展示感想:〈闇の密度が変化して〉林 明日美 展「on the new Planet 新しい惑星にて」Gallery Face to Face
Gallery Face to Face 林 明日美 展「on the new Planet 新しい惑星にて」行ってきました。
林明日美さんは、メゾチントという技法を使っているのですが、メゾチントは、銅版に器具を使って目たてを行います。ざらつきをつくり、インクをはじく銅版に、インクを残していくことで、黒のバックを作っていきます。
その器具のひとつには、ロッカーというのがありますが、彼女は、これまで使っていた65から85という規格に替えたようです。
これは、器具の目の幅の大きさのようで、簡単に言えば、やや細かくなったということです。
細かいから良い、粗いから雑かと言えば、そう簡単でなく、黒の粒子に、白の粒をいれることで、深みがあらわれています。スイカに塩をかけたり、甘味に少し塩をいれたりすることで、甘味を引き立てるようになることと同じかもしれません。
黒のなかから白を引き出すメゾチントは、そのあたりの含意に妙味があると思います。
世界は明日が見えないような不安定な状況にあります。そのような状況に揺さぶられながら、アーティストは、生活を大切に抱えながらそこから表現を探求し続けます。
今回の展示は、林明日美さんの表現航路の新しいカーブになるのかもしれません。