アリババによるOMO型ネットスーパーフーマー(盒马鲜生)APPのUIUX分析
実家の杭州に帰って今日本の記事でもたくさん取り上げられたアリババが運営している生鮮食品スーパーフーマーを実体験してきました。
フーマーのAPPを分析する前にまずOMOとは何か、フーマーが伝統的な生鮮食品スーパーとの違いを実体験を交えながら紹介したいと思います。
OMOとは
OMOは「online merges with offline」の略です。直訳するとオンラインとオフラインの融合になります。
OMOは徹底したユーザー起点の思考法です。
オンラインもオフラインもユーザー体験を提供するインターフェースと考えます。ちょうど近くにスーパーがあってついでに買い物をしたいなら、実店舗で買い物するし、今日は出掛けたくないなら、APPで注文します。
企業側はその時に最も便利な方法を選択できるようにオンラインもオフラインも全方面的に顧客との接点を設計整備します。
また、オフラインはオンライン決済で完結しているので、蓄積した購買データを元にUXとプロタクトを改善します。
OMOについて詳しく知りたい方は「アフターデジタル」という本が超おすすめなので、ぜひ読んでみてください。
生鮮食品の分野では、OMOの運用はアリババがやっているフーマー以外に、
Tencent,百度,美团,苏宁など中国のIT、リテール大手も参入してきたので、戦国時代が始まっています。生鮮食品以外、洋服、家具などの分野ではOMOがもはやスタンダート。これについて、また別の記事で詳しくまとめたいと思います。
フーマーについて
フーマーは2016年から展開されていて、2018年末で100店舗を超えています。一番の特徴としてはオンラインで注文すると、3キロ圏内であれば30分以内届けてくれることです。
店内に入ってみましょう。
商品のフタにQRがついているので、それをかざすと商品の紹介が確認できます。商品がこの店舗にたどり着くまでのプロセス、サプライヤーの詳細など詳しく情報提示されています。
スーパーは食品EC倉庫の機能を兼ねています。ネット注文が入ると、店員が一つ一つの商品をバーコードを通しながら、配送バックに入れます。配送バックは天井にあるベルトコンベヤーに乗って、店舗の裏にある配送センターまでたどり着きます。
奥には海鮮コーナーがあります。生け簀から海鮮をピックングしてフードコナーで調理してもらってその場で新鮮な海鮮を食べることができます。
ちなみに、中国では生きている海鮮を買うのが常識です。
レストランコーナー
決済についてはセルフレジしかないです。商品のバーコードをスキャンして、精算ボタンを押します。
支払い方法は2つあります。QRコード決済か、顔認証決済になります。
今回はQRコード決済を選びます。APPを開いて、会員QRコードをかざして完了になります。
APPを見ていきます。
UIUXトレースをするときに、参考になったのがこちらの記事です。
https://note.com/yusuke_27/n/nd4a12f698182
分析手順
1. 画面数と遷移を確認
2. コンセプトメイキング
3. リーンキャンパス
4. メイン画面をトレース
5. UI/UXの特徴を考察
UXデザイン,機能デザイン
ビジュアルデザイン
画面数と遷移を確認
フーマーにあるお店の多くはアリババが運営しているECプラットフォーム天猫(t-mall)に出店しているので、実際の発注は天猫の店舗からされます。
他タブバーのページ
コンセプトメイキング
▼ユーザー
『25歳から35歳若くして結婚した女性で、値段より質を重視する』は、
▼欲求
『鮮度の高い商品をお店に行かなくても届けてくれる』(し)たいが、
▼課題
『お店に行く時間がないが、質の良い生活をしたい』(ない)ので、
▼サービスの特徴
『3キロ圏内であれば30分以内配達する』(こと)に価値がある
リンキャンパス
フーマーの圧倒的な優位性はアリババが持つECフラットフォームと決済システムアリペイにあります。
今は中国国民半分の購買データを持っていると言われています。
ビックデータをAI技術で分析することによって、高い精度で一人一人に合わせた商品を勧めてくれます。また実店舗の品揃もそのエリアの消費志向に合わせて最適されています。
メイン画面トレース
UI/UXの特徴を考察
UXデザイン,機能デザイン
1.検索機能
買う商品が明確な場合は直接検索。
タグの一番右にその食材を使った料理一覧が出てきます。
なんとなく種類だけ決めている場合は検索バーの下の種類から検索することができます。さらに下に購買データに基づいたおすすめ商品一覧が表示されています。
タブバーの「分類」から検索することもできます。
左に大枠の分類が表示されていて、上のバーにさらに細かい分類が表示されています。
非常に見やすいです。
他の中国の注文系のアプリを見てみると、大体同じようなレイアウトになっています。
特にこのような商品種類が多いアプリに適したレイアウトじゃないかなと思います。
レコメンド機能
検索画面、カート画面におすすめ商品が必ず出てきます。それもアリババだからこそできるビックデータに基づいた精度の高いレコメンドです。
中国では検索から探索へのシフトが特に顕著です。
決済機能
フーマーの決済はもちろんアリババが提供しているアリペイで簡単に決済することができます。
ちなみに、中国のアプリの登録が非常に簡単です。大体携帯番号1つで登録できます。決済方法も携帯番号からwechat payかアリペイの情報が自動的に登録されます。
なので登録も決済も1つのボタンで完了できるアプリが多いです。
ビジュアルデザイン
アプリ全体は非常に洗練されています。アクセント色はロゴの色、海鮮を連想させる湖の青を使っています。それ以外は基本白とグレーのみで、食材本来の色を目立たせています。
フォントについては中国語になっているため、正確なフォントが見つかっていないです。フォントをRobotoで代用しています。