個人向け福利厚生のネットワークビジネス「全国福利厚生共済会」を考察
アート系の在宅ワーカーを目指している友人がいるのですが、その友人と先日話をしていたときに
どうやら、バイト以外にも収入を得ているっぽいことが分かり
「どんな方法で稼いでいるの?」
と質問してみました。
すると
「個人向けの福利厚生の仕事をしていて……」
と、彼女。
「何それ?」
と聞いてみると
「もしよかったら、詳しく話を聞いてみない? 実は同じ仕事をしている人で、あなたと同じように旅行が好きな人がいて……」
と教えてくれました。
なになに、なんだか面白そうじゃない?
そう思って、「ぜひ!」と、その「旅行好きな友人」を紹介してもらうことになったのです。
全国福利厚生共済会(プライム共済)の名刺を渡される
私は無類の旅行好き。特に海外一人旅が好きで、バックパッカーではないのですが、かなり近い形の激安旅行にちょくちょく出かけます。
いつか、世界を旅行しながら生活できないだろうかという夢があったりもします。
そのため、彼女が紹介してくれるという人も、バックパッカー的な世界一周しちゃいますというアクティブ元気女子をイメージしていたのですが、待ち合わせ場所に現れたのは、私たちよりも20歳ほど年上の、でもキレイなスーツを着た女性。
……これは、旅行好きは旅行好きでも、リッチな旅行好きな方で、私とは全然方向性が違う
と、一目見て分かりました。
同時になんとなく感じたのが
(……これって、ネットワークビジネスの勧誘になるんじゃ……?)
ということ。
そこからカフェに移動して渡された名刺に書かれていた会社が全国福利厚生共済会(プライム共済)。
ネットワークビジネス?と思っていたのですが、共済と書かれていたので(あれ、大丈夫そう?)とちょっと安心。
その共済は個人向け福利厚生。
普通は福利厚生って、会社に入っていて会社のサービスとして加入できるものなんだけれど、主婦や年金生活者、フリーランス、自営業者のような個人でも加入できるサービスなんだとか。
「個人向けの福利厚生って、聞いたことある?」
と聞かれ、(あったような、なかったような……ランサーズで加入できる福利厚生があったけど、あれは個人向けとはちがうのかな?)と考えていたところ
「ないのよ。ないの。うちだけなの。個人で入れるのは!」
と、たたみかけるように彼女。
そうなの? ないの???
とにかく、ないらしい。
全国福利厚生共済会(プライム共済)とは
聞けば、月額2800円で福利厚生に加入し、いろいろなサービスを受けることができる、という商品なのだそう。
15年ほど前にこのサービスができ、最初は会員数も少なくて受けられる福利厚生サービスの数も少なかったけれど、じわじわと会員が増えてきて、今は会員数18万人、そして受けられるサービスの数は500超えなのだとか。
このサービスに加入すると、ホテルなど宿泊施設を利用する際に割引が受けられ、引っ越しサービスの割引、あとは三親等までのお葬式を格安で上げられるなどの各種サービスが受けられるそう。
特にお葬式が格安で上げられるというのは魅力的で「へえ、いいかも」と思いました。
なるほど、サービス自体は悪くない。
しかも、このサービスを作ったのは高井利夫氏というETCサービスの権利を持っている人だそうで、彼は年に80億円の稼ぎがあるという話(本当かどうかは不明だけれど、私に話をした女性の話では、そうなっている)
で、これがビジネスになるのは、このサービスに加入する人を増やすとコミッションがもらえるという仕組みがあるから。
これだけならアフィリエイトと変わらないのだけれど、これは、会員が退会したり会費(月額利用料)を払い忘れない限り、会員一人当たりいくらというコミッションがずーっともらえて、会員を増やせば増やすほどもらえるコミッションも増えていく、というシステムになっているのです。
………ん?
………これって、ネットワークビジネスでは?
と、頭の中に危険信号がチカチカし始めます。
会員には、サービスを受けるだけの会員(K会員)と、これをビジネスとして行う会員(勧誘する会員・P会員)の2種類があり、サービスを受けるだけなら月額2800円、ビジネスとしてやりたいなら月額4,000円の会費が必要との事。
………うううーーーーん………????
プライム共済の詳しいシステムは、プライム共済で調べるともっと詳しく書いてあるサイトがあるので、そちらを参照してください。
ここでは詳細は省きます。
全国福利厚生共済会(プライム共済)の、「良いかも」と思ったところ
ま、簡単に言うと、自分を頂点として下に子を2人作り、その下にさらに子をつなげてピラミッドを作っていく方式で(子は2人までしか作れず、さらに加入したい人がいた場合は、自分の子の下につなげていくシステム)で、まあ、まさにネットワークビジネスなわけです。
けれど「ちょっと面白いかも」と思ったのは、自分も誰かの子になるわけで、自分の上にいる人が新たに加入希望者を見つけてきた場合、自分の下につなげてくれることもあるため、そうすると自分は何もしなくても自動的に子が増えていくというシステムになっているということ。
こちらのサイトの画像が分かりやすいです
そのため、普通のネットワークビジネスよりは、稼ぎやすいようなのです。
(……うーん、悪くない。でも自分の子を1人も作れなかったら、ただこのサービスを受けるためだけに4,000円払い続けることになるんだな)
そう考えると、どうしてもこのサービス自体に4,000円の価値があるとは思えない。
てか、年間4万8000円だよ?
子をうまい具合に増やせればプラスになって副収入(しかも不労所得)になるわけだけど、これ、
自分から積極的に子を増やさなくてもいいけど、最初に2人の子を作らなければ稼げない(そこがスタートライン)
になるので、この2人の子を作れなかったら意味がない。
てか、いかにもネットワークビジネスな、こんなのに加入してくれる知り合いが思い浮かばない(ま、普通は加入しないよね)
そのあと、2時間のセミナーにも誘われて受けてみたのですが、セミナーを受けてますます
「これはダメだな」
と思ったので、加入するのと、このビジネスをやってみるのは止めにしました。
全国福利厚生共済会(プライム共済)の、「ダメだな」と思ったところ
まず、一番ダメだな、と思ったのは「救済策」のシステム。
「自分子を2人作らなくてはいけなくて、その下に子が増えていくことによって、自分の収入が増えていく」
というシステムなのだけれど、自分の直下の子が月額費用を支払えないと、その月の収入がゼロになる、というある種危ういところがあるシステムで、その救済策として、1人3口まで加入できる仕組みになっているという点。
つまり、自分の直下の子2つを、家族の名義などで自分が月額費用を支払うことにして加入することで、月の稼ぎが0円になるのを防げるという仕組みになっているのです。
つまり「絶対に稼ぎをキープしたい」のなら、最初から自分を含め3口分加入しないと安心できないということ。
全国福利厚生共済会(プライム共済)の会員数は近年急激に伸び、現在18万人の会員がいるとのことなのですが、この「1人3口」を考えると
総会員数の2/3は名義だけ、実体がない!
という可能性が大きいのです。
名義だけでも会費さえ支払われていれば良いのかもしれないけれど……なんかちょっと。
それから、この月額2800円もしくは月額4000円の福利厚生サービスって
生活が苦しくなった時、私だったら真っ先に断捨離する、と思ったから。
今はいいけれど、この先日本の経済が停滞していくことは火を見るよりも明らかだし、そうなると人々は、生活に絶対必要なことにしかお金を使わなくなります。
そんなときに、福利厚生サービスに毎月3000円近く払うか、と言ったら「払わないだろう」と思ったから。
どう考えても、将来性があるように思えないのです。
あとは、私にいろいろ説明してくれた人の話が、矛盾だらけというか……
「分からずに話してるな」
「受け売りをそのまま話しているな」
「根拠がないことを適当に言っているな」
と思う部分が多々あったから(ここでは詳しく書きませんが)
お金が絡む話をするなら、受け売りを言っちゃだめでしょ。自分でちゃんと真偽を調べないと。
個人向け福利厚生サービスはもっと格安で受けられる
さて、プライム共済には加入しないことにしたのですが、個人向け福利厚生というサービス自体は魅力的だなと思いました。
会社勤めをしていたときは恩恵に与れたけれど、フリーランスになるとそういうのないからね!
けど、プライム共済の人は「個人向け複利厚生は、うちだけ。他にはないの!」と言い切っていたけど、本当かなあ……
そう思って調べてみたら……
ありました!!
しかも、かなり割安でサービスを利用できます。
ベネフィット・ステーション プライベート
複利厚生サービス ベネフィット・ワンが提供する個人向け福利厚生サービスです。
なんと月額324円。約120万のメニューガ使えます。
バリューカフェテリア
初年度年間6480円(月額540円)、2年目から年間3,000円(月額250円)で利用できるサービス。
サービスの種類は150種類以上。
ちなみにフリーランスの場合、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスに登録する人も多いと思います。
ランサーズでは、3カ月以上月額5,000円以上のお仕事をしていれば、リロクラブが提供するランサーズクラブオフという福利厚生サービスも受けられます。
こちらは無料で使えるので、ランサーズワーカーの私は「最初っからランサーズクラブオフが使えたじゃん!!」という結果になりました……(さっそく申し込みました)
フリーランスはどうしても仕事が安定しないので、定期的な収入が得られる口が欲しいなあと思います。
その方法としてネットワークビジネスを選ぶ人もいます。
ネットワークビジネスを全否定するわけではないのですが、でも、ネットワークビジネスって、自分が創成期に参加していなければ儲けるのはほぼ不可能なシステムです。
プライム共済の場合、自分の下に50人をつけることができれば、自分の共済会費4000円を支払っても月に9,000円の儲けが出ます(それでも月のプラス収入が1万円に満たない)。
自分の子が増やした会員の一部や、自分の上につながっている会員が勧誘した人もそこに含まれるので、純粋に一人で50人を集めなくてはいけないわけではありませんが……
「50人、このビジネスに参加してくれる人を集められますか?」
って聞かれて、
「いやいや、無理でしょ」
って思うでしょ。
やる人いないよ。
しかも、そんなにがんばっても純利益9,000円だからね。
知人友人を誘って、その人達にお金を払ってもらって、その上その人達にまで勧誘させるなんて良心的に無理だし、やってもいいよっていう人がいたらその人は相当騙されやすいアホの子だし、そもそも9割方ドン引きされるうえに友人関係まで壊れます。
ネットワークビジネスよりも、自分の技能を磨いてそれで収入を得たほうがよっぽど確実に稼げると思います。
自分が初期メンバーに入れないなら、プライム共済をはじめ、ネットワークビジネスには手を出さないほうがいいのは鉄則です。