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小4の英語(その2)
その1からの続きです。
小4篇は、小3篇より1単元に割くページ数が少ないことに前回触れなかったので今回指摘しておきます。どうしてなのかはこれから順に見ていきましょう。
今回目を通すのは Unit 2 。ちなみに4コマ使います。週1コマで四週間かける案配です。
「♪ Let's Chant ♪」
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「Let's Watch and Think① えいぞうを見て、日本や世界の子どもたちの遊びについて知ろう。」は動画視聴です。教師用授業案によると、子どもの遊びにはいろいろあることを生徒たちに気づかせていく狙いのものだそうです。
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そういえばこの小4篇全体をざっと見てみて感じたのは、小3に比べてやたら「世界」を意識させる作りであることでした。
次のページへ。
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赤でくくったのは、音声再生を聴いて、上に並ぶ三人と、それぞれがどんな遊びをしようと言っているのか線で結んで示しましょうというクイズ。
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音声を聴くと、けっこうハードル高いです。「なんばー、わん。はうずざうぇざー?いっつれいにー。おーうぇる、れっつぷれかーぜん」(Number one: "How's the weather?" "It's rainy." "Oh well, Let's play cards then." "Okay.")
「どんな天気?」「雨」「おお、ならばカードゲームしまひょ」ですか。これを耳オンリーで理解して、こんな風に線を引かせる。
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ふーむこのクイズをやらせる前に、生徒たちには「♪ Let's Chant ♪」で英語の歌を聴かせて、それからやがてくちずさむよう促すようです。歌詞はこんな風。
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「うぇざー」「さにー」「れいにー」「くらうでぃ」などの形容詞が出てきますね。わかんなくてもいいからリズムにのって慣れてねということのようです。
その後、デジタル教材や絵カードを見せながら、それぞれが「てんき」「いいてんき」「あめ」「くもり」のことだよと視覚的につかませていくようです。
こうやって慣れさせていって、音声を聞かせてこれを解かせるのですね。
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「なんばー、わん。はうずざうぇざー?いっつれいにー。おーうぇる、れっつぷれかーぜん」(Number one: "How's the weather?" "It's rainy." "Oh well, Let's play cards then." "Okay.") こんな感じになんばーとぅーが、それからなんばーすりーの音声を聞かされて、こんな風に線を引かせていく。
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「すりー」なら③で、「さにー」が聞き取れれば「☀」に線がひけます。
ただこの③の音声、ちょっとしたひっかけがしかけてあります。「れっぷれいたーぐ」「うーんそりー、あいどんらいくぷれいんたぐ」とあってその後「れっつぷれいどっじぼーる」と続くのですよ。「ぷれいたぐ」は鬼ごっこのことです。しかし「あいどんらいく」つまり「やりたくない」と述べているので選択肢で下段まんなかの絵は選べない。もっとも③の最初で「さにー」と述べているので「☀」をさっさと選べばこの罠は迂回できるように工夫されていますが。
動名詞がそれとなく出てきているの、気が付きましたか?「I don't like playing tag.」って。「ぷれい」と「たぐ」が聞き取れればいいという割り切りに乗じてそれとなく動名詞を繰り出しているのです。
徹底して耳と絵重視なぶん、さりげなく逸脱をしかけていますね。巧いうまい。
次の聴き取りクイズは少々難しいですよ。
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再生音声を聴いてみましょう。
「るーっく、いっつさにー、ぷっとおんゆあきゃっぷ、のー、のっとざぶらうんきゃっぷ、ぷっとおんざれっどきゃーっぷ」
Look. It's sunny. Put on your cap. No, not the brown cap. Put on the red cap.
正解はこちら。
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「さにー」と「きゃあっぷ」が聞き取れれば、ほかはわからなくても上の絵から正答できます。毛糸のぼうしをかぶるなら☀ではなく☁のほうだろうと小4なら楽勝でヒントを読み取るだろうから。
ほかの選択肢についても完全には聴き取りできなくても同様に正答できます。「くらうでぃ」「しゃーつ」「のー、のっとぶるー」「ぐりーん」や、「れいにー」「ぶーつ」「のー、のっとぶらっく」「いえろー」。
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完璧に聞き取って正答させるのではなく、正答をわざと裏技で見つけさせて、それが正答であるかどうか耳をこらすように生徒たちをうながすわけですね。巧いですうまい。
しかしこういうの、いったん落ちこぼれると追いつくのけっこう大変な気もします。
次。何か音声を聞かされて、天気の絵を□に書きこませるようです。
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音声はこちら。聞いてみましょう。
「なんばー、わん。あいむいんじゃぱーん、いっつさにーひあ」
「じゃぱーん」と「さにー」が聞き取れれば、①の□に☀を描きこんで正解です。
念のためいっておくとお天気の選択肢は四つで、マス目は六つです。つまり「さにー」は一回きりとは限りません。じっさい「なんばー、つぅー。あいむいんいーじぷと、いっつさにー」と音声は続きます。②はエジプトですね。ここも「☀」です。
このクイズを解かせたあと、何か動画を見せるようですね。
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この英語音声を小4で理解はできないので、狙いはむしろ世界への関心を刺激することにあるようです。
「Activity」です。何かゲームをやらせるようです。
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デジタル教材や絵カードを駆使して何かやらせるのでしょう。こんな風に。
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こういうので1コマの後半を費やすようですね。
うーんここに学習指導例のPDFがあって、それ準拠でこの「Let’s Try」を分析しているわけですが、教師にすればやはりかなりしんどいですねこれ。今回のもそう感じました。
その3につづく