確率と期待値で考えてみる:選択と抽選のこと
先日の記事「確率と期待値で考えてみる」が自社比で多くの反応をいただきました。
同じNOTERにも、確率と期待値の世界に身を置いて発信している人をみることが出来るのは嬉しいことです。
このテーマについて、もう少し深堀りしていこうと思います。
まず今回は、選択と抽選のことについて
選択と抽選とはなにか?
選択と抽選は、ゲームとしての麻雀を理解するために、近年(おそらく2000年以降)言及されるようになった概念ですが、単なる麻雀の専門用語にとどまらず、確率と期待値で考えてみるときには一般的に通用する整理の仕方と考えています。
まず、麻雀における選択の抽選について、現代の麻雀技術論で著名なネマタ氏のコラムを引用します。
「選択」にのみ思考を巡らせよう
麻雀の一局の進行は、配牌を取った後は、ツモ→打牌→(他家の打牌)→ツモを局が終わるまで繰り返しになります。
このうち、配牌とツモは、「抽選」であり、打ち手が干渉することはできません。干渉できるのは、何を切るかという打牌と、他家の打牌に対してどうするか(鳴くかどうか、あがるかどうか)という「選択」だけです。
「抽選」に干渉することができないことは、多くの方が頭では理解していると思われます。しかし麻雀は運の要素が強いゲームですので、どうしても、「抽選」の方に意識が向きがちです。
しかし、人の思考には限りがありますので、干渉できないものに意識が向いてしまうのは、勝つためには損でしかありません。抽選に干渉できるという考え方を「流れ論」と呼ばれることがありますが、抽選ばかりに意識が向いているようでは、流れ論から脱却できているとは言えません。ただ麻雀講座を読むだけではなく、普段麻雀の話をする時も、「抽選」ではなく、自分の打牌が本当に正しかったのかという、「選択」に考えを巡らせてはいかがでしょうか。
(「麻雀ウォッチ」サイト内、ネマタの麻雀講座 第2回 「『選択』にのみ思考を巡らせよう」https://mj-news.net/column/nemata-lecture/2017010257079 より引用)
原因から結果までの流れとして確認すると、原因は与えられている現在の環境と、現在の環境の下でどうするかを決定する選択に分けられ、選択に応じて抽選が生じて結果が得られる。という流れになります。
環 境
+
選 択
↓
抽 選
↓
結 果
選択と抽選の考え方は適用できる範囲が広い
①選択肢が明確である
②抽選は確率に従う
③結果が明確である
という性質の事象には選択と抽選の考え方が適用しやすいものです。
例えば。
・競馬は、勝馬投票券を購入するという選択をして、競走という抽選を受けて、的中+払戻金額または不的中という結果が生じます
・投機または投資は、商品を買う又は売る(売り持つ)という選択をして、市場参加者の売買動向や景気の動向や発行体の経営成績などの抽選を受けて、値動きやインカムゲインといった結果が生じます
・受験は、志望校や受験科目を選択して、他の受験生や出題内容という抽選を受けて、合格又は不合格という結果が生じます
受験の場合は短期的には上記のような選択と抽選ですが、中長期的には、もっと勉強をして志望校を維持するのか、現状を維持して志望校を下げるのかといったことも選択といえるでしょう。
好きな異性に告白することも、受け入れられる又は振られるという抽選を受けて、付き合い始める又はそうならないという結果が生じるものです。
抽選に干渉することはできないが、人間は抽選に意識を向けがち
ここまでに挙げた例について確認すると
・競馬の競走の内容に干渉することはできません
→しかし多くの競馬ファンは競走の内容を非常に気にします。
・投機や投資で市場参加者の動向や景気の動向に干渉することはできません
→しかし投機家や投資家は市場参加者の動向などを気にします。
・受験で他の受験生の動向や出題の内容に干渉することはできません
→しかし(略)
・告白したとして相手の意思表示に干渉することはできません
→しかし(略)
特徴的なことは、望ましい結果が得られたときよりも、望ましい結果が得られなかったときの方が抽選が意識に影響する度合いが大きいということでしょうか。
抽選と選択の期待値や質を高めることはできる
抽選に干渉することはできない。というのは、少しややこしい概念です。
「抽選の結果を意図的に操作することは出来ない」と言っても良いでしょう。サイコロでいうと、サイコロの出目を決めることは出来ません。
一方で、
抽選の期待値は選択により変化します。
例示の内容に当てはめても妥当でしょう。
選択の質を高めることもできます。
何を選択することが抽選の期待値を高くすることになるのかの知識や理解力を高めることです。
選択の質は、短期的にも、適切な情報に依拠することによって高めることができます。(適切な情報を選択する選択の質はどうしたらよいのかとは問題はあり)
抽選の質を高めることが出来る場合もある。
例示の中で麻雀や競馬や投機ではなく、受験や告白に適用できるものです。
すなわち、学力そのものを高めて、同じ選択に対する抽選の期待値を高めたり、人間力を磨いて告白成功率を高めることが当たります。
まとめ
以上から、確率と期待値で考えてみるにあたって選択と抽選のことを考慮するときに有用なことは
①抽選そのものは気にしないように努める
②選択の質や抽選の質を高めることを考える
ということになる。とまとめることが出来そうです。