出品した。
木村桃子氏は、木を素材として表現を考える造形作家である。彼女は、見えぬけれどもそこに存在を感じるものを、木から溢れる精気を形に変えて表現してきた。それは、空間に張り巡らされた力線の緊張であり、天上にも地下にも安住せぬ異形の存在である。物を使って、物ならざるものに生気を吹き込む彼女がいる。
今回の出品で、木村氏は、星座をモチーフとした作品を制作した。星座の星々は、大宇宙では、全く別々の場所に分かたれて存在している。けれども、僕等には、天球の窓の中の一幅の平面の画像として星々は現出する。輝ける星々は、それぞれの航跡を何億光年もの時を渡って瞬きを届けているのだ。
彼女は、宇宙空間そのものを木材として切り出し、光が通う航路を別の物質で満たす。宇宙空間である木の側面に、彫りの湾曲を重ねあわせて、光の通過によって生じる時空の歪みを拡散させていく。
宇宙では、星は瞬かない。それは、我々を包む大気のフェイクである。真は何処にあるのか。向こうにか、それとも、こちらにか。あなたとわたし、二つの生を繋ぐ結び目。
“LIFE LINE”。あなたも、わたしも幻かもしれない。
あなたとわたしを結ぶ“LIFE LINE”それが幻を現実にする命綱かもしれない。
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木村さんのWEB SITEです。
その他に、ネットで検索すると、コーヒーのことやら、いろいろとおもしろうものも見つかると思います。