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リオ五輪の「君が代」はどうして美しかったか(その4)

⇧の続きを続けます。

今回分析するのはこちらどすえ。



「ファ」は鳴るけれど「シ」は鳴らない。「ド」も鳴らない。ということはC長調ともF長調とも取れる、F長調寄りの復調和声。ミ・ラが完全四度音程


ここも「シ」は鳴らなくて、「ファ」と、それから「ド」が鳴るので、F長調とC長調の復調和声ミ・ラ と ファ・ド がそれぞれ完全四度音程


ここは「ファ」と「シ」が共演。C長調。さらにはファ・シが増四度音程なのでドミナント・モーションを煽っています。ソ・シ・レ・ファ(四度堆積)和音 with ラ で、この「ラ」が旋律の「レ」と完全四度音程


続く小節はどうかな。

ここは「ファ」も「シ」も鳴らない。「ド」は鳴る。C長調寄りのF長調ともG長調とも取れる和音。


「ファ」と「シ」が共演。C長調


ファ・ラ・ド・ミ和音。C長調ともF長調とも取れる。原曲ではここより和音はずっと付いていないです。ミ・ラで四度音程が生じています。


ド・ミ・ソ・シ和音。シ・ミで四度音程。繰り返しますが原曲では和声付いてないです。C長調ともG長調ともとれる和音。


残るは一小節。原曲では和声付いてないこの小節に、このアレンジ版でアレンジャーさんはどうアレンジをしていったのか。

ファ・ラ・ド・ミ和音 with レ。C長調ともF長調とも取れる。 ラ・レ の完全四度音程が生じています。


ミ・ソ・シ・レ和音 with ラ。G長調寄り。それに ミ・ラ と シ・ミ と レ・ソ で完全四度音程


ここが難しい。歌は「レ」で始まり「レ」で終わる。「ド」で終わらない。レ の完全四度下つまり ラ を付けることで東洋的あいまいさを強調し「ド」もしっかり挿んでその直後に「レ」に進ませてトニック性を回避…というところでしょうか。


通しで聴いてみましょう。


全体的に完全四度の和声が通底していますが、これみよがしに四度ではなく、四度堆積和音の転回形を使って、奇数度の基本に沿っている感じです。

CともFともGとも取れるかと思ったらはっきりCだったりGだったり、C短調だったりと、調性が原曲以上に揺れ続ける…これは編曲者さんはっきり意図的にそうしていますね。

それにしてもこの採譜どこまで正確なんでしょう。YouTubeにあったのを私がMuseScoreに手動入力していったものですが。


つづく

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