大学を卒業したあの日...

今回は、私が大学を卒業した日のことを書きます。

卒業式の日は、晴れていたのか曇っていたのかよく覚えていなかったけど、雨は降っていなかった。

卒業式が始まる午前10時頃、私は実家に送る荷物の最終整理をしていた。本がたくさん入ったダンボールを玄関先に置いて、ヤマト便が来るのをスマホの画面を確認しながら待っていた。

そのとき、私の彼氏だったS君から今日は卒業祝いに今晩焼き肉でも食べに行こうかと連絡が入った。

S君とはゼミの後輩で......大学4年の12月頃に付き合い始めたばかりだった。スーツに興味があって、一緒にキングスマンをみに行ったくらいだ。美味しいものが好きで、4次元ポケットの如く何でも食べる

綺麗な冬の夕暮れが冷たい空に映える頃、卒業式が終わって静まり返った大学のキャンパス内のゼミ室で待ち合わせをした。

少し、今後どうするかいろいろ話した。もちろん毎度のようにあんなことやこんなこともやった。

どうしても離ればなれになるのが嫌らしく、しばらくしがみついて離れなかった。

そのあと、二人で楽しく美味しい焼き肉を食べた後、今度は二人で私が大学4年間暮らしたアパートの前まで散歩することになった。3月とはいえ、夜になると気温は氷点下になる。キンキンに冷えた夜空に光る星空を眺めながら手をつないで歩いた。

そして、セブンイレブンがある十字路でサヨナラした。彼が歩いていくのが見えなくなるまで...思い出を振り返りながらずっと見ていた。

そして、実家に帰るため、明日のフライトに備えるべく、ホテルに宿泊した。

次の日の朝、空港に向かうバスの出発ロビーで迷惑詐欺メールをゴミ箱消去する作業をしていると、大学生活でお世話になったEさんからメールが入っていた。その人とは、一年以上前にケンカ別れしたきり会っていなかった。メールを開こうと画面をタップするのにより多くの酸素を必要とした。やっとメールを開いたのは、空港に着く直前のバスのなかだった。メールの内容はよく覚えていないが、こんな内容だった。

「おはよう。久しぶりだね。卒業おめでとう🎉卒業式は出席しなかったんだね。卒業式見に行ったんだけどいなくて...元気でね」

しばらく眺めていた...
思いがけない人からのメールだった...

「卒業式いろいろあって出なかったんです...せっかく来てくれたのに会えなくてすみません...お元気で...」

そのときは、嬉しいような寂しいような気持ちだった。メールを打つのにどんな言葉を使えばいいのか悩んだ。

Eさんとは、大学に入学してすぐ、各地のイベントに参加させてもらったり、いろんなところにも連れていってもらった。いろいろ社会勉強させてもらった。プライベートな話もたくさんした。地元に戻ったら、もう会えなくなる...

最後の「...元気でね」の一言がもう会わないことを意味しているかのようで怖かった。でも、そのときは、進路を決めきれずにいられなかった。公務員になるのか、違う業界で働くのか、地元で働くのか、彼氏と一緒に東京で働くのか...

私には、地元で暮らすか、それ以外で暮らすかという二者択一の選択がどうしてもできなかった。それ以外の別のカタチで一緒に仕事として関われる方法はないかとそのときから考え始めた。

飛行機を搭乗キャンセルするわけにも行かなかった。私の帰りを待ってくれている人もいる。私は飛行機に乗った。