見出し画像

スマホの中身

紳士

ついつい隣の人のスマホ画面を盗み見てしまう。

今朝は50代くらいのスマートな男性が横に座った。
コーチのバッグ、カルバンクラインの手袋、
よく磨かれた靴はどこのだろう。
ピンと伸びた背中が紳士らしさを漂わせていて、キュンとした。

ふっとスマホを盗み見た。
Lineをしていた。
Lineの背景画像を見て、男性の横顔を見て、またスマホの画面を見て、
男性の横顔をじーっと見てしまった。
脚を組んでミニスカートで座っている女性のスカートから下の部分の写真。
こちら側からではなく向こう側から、正面から撮った写真だった。
スカートの中が見えそうで見えない、そんな背景画像だった。

人は見た目ではわからない。
とっても紳士的に見えたのに、嫌らしい一面をスマホに隠し持っている。
いっぺんに、この男性が汚らしく見えてしまった。

中学生

中学生が、スマホの画面をクルクル指でまわしながら、私の横の座った。
私は彼のスマホを盗み見た。
ゲームをしないのでよく分からないが、指でクルクルなぞるとキラリーンとポイントが入るといった簡単なルールのゲームを夢中になってやっていた。
子どもってなんでも夢中になるね、可愛いらしく感じた。

駅のアナウンスが「次は横浜~横浜です」と訊くや否や、彼は慌ててスマホをバッグにしまい、英語の教科書とノートを膝の上に広げカリカリと問題を解き始めた。
中学校1年生だろうか、I (      ) to school.という問題だった。
カリカリ、カリカリ、シャーペンで次から次へと問題の答えをノートに書いていた。

前のめりになって必死になって書いている彼の背中は、
いけてないサラリーマンの背中と重なった。

中学1年生の彼は子どもでありおじさんであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?