【小説】仔猫ぶーちょの生活-2 快適ケージ生活
ぶーちょは保護して二週間ほど、先住猫の縞尾のキャリーバッグに住んでいた。縞尾は体重が七キロもある大猫で、そのために中型犬用の大きなキャリーバッグを持っていたのだ。
縞尾はぶーちょが来るまで、猫ドアから外への出入りが自由だった。しかし、このあたりは車の往来が激しく、縞尾のようにこの近所に生まれ、土地勘のある猫ならともかく、ぶーちょのようなか弱い仔猫にはとても危険な場所だった。それで、ぶーちょは我が家では初めての室内飼い猫になった。
昼間は猫ドアを閉め、縞尾の要求に応じて窓を開閉し、夜ぶーちょがキャリーバッグの中で寝たら、猫ドアを解放することになった。
ありがたいことに、この取り決めを縞尾は素直に受け入れてくれた。
ぶーちょは、夜キャリーバッグに入れると、しばらく騒いでいたが、五分もたつと寝た。しかし、朝は、キャリーバッグのドアに両手両足でしがみつき、お腹丸出しで、「出せ、出せ」と主張した。そういうぶーちょを、縞尾は悲し気に見つめた。飼い主たちも罪悪感を覚えた。
そこで、ぶーちょのために、特大のケージを購入することにした。ケージは巨大な段ボール箱に詰められ、到着した。とてつもない重さだった。山のようにあるねじと悪戦苦闘し、まる一晩かかって汗だくになり、組み立てた。高さ百四十センチの、一番下にリッターボックス(猫用トイレ)のある、三段重ねの棚を備えたものが出来上がった。
ぶーちょは、就寝時間の夜九時過ぎになるとケージに入れられ、朝まで過ごしている。暑くなってきたので、飼い主が開けるまで、あお向けになって寝ていることもある。ケージに閉じ込められる、という気持ちにならないよう、昼間はできるだけ、入れないようにした。
ぶーちょは、時々、自分からケージに入り、棚で昼寝もしているので、かなり気に入っているようだ。