参院選の1人区結果を見て(→軽く分析)
今回の参院選では、1人区の32すべての選挙区で、事実上、自民党候補(+公明党が推薦)と有力野党の統一候補の一騎打ちとなりました。
選挙区ごとの結果などを見て、勝敗を分けた要因についての仮説が浮かびました。
この仮説を軽く、ゆるめに、分析してみます。
✓ 結果の概要
→ 自民党が22議席、野党系が10議席獲得した。
(↓選挙区ごとの結果が一覧できる参考記事)
1人区、野党共闘頭打ち=自民、東北の苦戦変わらず【19参院選】(時事通信社)
✓ 結果から思い出した調査等
→ 比例代表区投票の出口調査では、前回(2016年)、前々回(2013年)参院選との比較で、30代以下の年代からの自民党への投票が増え、60代以上の年代からの民主系への投票が増えた。
30代以下支持、増す自民 60代以上と逆転 出口分析(朝日新聞)
→ 自民党支持率は若年層が高い。立憲民主党の支持者層は高齢者
若い人が選挙に行くほど政治は変わらなくなるw(BLOGOS 長江一石氏)
僕が結果からこれらの調査等を思い起こしたのは、野党が議席を獲得した選挙区について、特に高齢化が進んでいる都道府県が多いな。という印象を受けたからです。ここから、
高齢者の割合が高い選挙区での野党の勝率が高かったのではないか?
という仮説が出てきましたので、実際に調べてみました。
なお、何をもって高齢者とするかは難しい面もありますが、ここでは65歳以上として検討します。
【65歳以上の人口割合の順番に並び替えた参院選1人区結果】
たしかに、65歳以上の人口の割合が高い選挙区での野党の勝率は高かった。と言えそうです。
32選挙区のうち、65歳以上人口割合が9位までは野党から見て5勝4敗で、半分の16位まででは6勝10敗となっています。
もっとも、得票率と人口割合との関係は凸凹しているようにも見えます。統計的に明らかに人口構成割合が与野党の得票率結果に作用する要因と言いきれるのかどうかまで明瞭ではないでしょうか。
沖縄、滋賀、宮城での野党勝利は目を引きますね。沖縄は地域における重要な争点があったことの影響がありそうなので保留するとしても、滋賀、宮城の結果は分析する価値があるかも知れません。
参考として、望月雄大さんがNOTEで出している集計結果によると、1人区全体の自民党の得票率は52.76%ということです。
<一人区>
・自公:得票率52.76%→議席率68.75%
・その他:得票率47.24%→議席率31.25%
表の作成上の資料や留意点は以下のとおりです。
==================================
◆得票率(全体)は、NHKの「参院選2019開票速報」のWEBサイト のもの
◆得票率(2位まで)は、事実上すべての選挙区で一騎打ちとなったため、1位と2位の得票者に対する投票合計に対する各得票率を再計算したもの
◆65歳以上人口割合は、国立社会保障・人口問題研究所の「報告書--『日本の地域別将来推計人口』(平成30年推計)」の2020年時点の推計による
→ 確定数値によらず推計によったのは、確定で容易に利用できる最新の資料が2015年の国勢調査結果であり、2020年推計の方が誤差が少なそうと判断したため
→ したがって実際の投票日現在の数値とは誤差がある。
◆人口全体に占める65歳以上人口の割合より、有権者に占める65歳以上人口の割合の方が有用なのは当然なところ、資料のアクセス可能性から軽い分析として人口全体に占める割合を使用した。
◆鳥取島根選挙区、徳島高知選挙区については、各県の全人口と65歳以上割合から2県全体での65歳以上割合を計算した。
==================================
感想など
厳密な統計的な検討はともかくとして、感想としては、いわゆる高齢者世代よりも生産年齢層の方が相対的に自民党支持率が高いのでないかなと考えます。
その要因について気になっている統計量がありますが、気力・体力・時の運が整えば分析してみようかと思います。