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アインシュタイン(満26歳)のノーベル賞論文は穴だらけ - Part Eight

論文の第7節を解読していきましょう。

第6節の解読はこちら。そして以下が第7節です。



日本語にすると「ストークスの法則について」です。いきなりわかりやすくなりました節タイトル。

しかしストークスの法則ってなんやのー?という声ならぬ声が私の耳に聴こえてきたので、順に説明します。


こういうのです。

わからへーんという声が私の耳に聴こえてきたので説明します。これは紫外線をあてたものです。

ひとつひとつのビーカーのなかに、それぞれある特殊な溶液を入れて、それらにいっせいに同じ紫外線をあてると、こんな風に、それぞれ違う色で発光します。

紫外線というのは光です。ひとの目でわかるぎりぎりかその外側にある電磁波で、ぎりぎり見える周波数であれば薄い紫色に見えます。そのもっと外側の電磁波ということで「紫の外の光線」つまり「紫外線」と呼ばれています。


下のスペクトラムでいうと、紫外線は左端の紫エリアのもっと左側にフレームアウトしたところにある光です。周波数がだんだん下がっていくにつれて、色が右寄りになっていって 紫 → 青 → 緑 → 黄 → 赤 に移ろっていくわけです。

以上を頭に入れた上で、以下の画像、もういちどよく見てください。紫外線をあてられて、紫よりも低い周波数(というか振動数)の色を発していますね。これがどういうことか、わかるかな?


これこそが「ストークスの法則」です。検索すると、こんな説明が出てきます。「ルミネセンス(蛍光)として放出される光の波長は,照射光(励起光)よりも常に長い」と。

また小難しい単語が出てきよりましたが、要は紫外のパチンコ玉がある特定の物質にあたると、もっと低い色のパチンコ玉がそこから弾けでるという、不思議な現象です。

物質しだいで「低い」のレベルが違ってきますが、とにかくぶつかってきたパチンコ玉(光)よりも低い振動数の光がとびだしてくる、しかしより高い振動数の光はとびだしてこない…そういう現象を、発見者の名にちなんで「ストークスの法則」と呼んでいます。

溶液中の物質がすべて異なるので放たれる光の色(つまり振動数)もばらばらですが、どれも「紫」より低い振動数の光を放っています


ところで今、私は「パチンコ玉(光)」と申しましたが、光は電磁波、そうです「波」ですので、パチンコ玉などという表現は、少なくともかの偉大なマクスウェル電磁気学においては許されざるエクスプレッションであります。

しかしアルベルトはこの第7節で、とうとうある壮絶前衛大胆なことばづかいで、光について語りだします。

それは ――

Lichtquant
(光量子)


この1905年3月論文で、彼は「エネルギー量子」(Energiequanten:ちなみに単数形にすると Energiequant)ということばを作り出して、この第7節まで論を進めてきたわけですが、ここでついに現われるのですよ「光量子」(Lichtquant)が。

光には最小単位があって、それを「エネルギー量子」と呼ぶならば、いっそのこと「光量子」と名付けてしまっても、ええんやなかろうかというわけです。

それまでの物理学を「古典物理」、これ以降の物理学を「現代物理」と一線を引くこととなる、この「光量子」ということばが、今この第7節で、ついに産声を上げたのです!

おぎゃーおぎゃー


この子の命名が、どれほど大胆で、革命的であったのか ―― それは続く第8節が理解できれば、理解できます。


つづく

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