「4ヶ月、3週と2日」
バザンの「映画とは何か」に対するダドリー・アンドリューの「これが映画だ!」で知った2007年カンヌ最高賞作品。
ルーマニアのチャウシェスク政権末期の1987年、ルームメイトの中絶を手助けする女子大生が主人公で、ほとんど彼女の視点で描かれています。
うら寂しい町全体の雰囲気、ホテルを借りる際の受付係との不条理なやりとり、そして違法に中絶手術を行う男との交渉。お金が足りないので、主人公はその男と寝る羽目になるのです(ここだけ部屋の外で待つルームメイトの視点)。詳しい中絶手術の描写。手術後の友人を残して恋人の母親の誕生日パーティーに行くエピソード。胎児を捨てに夜の街をさまようエピソード。
長回しを忘れてしまうほど最初から最後まで画面に緊張感があり、普段垣間見ることさえできない出来事を体験した気になりました。
2015年12月18日