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【小説】雄猫ぶーちょの生活 17 ぶーちょ、天袋の戦い
第一夜、水曜日、ぶーちょは天袋で昼寝したまま、夜になっても降りてこなかった。見上げると、天袋の藤製のかごの隙間か らイカ耳をした警戒心たっぷりのぶーちょがいた。
今日のぶーちょは手ごわそうだ、と思った。
案の定、夜食の時間になっても降りてこなかった。就寝時間の九時になっても降りてこなかった。
縞尾はいらつき、私の頬を爪でひっかく。早くあいつを寝かせろ、と。
結局、十時過ぎに、我慢できなくなったのか、自分で降りてきた。おりるや否や猫トイレに駆け込んだ。ずっと我慢していたのだ。
第二夜の木曜日、早くもぶーちょは学習した。あまり早くから立てこもるとよくない、と。そこで、昼寝はケージですませて、夕方まで地上でうろうろし、夜食もしっかり食べ、それから素早く天袋に立てこもった。
おなかがすくと、私に気づかれないよう、静かに天袋から降り、すばやくドライフードを食べ、天袋に帰っていった。
だが、それでは、早く猫ドアを開けてほしい縞尾は納得しない。
そこで、猫じゃらしとお気に入りのぬいぐるみでぶーちょを誘い出そうと、私たちは奮闘した。そのかいあってか、ぶーちょは振り上げられたぬいぐるみにつられて、地上に降りてきたが、あ、また騙された、という顔をした。
第三夜の金曜日、ぶーちょは余裕である。戦術戦略もしっかり立てた。夜食はしっかり食べる、トイレもすませる、天袋に上がったら絶対かごから出ない。完璧だ。
この夜は本当にてこずった。猫じゃらしにつられてかごの外に出るが、そのたびに、はっと気が付き、かごに戻るのだ。最終的に、今ぶーちょが一番気に入っているピンクの豚のぬいぐるみが、ぶーちょを地上に連れ戻した。
ああ、疲れた。