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カムフロムアウェイ 観劇記録 〜楽曲編〜
「今作は配信および映像化の予定しておりません」
公式より発表があった。
ああ無念。大変悲しく残念に思う。
せめて音源だけでもと願うばかり。
仕方なく少しでも鮮明な記憶を保てるように
楽曲を通して『カムフロムアウェイ』について振り返っていく。
(とか言いつつ、風邪引いたりナンダカンダしたせいで観劇からもうすぐ1ヶ月が経つ)
購入したプログラムには全てのミュージカルナンバーのタイトルが記載されていたが、
キャストが歌わない台詞だけのシーンのBGMのタイトルも入っていたため、ブロードウェイ版(以下、BW版)のアルバムに入ってる23曲を通して印象に残ったことや考えたことなどについて記載する。
01 『Welcome to the Rock』
はじまりは打楽器(多分バウロン)のリズムから。
![](https://assets.st-note.com/img/1713095270562-UDX1PrTheH.jpg?width=1200)
もう待ちに待った観劇だったから、
心の中で(わああああーーー!!!!始まったあああーーー!!!!)と叫びながら観ていた。
この曲は唯一、最初から最後までが映像記録(稽古場でのリハーサル映像)として公開されている。
そう。だから何度も何度も聴いた。
キャストの方の立場で考えるとプレッシャーだろう。稽古場での自分達を既に見られてるだなんて。
どんな風に物語が始まるのかを理解されているのは次の手を読まれてるようなものだろうし。
でも、幕が開けた時の喜びは上に記載した通り
興奮が冷めるようなことは無かった。
そして最後まで期待を裏切られることも無かった。
この現実にあった出来事を物語として落とし込む上でポイントとなってるのは、きちんと人々の日常生活を描いていることだと思う。
この曲1つの中にセリフの長短はあれど、12人全員が単独で喋るシーンがある。それがまた、それぞれの日常を表していて良い。
特に「ここの天気は激しく荒れーる」と浦井さんが歌うこの部分。天気の悪い日、急に脳内再生されるレベルで私の頭に焼き付いた。
02 『38 Planes』
ここは歌も良いけれど、管制官のやりとりが好き。禅さん演じる管制官から始まり、舞台を一気に緊張感で包みこんでパイロットに有無を言わせない感じ。
暗転した中、下から当てる懐中電灯は画面に照らされてる様子を表しているとのことだが、確かにあの場が航空管制局に見える。
そして場面転換がスムーズなのが素晴らしい。
本当に一瞬で航空管制局が飛行機の中に変化する。
英語圏以外のレプリカ公演は日本が初めてであるが、先に公開された非レプリカの韓国版のダイジェスト映像をYouTubeで観ると、その違いに驚いた。
上記の映像でしか観れていないため明言は出来ないが、韓国版が演出過多に思えるほど、BW版の演出は削ぎ落とすことでしか表現出来ない美しさだったことがよくわかる。
でもこれはキャストの演技力と観客の集中力に委ねられた諸刃の剣の演出にも思うから難しい所。
せっかくなので、今作がどのくらい世界で観られているのか記載する。
レプリカ:
カナダ、オーストラリア、アイルランド、イギリス
非レプリカ:
オランダ、アルゼンチン、デンマーク、韓国
YouTubeでオランダ(非レプリカ)の作品を見つけることも出来たが、こちらはBW版と同じ引き算の美学を感じる演出に感じた。
03 『Blankets and Bedding』
ここは歌とセリフが忙しなく行き交うシーン。
島民がラジオやテレビで知った悲劇を、飛行機の人々を迎え入れる準備に没頭することで脳裏から追い出そうとする感じが伝わってきてザワザワする。
合間のオズがビューラとアネットにお使いを何度と頼まれるシーンは笑って一息つけるんだけど、
非常時の対応として大事なシーン。
女性の生理(月経)に関する話題はXで時々バズってるのを見ることがあるが、"ネタ"として訳の分からないことを言ってるのでなく"本気"で勘違いしている人が混じっているのを見つけて焦ることがある。
どんなことでもお互いの意見を平等に尊重すべきだと思うんだけど、当事者の意見を蔑ろにして否定しにかかってくる人が1番厄介だと思う。
Xを余裕で見てられる時はまだしも、非常時には絶対相手にしたくない。
この話題は当事者だから意見しやすいけれど、自分がマイノリティーに属していない時にも、飛行機の民を迎え入れたビューラ達のように相手を大事に出来るよう気を付けたい。
04 『28 Hours / Wherever We Are』
椅子しか並んでないのに
まるで本当に飛行機の中にいるみたいだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1711976884840-vbpzcv7uXO.jpg?width=1200)
♪「28時間。丸1日以上。真ん中に通路1つ。
この飛行機のこと何もかも知った。」♪
このセンテンスの繰り返しが好き。
シンクロした乗客の動きは横並びの時(上図)も縦並びの時も見ていて楽しい。ほんと好き。もはや一緒に首傾けたくなる。
そしてセリフの無い乗客達も細かな演技が積み重ねられることで物語が見えてくる。
観劇時は飛行機に乗ってるゆうみちゃんとめぐさんの演技(疲労感たっぷり漂いつつ、隣席を気遣う仕草など)に目が留まってしまったけれど、
和樹さんが飛行機の荷物置きの所に頭をぶつけてしまうお芝居をされているといった話を聞いたため、他の席に座られたキャストさん達の細かな芝居も余すことなく楽しみたいのに目が足りなくて困る。
05 『Darkness and Trees』
飛行機から降りてバスで移動を開始するシーン。
この曲も 『Welcome to the Rock』と一緒で、裏で刻むリズムが耳に残る。特にアルバムで聴くと少し粘っこい低い歪んだ音がよく聴こえ、暗く鬱蒼とした森のイメージが湧いてくる。
楽器の音を聴き比べて、どの楽器がどんな音を奏でるかを理解する過程を踏まなきゃ、鳴ってる楽器がどれかわからない程度の耳のため、多分ベースの気がするけどあっているかはわからない。
ただ、一定のテンポで単調なリズムを刻み続けるのって素人の考えだけど、技を凝らした演奏よりも緊張しそう。
06 『On the Bus』
ヘラジカ登場シーン。
![](https://assets.st-note.com/img/1712098001384-4vg8JuKywo.jpg?width=1200)
これは先の〜キャスト編〜で書いた一息つけるシーンの1つ。
観劇中、バスの揺れを体の動きで表現してるのが見てた面白かったけれど、この時の禅さんの芝居を見損ねてしまったのが無念。
窓を拭き拭き外を眺めようとしたり、バスの揺れで窓に頭をぶつけたりするらしく、細かな所までお芝居されているとのこと。次は必ず観たい。
あと、これは緊張するかもだけど、恐らくフィドル(バイオリン)で奏でる「キュイーーーーン」って最後上がる感じのブレーキ音が好き。
演奏するのちょっと楽しそうに思う。
07 『Darkness and Trees』 (Reprise)
和樹さん(ムフムザ)とくみさん(ムフムザの妻)演じる夫婦が聖書を通じて浦井さん(ガース:地元のバス運転手)と言葉が繋がるシーン。
昔、海外でホームステイをした時に「ここの聖句を日本語でも読んでみて」とホストマザーに促されたけど、英語力&コミュニケーション能力の低さが相まって絶対違うって思いながら聖句を読みあげたことを思い出した…。
ここはドキュメンタリーでも「その場その時に合う聖句を見つけるのが大変だったよ(笑)」といったシーンがあって、そりゃそうだよねと笑って観てたけれど、劇場では感動のシーンになってた。
08 『Lead Us Out of the Night』
飛行機の人々が初めて何があったかを知るシーン。
これは本当に苦しかった。
観劇前に当時の現場を映したドキュメンタリーを観た時も、今まで感じたことがない辛さを覚えた。
この場面をきちんと組み込んで作品を作り上げたことに敬意を表する。
すごくセンシティブなシーンであることから、気持ちの切り替えが難しいシーンにもなりやすいと思うのだけど、さとしさん演じる乗客がテレビを消すとほぼ同時に場面転換するため、キャストの感情を切り替えるポイントになってて素晴らしい。
09 『Phoning Home』
各々、家族などに連絡を取るシーン。
ここはニックが会社に安否連絡を入れた割に塩対応を受けている感じの芝居が面白かった。
BW版の映像を観るとあっさりジャニスの台詞で次の場面に展開するためか笑いは起きてないんだけど、この前観た時は笑える隙間があった気がする。
10 『Costume Party』
今作、好きな曲ばかりで好きばっかり言ってるんだけど、この曲も凄く好き。BW版のアルバムで予習していて英語の意味もわからない時から好きだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1712050939981-731364bzb7.jpg?width=1200)
多分、4人(ダイアン、ハンナ、ケビンT&J)の歌が繋がりピースが合わさっていくような"カルテット"が好きだからだと思う。
(これは完全に余談だがミュージカルのカルテット好きは、劇団四季の『リトルマーメイド』より『もしも(if only)』を是非聴いてほしい。)
特に歌の合間で1人ずつ音に載せながら発する下記の部分が好き。
「前と違う」「なんか」「変!」
なだらかな歌の間で小さいジャブが入る感じと言えばいいのか、それがまた良いアクセントになってて何度も聴いちゃう。
あとやっぱり他人の服を着ることの違和感を歌にしてるの良い。新品の服を着る時のワクワク感とは全く違う。自分の服を脱いで、赤の他人の服と分かって身に付ける服。
中々、日常生活で体験しないシチュエーションだけど、この歌があるから自分が自分じゃないように感じるっていうのがイメージしやすい。
11 『I Am Here』
この曲は1番わかりやすい英語のフレーズ(「I Am Here」→「私はここにいます」)だったため、日本語で歌う映像が流れる前まで、英語から日本語に置き換えられるのが想像つかなくて、どんな風に訳されるのか心待ちにしていた。
結論として、そこのフレーズは2フレーズの10音
(「I am here. I am here on an is-land. 」を使って「ここに私はいます(10文字)」と少し並び替えただけで綺麗におさまっていたけれど、英語でさえハンナの不安を表し畳み掛けるようにして歌うこの曲を日本語に上手く仕上げられたのは本当に凄いことだと思う。
そしてやっぱり突き刺さる歌詞とメロディー。
畳み掛けるように歌う部分はソファミ ソファミと1音ずつ下がる音の繰り返しが多用されて、盛り上がり部分で音階がシラソ シラソに上がるも気持ちは下向きのまま、ラストにはドに落とされる絶望感。
ここでハンナが泣きながら歌ってしまうと、ミュージカルとして捉えた時には興醒めしてしまうから歌うくみさんは感情に押し流されないように耐えながら歌うのは本当に大変だと思う。
12 『Prayer』
〜キャスト編〜でも記載したが『Prayer』は、ケビンTと同様に私も幼少期から知ってる讃美歌の内の1曲である。それもあってか今回の訳詞より元々知ってる訳詞の方がやっぱり馴染む気がする。
手元に音源はあったが、楽譜は無く、ネットの海を探しても翻訳者はわからなかったため、
敬意を込めてここに歌詞を記載したいと思う。
祈り求めます 憎しみを捨てること
お互いに愛し合い 信じ合うことを
祈り求めます 希望を見出すこと
暗闇に悩む日も 喜び見出すこと
主よ 慰められるより 慰めることを学び
愛されることよりも 愛することを 教えたまえ
祈り求めます 互いに許し合うこと
全てを主にささげて 主と共に生きること
祈り求めます アーメン
聖フランシスコ 平和の祈り
この曲自体は上記の通り元々キリスト教由来なんだろうけど、ユダヤ教とヒンドゥー教の祈りが交わっていく作りに編曲して楽曲の1つにしたのは凄いことだと思う。
歌の重なりだけで楽譜を見てみても、数えてみると1番分かれて歌うところは9パートでの構成になっている。聖歌隊の合唱ならまだしも、ミュージカルではかなり珍しいことではないだろうか。
13 『On the Edge』
「瀬戸際」というピッタリの日本語を見つけ出して、歌詞にも違和感なく組み込んだ高橋亜子さんのセンスと技術に脱帽。
せっかくだから高橋さんの良インタビュー記事↓
ここは曲も好きなんだけど、それぞれの状況が描写されてるのが良い。特にボブ。
「僕はもう財布を心配することも、撃たれることも心配しなかった。ただアイリッシュウイスキーをどれだけ飲んでいるか少し心配。」
心の準備無く、見知らぬ土地に放り出されて、テロの恐怖に包まれ、心荒んで限界になっている人々ばかりの中でボブ1人落ち着きを取り戻し始める感じはギャップがあって印象に残るシーンとなっていた。
14 『In the Bar / Heave Away』
『On the Edge』で荒んだ気持ちを愉快な気持ちで洗い流してくれる1曲。
BW版の映像で確認すると大体開始から1時間ほど経ったシーン。だいぶ疲れてきた頃に、賑やかに歌いながら踊るのはかなり大変そうに思う。
そして出てくるアグリースティック。
アグリースティックだけ参考画像に出来るのが無くて悲しい。簡単に説明するならザ・手作り楽器。
この作品のために練習したということだけど、確かにこれから先にもアグリースティックが使われる作品はあまり無さそうで笑う。
ちなみに余談だが、「船を出して海へ〜♪」と歌っていた部分、「Heave away」の意味は下記の通りだ。
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この訳を見て『ヨイトマケの唄』を思い出したが、あれは海ではなく陸が舞台で、地固めのために滑車に吊るした槌を、数人がかりで引っ張り上げて落とすときのかけ声とのこと。
そして「Heave ho」で白雪姫の「ハイホー」を思い出して調べてみると「Heigh ho」で
![](https://assets.st-note.com/img/1712477372655-oMIyNa9PrM.jpg?width=1200)
「仕事疲れた!」って歌だったため、これまた別物だった。(調べた割に全く関係無かったけれど、忘れた頃に同じ過ちを繰り返さないために記載する)
15 『Screech In』
ここは歌も良いけどストーリーとして重要なシーン。絶望感を追い払うためにみんなでやってきた賑やかなお店が
ケビンT&Jの決別のきっかけになり、
ダイアンとニックは距離が縮まるきっかけとなる。
『On The Edge』のボブと周りの人のギャップもそうだけど、対比構造になってるシーンってストーリーを豊かに魅せてくれると思う。
作品作りではよくある見せ方の1つなのかな。
演じる側としては、スクリーチ(酒)やそれを入れるグラス、タラのぬいぐるみ、儀式のための黄色の防水帽と物品が多く出て来て大変そう。
そんな中、タラとのキスシーン後はひたすらタラを持って踊り、そのタラを色んな人に(バンドの人にも)近づけて楽しむゆうみちゃん最高。
16 『Me and the Sky』
これは一緒に観劇した絶対音感かつ共感覚(音に色がついて見える)の持ち主が素晴らしい解説をしてくれたため、その内容と共に記載する。
絶対音感が無いと分からない話から始めよう。
BW版だとこの曲はト長調だそうだ。
それに対し日本版は変ト長調と半音低いキーに変更されている。
BW版:ト長調(ソラシドレミファ#ソ)
日本版:変ト長調(ソ♭ラ♭シ♭ド♭レ♭ミ♭ファソ♭)
調べてみると、これは3/26ソワレ 井川プロデューサーによる創作過程解説イベントで話があった模様。
聴き比べると確かに違う。
日本版は0:48から聴き比べることが出来る。
さて、聴き比べて私が分かったのはBW版のが明るい感じがするってくらいなんだけども、彼女はそれ以上のものを受け取っていた。
ト長調は明るく伸び伸びした印象を持つが、フラット(♭)を使うと音の印象は硬くなるらしい。
そのためフラットが6つもある変ト長調の曲はビバリーの人生を表す歌詞の内容にピッタリだと。
濱田さんがそこに音を当てに行くことで、キャリアつよつよ女性の厳しい人生の感じがすごく出るとのこと。
そしてBW版のト長調の曲に鮮やかな青が見えるのに対し、日本版の変ト長調は濃い青が見えるらしい。
その青は『カムフロムアウェイ』のコースターの青に連なる色合いだそうだ。
日常生活を送るにおいて絶対音感も共感覚も不便なこともあると聞くが、
めぐさんの歌う『Me and the Sky』を聴きながら深い青空に包まれることを想像すると羨ましく思う。
余談だが、観劇前に撮った写真に写った空はほぼ『カムフロムアウェイ』の空だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1711810967355-r4k7saQuee.jpg?width=1200)
ついでにオランダ版の『Me And The Sky』も素敵だったため共有する。
17 『The Dover Fault』
ガンダーから旅立つ前に最後にダイアンとニックが観光に来るシーン。
ここは歌よりもセリフがメイン。
せっかくなのでニックが登り疲れたDover Faultの頂上に至るまでの階段が映った写真を載せる。
![](https://assets.st-note.com/img/1712481627566-ogWhZiX183.jpg?width=1200)
18 『Stop the World』
ダイアンとニックが素敵過ぎるシーン。歌も最高。
椅子を並べただけで、客席側からは綺麗な景色なんて見えないはずなのに、ダイアンとニックが見てる景色が私にも見える気がする。
![](https://assets.st-note.com/img/1712481819905-hBK0UarYn8.jpg?width=1200)
ちなみに原曲の楽譜を見たところ、
この曲はニックから始まる嬰ヘ長調(#6つ)から、
ダイアンの歌に入れ替わる際にホ長調(#4つ)に変調している。
それを踏まえて、BW版のキャストが歌う『Stop the world 』を聴いてみたが…
ええ、とにかく素晴らしい曲だと思う。
(転調による効果は不明)
『Me And The Sky』でも思ったけれど、バックコーラスが入ることで曲に豊かな広がりが加わる感じが魅力的なのはあると思う。
このバックコーラスがあって恋愛が盛り上がる感じは、また『リトルマーメイド』の曲になってしまうが、『Kiss the Girl』を歌うセバスチャン達応援団と似たものを感じる。(曲調は全くもって違う)
19 『38 Planes (Reprise) / Somewhere in the Middle of Nowhere』
この曲も、浮き立つキャストのお芝居も全部好き。
「ようやく帰って来れた!」って飛行機の窓から知ってる土地が見えてくる感じが伝わってくる。
キャストに見えてる景色が私にも見えるよう。
だけど歌の間にソロで入る、ダイアンの「(ニックとは)これでお別れになってしまう」ケビンTの「(ケビンJ)こっち向いて」的な台詞は何とも切ない。
そしてボブがCAさんからマイクを借りて、乗客のみんなに募金を促すシーン。
実際の所は、それなりに権威ある人が同じ飛行機の乗客に募金を促し、集まった金額の倍額の小切手と一緒に寄付をしたらしい。(どこで見た情報かわからなくなってしまったため信憑性に欠ける)
誰も知らないこの空の彼方で
あなたそっと見つけた
青く澄んだ街 あなたは自分の心を見つけ
その一部を置いてきた
上記のフレーズ、英語でいう「Somewhere in the Middle of Nowhere〜」の部分は一緒に歌いたくなるくらい大好き。
20 『Something's Missing』
ここは08『Lead Us Out Of The Night』で
テロを知った時の辛さをもう一度噛み締めるような辛さがあった。
そしてダメ押しという言い方は不適切かもしれないが、ハンナがビューラに息子が亡くなったことを伝えるシーンが舞台をより一層苦しめる。
全員で歌うコーラス部分が更に重々しく、悲しさを纏って聴こえた。
曲としては(多分)ティン・ホイッスルの音が良い。物悲しさを表現する音としてぴったりだと思う。
![](https://assets.st-note.com/img/1713095035154-uV5lg8JqeO.jpg?width=1200)
21 『10 Years Later』
タイトル通り、舞台は10年後のシーンになる。
ここはもう歌というよりBGM。
この曲の直前くらいに入る寄付金を数えたらいくらだったよ、とクロードが言うシーン。
言及する歌のところが無かったからここに書いてしまうが、ドキュメンタリーで世界各国のお金が寄付されたといった話をしていて、とりあえず色別に分けたっていうのが凄くリアルだったな。
22 『Finale』
ここで聴くキャスト全員がユニゾンで歌う
「ここにあなたはいます」は、力強い希望に満ち溢れていて、凄く格好良い。男声と女声それぞれユニゾンで歌う所も本当に好き。聴いてて本当に励まされるし、嬉しい気持ちになれる。
『Finale』って言葉にふさわしい歌だと思う。
最後、盛り上がって終われる作品は「手放しで良かった!!」って気持ちで最後の拍手が出来るからスッキリ終われる。
23 『Screech Out』
ここは東京千秋楽の映像が最高だったため、公式Xの投稿を共有する。よく見るとくみさんが泣いてて、観に行ってないのになんだか泣きそうになる。
東京公演全30回✈️
— ミュージカル『カムフロムアウェイ』 日本版公式 (@ComeFromAwayJP) March 29, 2024
お客様と共に駆け抜けることができました!
毎公演、客席から沢山のエネルギーを頂き、作品がパワーアップしています。
ここからツアー公演に旅立ちます。
大阪、愛知、福岡、熊本、群馬にて皆様と劇場でお会いできますことを楽しみにしています🌎
袖からの東京千穐楽カーテンコール pic.twitter.com/FFwsErMWWN
だから、やっぱり観に行こうと思う。
今まで1つの作品を1シーズンに2回以上観劇することはしないと決めていたが悩みに悩んだ末に決めた。
今回初めて遠征すると共に『カムフロムアウェイ』をもう一度私は観ることを決めた。
この素晴らしい作品の最後をきちんと見送りたい。
だから私は大千穐楽のチケットを手に入れた。
どうか、どうか5月12日までカムフロムアウェイのカンパニーの健康が守られ、最初から最後まで無事に公演出来ますようにと強く願い求める。
終わりに
2001年9月11日に起きたこの事件。
私は小学1年生だった。
知ろうと思えば知ることの出来た年齢にも思う。
だけど私の記憶には無い。
『兎、波を走る』の時と一緒で、こうやってミュージカル作品に仕立ててくれた方がいるから、9.11に
思いを馳せることが出来ている。
当時のことを覚えてる人は「自分はあの時…」って思い返すだろうし、私を含め当時のことを覚えてない・知らない人は物語を通して追体験することが出来る。私にとっては教科書に書かれた史実でしか無かったことが、この作品を観ることで誰かの日常生活で実際に起きた出来事だと感じることが出来たのだ。
しかし「9.11」×「ミュージカル」という文字面を見た時、多くの人は何を思うだろうか。
『カムフロムアウェイ』という作品を知らない限り不謹慎な組み合わせに感じると思う。
ましてや「9.11」×「エンターテイメント(娯楽)」
と記載すると更に抵抗感を覚えると思う。
自分は抵抗感を覚えずに観劇臨むことが出来たが、そのことについてきちんと考えてみた。
まず言葉の確認として、
![](https://assets.st-note.com/img/1713134730584-rpWsfT7Jrr.jpg?width=1200)
「エンターテイメント(娯楽)」は「心を慰め、楽しむこと。」ってなっていることに気付いた。
普通の辞書だと「心を慰める」ことに対しては触れてないものが多く、ふとiPhoneで調べたことで見つけた偶然の産物だ。
どうしようもできないネガティブなイベント「悲劇」が発生してしまった時、心が慰められる過程は人それぞれ違うし、慰められるまでにかかる時間もタイミングも違う。
それは当たり前のことだけど、それを踏まえて考えることで「9.11」に限らず、「悲劇」を「娯楽」を通じて心慰めることを否定してはいけないという結論に至った。
また、先に記載したがミュージカルを通して
「思い返すこと」「追体験」することは、いわゆる「反省」に繋がると思う。
発生してしまった「悲劇」を無かったことには出来ないが、これから新たに発生することを防ぐ手立てになると無意識に理解しているから、私は抵抗感を覚えずに観劇出来たと考える。
あとは予測でしかないが、当時のことを身をもって経験している人や似た経験を持ち心の傷が癒えてない人は抵抗感を覚えやすいのではないだろうか。
これが絶対に正しいとは思ってはいないが、今の私が1人で考えられる結論はこの程度だ。
あれから20年以上経った今でも、まだ事件の計画主犯者であるアルカーイダの"ハリド"は生きている。
"ハリド・シェイク・モハメド"
(英:Khalid Sheikh Mohammed )
彼の裁判は今も続いており、次回は2024/4/15〜5/17の間に行われる予定となっている。
英文ニュースを自動翻訳して理解した内容のため誤りもあるかもしれないが、
9.11で残された家族の一部が更なるテロ被害を起こさせないために、ハリドを含む5人の死刑廃止を訴え、司法取引をかけられつつ生きているようだ。
ハリド自身が何を考えているかは全くわからないが、Wikipediaに書かれてることを鵜呑みにするならば彼には2人の息子がいるそうだ。
1人は多分私と同い年。もう1人は私の2つ上。
つまりは2人とも生きていればとっくに成人。
彼らを初め、テロリスト側の立場を知る人々、
またそれとは別に差別を受けてしまったアリのようなイスラム教徒の人々などが思うことについても知りたかったが、上手く調べられなかった。
しかし、だからこそ1つだけ気を付けたい。
"上手く調べられない"とは
"世界に上手く声が届けられていない"ということと同じ意味を持つと思う。
声の大きい人の述べることだけが正しい訳ではないことだけは忘れないようにしたいと思う。