通院のための医療費の自己負担を軽減することができます
みんなねっとサロン事務局から、精神障がい者とその家族に役立つ社会資源のいろいろを連載でお届けします。
精神疾患の治療は、定期的で継続的な通院が必要な場合が多く、通院期間も長期にわたります。医療費の負担をできるだけ軽減し、安心して治療を続けるために「自立支援医療制度(精神通院医療)」があります。
この制度は、原則として医療費の1割を負担する制度ですが、疾病の程度や「世帯」の所得の状況に応じて、1か月の自己負担額に上限が設定される場合があり、適用されると、通院のための医療費の自己負担を軽減することができます。
◆自立支援医療制度(精神通院医療制度)の対象者
この制度の対象者は、精神の疾患(てんかんを含む)のため継続的な通院治療を必要とする方です。また、症状が消失あるいは軽快していても、再発予防のため継続して通院治療が必要な方も対象となります。
ただし、市区町村民税(所得割)が年23万5000円以上の「世帯」の方は、原則として対象外となっており、高額医療継続者(重度かつ継続)(注1)に該当する場合に限り対象となります。
いずれの場合も、専門の医師による診察と診断が必要です。自治体によって申請に必要な書類が異なることがあるので、市町村の担当課や精神保健福祉センターに問い合わせてみてください。
認定されると「自立支援医療受給者証(精神通院)」「自己負担上限額管理票(該当者のみ)」が交付されますので、医療機関等の窓口に提示してください。
自己負担額は図表2のとおりです。
自己負担額は、「世帯」収入と症状(重度かつ継続に該当するか否か)によって異なります。ここでいう「世帯」とは、住民票による世帯ではなく、加入している医療保険の世帯をさします。
◆有効期限と更新手続き
受給者証の有効期限は、申請受理日から1年間で、更新を希望する方は有効期限の3か月前から更新申請をすることができます。所得や保険証の確認も毎年必要です。有効期限が過ぎてしまうと、新規に申請しなければなりませんのでご注意ください。
また、更新の際、2年に1回診断書の添付が必要となります。例えば、2018年度中に診断書を添付して申請された場合、2019年度の更新時には診断書の添付は不要です(手帳用の診断書で同時申請した場合も同様です)。
さらに、精神障害者保健福祉手帳の有効期限の末日にあわせて受給者証の有効期限を設定することもできます。ただし、手帳の有効期限が1年未満である場合に限られます(受給者証の有効期限が1年未満になります)。申請や制度の利用に際して、市区町村ごとに独自の助成制度(診断書料の助成等)を設けている場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の障害担当窓口にご確認ください。また、申請する上でわからないことがあったら、病院の窓口に相談してみるとよいでしょう。
注1「重度かつ継続」とは、継続的な治療が必要なため医療費の負担が多い方について、医療費の自己負担額に上限が設けられています。該当する方は次のとおりです。
①医療保険の高額療養費で多数該当の方
②統合失調症、躁うつ病、うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)の方
③精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した方
④令和3年3月31日までの経過的特例※とされていましたが、令和6年3月31日まで延長になりました。
※経過的特例の内容は以下のとおり
「重度かつ継続の一定所得以上」:市町村民税23万5千円以上の方で重度かつ継続に該当する方について、自立支援医療制度の対象とした上で、自己負担上限額を2万円とする措置。
自立支援医療制度の最新情報につきましては厚労省のHPに掲載がありますので、ご参照ください。
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