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ノーベル物理学賞(2024年)をクールに語ろう! その3

その2からの続きです。そうそう先ほど、AI発展史を要領よく整理したのを見つけたので貼っておきます⇩

頻出英単語集みたいに整理されてしまっていて、大学でこの分野の講座を撮っている学生さんたちが単位を取るにはいいのだろうけど、歴代の研究者さんたちにすれば苦笑いですねきっと。


ホップフィールド先生による、連想記憶術的な記憶ネットワーク理論「ホップフィールド・ネットワーク」には元ネタがあります。

磁性体の研究です。

ワイスについてはすでに触れてあるので、その後の発展ぶりについて以下、手短に述べておきます。(ちなみにコピペです。少し手を入れましたが)


  • 1910年代 - スピンの概念の確立:

    • 物理学者がスピンの概念を提唱し始めたのは、特に1920年代から1930年代です。ウォルフガング・パウリ(Wolfgang Pauli)→ ポール・ディラック(Paul Dirac)の一連の研究で、電子のスピンに関する理論が進み、電子が持つ内部の自由度としてスピンが認識されるようになりました。

  • 1930年代 - イジングモデル:

    • 1920年代末から1930年代にかけて、物理学者のエルンスト・イジング(Ernst Ising)が提唱した「イジングモデル」は、スピン系の相互作用を扱うための重要なモデルです。イジングモデルは、スピンが隣接するスピンと相互作用する様子を簡潔に表現しており、このモデルの解析を通じてエネルギーの最小化と相転移の現象が研究されました。

  • 1940年代 - 磁性体の理論の発展:

    • 第二次世界大戦後、統計力学と量子力学の進展に伴い、スピン系の理論が発展しました。特に、ヴァン・デル・ヴァールス(Van der Waals)やフェルミ(Fermi)などの理論がスピンのエネルギー状態に関する理解を深めました。

  • 1960年代以降 - 磁性の理論と応用:

    • 1960年代には、スピン系のエネルギー最小化の原理が量子情報や材料科学の研究に応用されるようになり、ホップフィールドネットワークなどの機械学習アルゴリズムにも影響を与えました。


ポップフィールドは固体物理学と統計力学の方面で研究キャリアを積み始めた方です。スピンの理論に精通していたのも、そういう道のりからだと想像します。

スピンネットワークは、外部からのノイズや欠損に対しても高い自己修復性を持っています。例えば、スピンの一部が欠損しても、残りのスピンがその情報を補完し、全体のパターンを再構築することができます。

部分的な欠損があっても全体の構造をリカバリできる… これって脳と似ていると思いませんか?

画像はイメージどすえ

戦場で脳を負傷して、しかしその後リハビリを経て、特に障がいが残ることなく暮らしている元兵士さんの話、ときどき目にしませんか。あれです。

脳は一部の細胞が失われても記憶が維持されます。つまり記憶はハードウェアではなく、何か神経ネットワーク全体でなされていることになります。

このことにポップフィールド先生は着目して、磁性体のスピン・ネットワークの原理を、今日でいう機械学習の基礎理論として取り入れたと、そんな風に理解していただければ、これまでの私の話にうまく収斂していくわけです。

ふう。次回でようやくヒントン先生の研究の話にいくよっ。⇩ の右の人物画像の方です。


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