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これからは繰り返していく歴史の始まり SONYの新事業も農業

自分は音楽が大好きで19歳の時から音楽業界の中で動き始めたのですが、その経験から、ある企業のことが好きになりました。

それはSONYでした。

色んな音楽会社・音楽レーベルがあってそれぞれに特性を持っています。例えばエイベックスはダンスミュージックばかりリリースするし、テイチクは演歌が多い。東芝EMIはなんだかんだでギターロック系が好きだし、キングレコードはアニメやプログレ。そんな具合です。

そんな中でSONYの新リリース情報を見るのが好きでした。名作の再発から新譜からSONYは一味違う。さすがトランジスタラジオやウォークマンを発明しただけあって、CMの煽りじゃないけど、いつも何かが新しい。それがSONYでした。

経済評論家の大前研一さんも、世界的な何か新しいシンポジウムがあって出席するといつもSONYの盛田さんや井深さんがそこにいたと書いてました。SONYという社名は「世界中誰でも発音ができる」をコンセプトにつけられた名前だったそうです。

私はSONYを企業というより、一つの思想集団みたいな目で見ていました。SONYが次に何をやるのか、何を企むかには関心があったのです。


しかし、音楽業界は異変が起こります。アップルコンピューターの登場でした。CDそのものが要らないサービスが提供され始めたのです。

1999年ぐらいからSONYのCDリリースも数が一気に減りました。当然です。SONYが次に何をやるかという視点は、次にアップルコンピューターは何をするのかに変わりました。

私が人生で大きく戸惑った時期でした。音楽業界にまだいましたから、何とか食っていかなきゃいけない。しかし、どうすればいいのか。迷いに迷いました。

その混迷の中で、一冊の本に出会いました。

フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」という本でした。

今までは、領土を拡大する戦争があったり、生活を一変させるテクノロジーの発達があったけど、そういう何かが進化する時代は終わった。これからは何も進化しない時代が始まる。地球も隅々まで行き着くしたし、新しい発掘も発見もない。

ドイツの哲学者ヘーゲルは歴史は進化するものだと言ったけど、その進化がもう無くなる。もう歴史の進みは終わった。

こういう内容の本でした。

そして。

この本がすごかったのは「これから地球・人類はどうなるのか」というサジェスチョンがハッキリあったのです。これを自分は貪るようにら読みました。

拡大する歴史は終わった。
進歩する歴史も終わった。
これからは繰り返して行く歴史になる。


ヘーゲル理論の終わり、そして、その後は進化しない歴史が繰り返す。

先日、SONYグループが新時代の事業の主軸を農業にすると決めたというニュースを見ました。ちょっと驚きました。


あの最先端を行くSONYが、農業か。

これからの時代。

おそらく新しい産業というのは生まれにくいでしょう。

あのSONYグループが農業を選択する時代なのです。
それはやはり進化せずに繰り返して行く文化です。


哲学的にはデカルトやヘーゲルの時代が終わり、レヴィ・ストロースやバルトの思想が生きる時代になって行くと私は思います。それがどういうことかというのはワークショップの中でお話したいと思います。

(次の思想哲学ワークショップは2021年9月25日です)


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