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マッハとアインシュタインと「思考実験」

「マッハ」の名は目/耳にしたことがあると思います。あのマッハです。

この子はアンドロイドのアラレちゃんですが、マッハとあるのはドイツの物理学者エルンスト・マッハのことです。正しくは彼の名にちなんだ音速度のことです。

アインシュタインの初期論文を順に読んでいくと、すでに証明されていることがらを彼独自のやり方で証明していたりします。先行研究はあまり知らなくて、代わりに彼の生涯の得意技「思考実験」を駆使して、先行者よりも優れた解き方で謎解きしているのです。

この「思考実験」については検索でどうぞ。これの提唱者がマッハ教授でした。1883年刊行の "Die Mechanik in ihrer Entwicklung"(邦題名『マッハ力学史』)が初出のようです。ちなみに「相対性」の提唱も本書でなされています。

アルベルトは1879年生まれですので、この本と遭遇したのは刊行直後ではなく、おそらく学生時代だと思います。彼の著述でマッハについて言及される最初は1916年、つまりマッハの追悼文でした。名高い「一般相対性理論」の方程式を作り上げた直後にあたりますね。

相対論で著名人になるのは、もう数年後のことでしたが、とにかく無名のアマチュア時代より彼がマッハの科学哲学を自分の研究原則にしていたのは確実です。そうでなければ初期論文のあの鮮やかさと、自信ぶりは、説明できません。

ある素朴にして極めて強力な科学哲学をおのれのナイフに、さまざまな難題に挑みかかり、さらには「こういう実験を誰かやってみてくれ、きっとこういう結果が出ると思う」とシン課題を出してきたりと、読み返すたびにその孤軍奮闘ぶりが印象に残ります。

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