アイドルのラジオ番組に採用される心得

アイドルのラジオ番組にメールを送っています。最近の採用率は10通中7~8通ほどに安定していて、なにか傾向のようなコツのようなものを掴んできた気がするので紹介します。このあと書きますが別にこんなことに熱中してもなにもないので、おすすめしたいわけではないです。
「アイドルのラジオ番組」といっても局も違えば事務所も違う、それぞれの方向はかなり多様なのであくまでなんとなくの話です。

 

スポンサーを把握する

初歩的かつ重要なことなので、最初に書きます。
一般的なラジオ番組だとどこかの企業がなにかしらのPRのためにスポンサーになっていますが、アイドルラジオ番組は目的が明白です。アイドルの出ている雑誌、映画、アイドルがやっているテレビCMのラジオ版、契約しているレコード会社等…。ほとんどアイドル自身に関連のある会社が協賛して番組制作をしています。(残りは自由枠と自社提供です)ラジオを聴くのは主にファンなので、別にラジオCMを聞かなくても購買していそうなリスナーばかりですが。

とにかくこのスポンサーに反する話題は避けたほうが吉です。例えばジャニーズの番組だと「雑誌Myojo」がスポンサーなことが多いのですが、この番組に【好きな漫画は?】【最近読んだ小説は?】等のメールは控えたほうが良いかも。Myojoを発刊している集英社以外の作品を言いづらいのでメール選別ではじかれる、あるいは採用されたとしても大体のアイドルはそこまで考えていないので好きな漫画が他社だった場合、往年のヒット作でない限りはそのメールはOAもされずにカットされると思います。

ラジオだと制限がゆるくて普通に他局の話題を出したり、スポンサーを批判することがなければ問題なしとされるのが一般的で、アイドルラジオもそこまで厳重には線引きされていないのが実際ですが、採用を目指すのであればわざわざそんなメールは送らないほうがいいし、そもそも好きな漫画は?という質問は漫画のおもしろさと語らせるという微妙な時間を生むのでつまらないです。
一方で【好きな曲は?アーティストは?】はその後の実際に曲を流したりできるのでわりと饒舌に話してくれたりします。

ふつおたには質問を

まず基本ですが、アイドル番組はアイドルがアイドル自身の話や考えや出来事をすることこそが最重要なのです。メールなんてのはそのためのお膳立てでしかないので、必ずその意識をもってください。
念のため書いておくと、普通のお便り(ふつおた)は最後に質問を書くことが鉄則です。学校の話、失敗談、家族の笑える話、なんでもいいことになっていますが必ず最後にわかりやすく質問を書き「振り」ましょう。あなたの日常をラジオから聞きたいひとはこの世に居ないです。アイドルが話すためのサポートでしかないのでその役割を全うしましょう。

【今朝、寝坊して焦っていたのでコンタクトを付けているのに眼鏡をかけて家を出てしまいました。最近焦ったことがありますか?】
例えばこんなかんじでエピソードと関連した質問をするのがベターです。
ファンが喜ぶ近況のドジっ子エピソードを引き出せる可能性があります。ここでのポイントは「最近遅刻したことはありますか?」「寝坊したことはありますか?」だとNGです。アイドルのキャラクターにもよりますが、回答して印象が悪くなってしまう質問は避けましょう。

とはいえ、エピソード自体に引きがあるとマイナス印象の質問も採用されたりするのでそれはメール選別する作家やディレクターのセンスにもよります。例えマイナス印象の質問がきたとしても「寝坊といえば休みの日に〇時間も寝ちゃいました~」等、かわいく答えてくる上手なアイドルもいるので、信頼関係やアイドル自身のこなし方のうまさ次第なのかもしれません。

エピソードはリアクションしやすいものを

では、アイドルの話を聞きたいだけなのであれば、そのまま直球で質問を書いてしまっても良いのでは…?と思いますがその気持ちをぐっと堪えてまずはその質問へのエピソードとして道筋を考えましょう。エピソードは重要です。なぜか?

質問をはぐらかすために要るからです。答えにくい質問、特に思い当たる回答がない場合はわりとあります。そのときにリスナーからのエピソードの感想を言えば一応「受け」としては成立するので、そのためにもしっかりエピソードを書いてください。

【パイナップルと納豆を合わせて食べたら〇〇の味がしました!最近ハマっている変わった食べ合わせを教えてください】
例えばこのようなメールがきて、最近ハマっている珍しい食べ合わせの引き出しがそうあるでしょうか。質問をすり替えて「昔やったことのある食べ合わせ」や「誰かから聞いた食べ合わせの話」の話ができれば十分です。
しかし全員がそんなにうまく切り抜けられるわけではありません。
「ウーン、変わった食べ合わせ…?最近ハマっている??うーんなんだろう」というシンキングタイムだけで終わってなにも答えられないのは最悪です。でもエピソードの引きがあれば大丈夫です、「え?パイナップルと納豆!?なんでそんなの思いついたの~?おいしいのかな~」と、ただリアクションを取れば一応はそれでこのメールはクリアすることができます。
そのためにもリアクションがしやすいエピソードを前段で書いておく思いやりがあるといいです。
そういう意味で、めちゃくちゃおもしろいエピソードである必要はないのですが答えやすい質問とともに、できるだけリアクションが取りやすい話や広げやすい話をつけておくと良いでしょう。

 

おもしろいメールじゃなくていい

質問のためのエピソードですが、基本的にはあるあるネタ、意外な出来事、おもしろい話のどれかだとよりいいです。案外、突飛なメールも喜ばれます。
アイドルラジオは笑いどころが少なく盛り上がりにかける場合が多く、わりと淡々と進行します。アイドル自身がボケたりするのも難しいし(特にソロラジオだと)そうなるとリスナーからのメールを「笑いどころ」として扱う番組も多いです。学校で変な記録をもらったとか、家族の勘違いエピソードなんかは可愛くてどのアイドル番組でも重宝されそうです。

しかし後述しますが、メールでアイドルをゲラゲラ笑わせるのは相当難易度が高いです。メールでおもしろを狙うことよりも、そのメールからいろんな想像をしたり偏見や考えを話したりとアイドル自身が語る「おもしろい展開」を作り出すほうが聞いていて格段に楽しいしうれしいので、やはり大前提である「アイドルの話をきくための番組」という心得を忘れずにサポートに徹するほうが良いとおもいます。どうしてもこのエピソードをラジオの誰かに聞いてほしい絶対に!という欲があるひとは、朝や昼のワイド番組に送ってパーソナリティを笑わせてあげてください。
バラエティをよくやっているアイドルだとネタ的なメールも上手に裁いてくれそうですが意外とそんなことはありません(うまいのはストーンズの田中樹くらい)丁寧に読んで、しっとり楽しく話てくれます。みんな優しいよ。それでいいんです。

 

読み手はアイドル本人であることが多い

次のポイントは“読み手であるアイドル本人が事前にメールに目を通していることはほとんどない”ということです。簡単な打ち合わせ等はやっていそうですが大体がブースでメールを印刷した紙を渡されその場で読んでいます。つまり初見で読みながら理解できる内容である必要があります。

ゲラゲラ笑えるようなエピソードがあればそれにこしたことはないのですが、それには状況説明、登場人物の紹介を要することが多く文章が長くなってしまいダレます。長くてもダメだし、展開がありすぎても読んでいるうちに訳が分からなくなって破綻するのでダメ、となると読みながらアイドルを笑わせるのは至難の業なのです。
さっき読んだばかりのメールを理解するためにもう一度読むという無の所業が頻繁に行われる理由はこれです。事前に読んである程度話す内容を考えてもらってから収録するほうが効率は良さそうですが、このリアルな間伸びこそラジオの醍醐味ですので楽しみましょう。それを隠すようにメールを読むコーナーにはやたらBGMが流れがち。

 エピソードは番組の毛色を合わせて

そしてやはり恋愛の話題は番組を選びます。片思いエピソードくらいは大丈夫ですが、恋愛相談となるとハロプロ系の番組はまず不採用です(もしかしたら胸キュンエピソードも厳しいかもしれない…。)
下ネタは程度によりますが一部の男性アイドルだと意外とイケます。くだらなければくだらないほど一緒にノって笑ってくれたりします。(当然ですが性行為の話はNG、)
絶対にダメなのは会社を辞めた類の人生相談的な話題です。一般的なラジオだとよくある話題ですが、アイドル番組においてはご法度です。なにも話せることがない(解禁という意味でも、経験という意味でも)ので不採用ですが、なにか夢をみつけてそれに向かっているというネタなら結構イケるのでそこまで書けるならありかもしれません。

エピソードも質問も不要な箱番組

ここまでエピソードと質問をセットで書くようにと言ってきましたが、これはあくまでそういった番組に限ったことです。箱番組や一部の番組では一切のすべてをすっとばして質問(とそれを聞きたい動機)さえ書けばよかったり、ただ感想を送るだけでも有効なことがあります。
(箱番組とは番組内にある番組のことです。生放送の番組内で収録済のコーナーが放送され、その後また生放送に戻る…みたいなことです。この収録済の番組を「箱番組」と呼びます。文化放送レコメンとかが馴染みあるかな。)
一般のリスナーへ向けてではなく、ファンが聞いていることを想定しまくりな番組であることが多いです。

【Mステみました。かっこよかったです】という感想を送るだけで「あの日リハでメンバーが」とエピソードと話し始めたり、【暑くなってきましたね。おすすめの冷たい食べ物は?】と送れば「やっぱりそうめんかな」つって教えてくれます。前置きのエピソードがいらない分、テンポよくしゃべるので唐突な質問や感想だけで、“ファンへ向けた話”をたくさんしてくれます。アイドルのラジオにメール送ってみるか~ともし思い至った人がいるならば(いるのか?)最も避けたほうがいいのはこの手の番組です。
ファンとアイドルのコミュニケーション番組、メールを選んでるほうも読むほうも送るほうもそのつもりのサンクチュアリ番組ってのが存在します。いくら対策を練っても採用には結びつかないことが多いので、こういった番組の投稿は真のファンにお任せしましょう。

 番組の傾向をみつける

採用を目指すならば、メールの傾向を見極める必要があります。これが非常に面倒ですが採用への近道であることは間違いない。
ある番組ではアイドルのブログで書いたネタを詳細に話してもらおうとしたり、ある番組ではテレビ出演時の裏話をよく話してたり、ある番組ではアイドルの交遊録を話していたり、本当に様々です。それに合わせて話やすい質問を送るとすごく楽しそうに語ってくれます。

しかし逆にファンにしか伝わらないブログネタは一切しない、他番組のビハインドは一切話さない、事務所外の友だちの名前は一切出さないなど、その番組独自(そのアイドル独自)のルールは少なからずあって、まずはそれを守ることが大切です。そのルールを理解せずに聞きたいからといくらメールを送っても採用されることはないです。
(あまりにも労力がかかるのでわたしはあまりやりませんが)例えばアイドルがブログやSNSで書いたことの詳細をよく話す番組があったとして、どういうメールを送ればいいかと考えるよりも前にすることはそのアイドルのブログSNSの更新チェックです。そこからネタを拾えば早いです。
またツアーでの裏話をするとして、楽屋でこんなことがあった、ケータリングで何が出たなどはツアーの中盤以降のほうが話やすいのでそういったメールを送る時期を気を付けてください。つまりツアー日程を把握する必要があります。一度ツアーのMCで話してウケた話題は自信があって話やすいのと既出である事実から公表することに抵抗がないので結構さくさく話したりします。MCレポなんかが目に入ったら頭の片隅で覚えておくとメールを送るときの参考になります。

別におすすめしない

こんなわけで以上のことを気を付けながらメールを送っているのですが、一番は対象となるアイドルの番組で「このメールが読まれていることが想像できるか?」という点が最も大切だとおもいます。
番組の毛色に合っていない、あの子はこんな話してくれないだろうな…と少しでもよぎるとそれはもう不採用です。お笑い芸人のネタコーナーだとそのコーナー自体が成長し、様々な展開を生むこともありますが、アイドルラジオにおいて挑戦的メールやチャレンジングな内容を送っても全く求められていないことをすぐに思い知るでしょう。
ただ実直に送ってください。日々の出来事や生活の気づきを交えて、そのアイドルはどんなふうにこのメールを読んでくれるんだろうと思いを馳せてワクワクできたら一丁前です。

しかしアイドルのラジオ番組に投稿することは正直まったくおすすめしません。対象のアイドルが好きならやればいいけど、そうでないなら別になんにもならないです。最近はノベルティ的なものもないし、たくさん採用されたからといって誰に褒められるわけでもないので(その気楽さがいい)本当にアイドルになにか言いたい聞きたい教えてもらいたいことがあるか、アイドルの番組を盛り上げたいという気持ちがない限りは別にやらなくてもいいと思います。聞くだけで癒されて発見があるのがアイドルラジオの良いところなので。
人気芸人のラジオ番組だとよく採用されるラジオネームが有名になりパーソナリティにも認知され、そのままSNSで人気になったり作家予備軍のような扱いを受けたりなんだか華やか(なのか?)な展開もありますが、アイドルラジオはいくら採用されても何度番組でラジオネームを呼ばれても本当にそれ以外の場所では無、一切なにも発生しないです。例えファンが集まる場所でわたしのラジオネームを名乗ったとしても誰もピンとこないでしょう。なにも目指すべき場所がない誰にも知られない、ただ自分だけがニンマリしているその虚無を味わいたい方はぜひ参考にしてみてください。

始めたきっかけ

最後に、ではなぜわたしがそんな虚無な行為を続けているかを書いて終わります。
もともとお笑いラジオが好きで中学生の頃から日常的に聞いていて、主に芸人の深夜ラジオ(余裕があればワイド番組も)をよく聞いています。各番組のへネタメールを送って盛り上げる、いわゆるハガキ職人的なものは怖いし勇気がいるしなにより自分はおもしろくないで気が乗らないことが多く、採用されても後悔と反省がつきまとうのでしんどくなってめっきり送らなくなりました。
しかし雑誌やテレビ番組のお悩み相談的なコーナーや、ワイド番組やFMラジオのリクエスト等はこちらの「おもしろ」を求められていないのでハードルが低く、かつ番組側の求めるリスナー像(視聴者、読者像)に合わせていくのが性に合ってたのか気楽に送れてわりと採用されていました。(マツコ有吉の怒り新党~かりそめ天国では3通中2通採用されています。あの番組の投稿は作家が作っているという噂をみかけますが私の実績からいうと本当に視聴者投稿も含まれています)

もともと私には「何か文章を打ちたい」+「何かを考えたい」という気持ちがあり、それで時間を潰せればなんでもいいんですが、自ら発信したいことはないしブログやSNSではなく、なにかを生み出す創造力もない、しかし書いたものへの評価はほしいという欲があるので、テーマが与えられていて採用不採用がある番組投稿というのがしっくりきているんだと思います。ちなみにラジオネームは6種類くらいを使いわけているので特定しないでください。
それでは、さようなら。またどこかのアイドルがわたしのメールを読む声でお会いしましょう。


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