小5の英語教科書に目をとおしてみたら(4)
これの続きです。今回取り上げるのは Unit 4。
このあたりから怪しくなっていきますこの教科書。
「He can bake bread well.」とありますね。この単元で「can」がデビューするのですが、とあるごまかしのために「can」が悪用されるのです。
ページをめくってみましょう。
きゃんゆーぷれいヴぁれーぼーる?
いえすあいきゃん/のーあいきゃん
この英語、実はあまり正しくないのですよ。相手にはこう聞こえてしまうから。
バレーボールならできる?
または
あなたにバレーボールができる?
って。
怖いでしょ「can」って。上が本来のニュアンスなのです。
右のページを見てみましょう。よく見ると、どうして「can」のデビューで焦り気味なのか見えてきます。
ふーいずいとーゆな?
しーいずまいしすたー、しーきゃんすけーとうぇる
三人称単数がどうのこうのって皆さん中1の後半で習いませんでしたか。あれがここに絡んでいます。
I smoke.(私はたばこをすう)
She smokes.(彼女はたばこをすう)
こんな風に、主語が「She」とか「He」のときは動詞が少し変形するという、あれですよ。最初に習ったとき、戸惑ったという向きも多いと思います。私もそうでした。
小学生の子に、こういうのはもっと戸惑うだろうということで、小学校の英語ではこういうのは教えないことになっています。
代わりにこういう英文を教えていきます。
She can smoke.(彼女はたばこが吸える)
この文は少々おかしいのですが、「can」を無理やり挟んだことで動詞が変形しない、つまり小学生の生徒たちに「三人称単数による動詞活用が」どうのこうのと授業で説明しないで済むのです。
そういうところがありがたいということで「can」をやたら挟んできますこの教科書。
いつもの対話ゲームへ。
ふーいずまーくすみす?
ひーいずまいふぁーざー、ひーいずあべーかー、ひーきゃんべいくぶれっどうぇる
この最後の文、本当は
He bakes bread well.
(うちのパパはパンを焼くのが上手)
つまり動詞が活用していないといけないのですが、小学校ではこういうのは教えないことになっているので、
He can bake bread well.
(うちのパパならパンを焼くのが上手)
と無理やり「can」を挟んで、動詞を活用させないようにしているのです。
右ページで、グループ制おけいこ。いつものですが。
「can」を挟んだりしたらニュアンスがおかしくなってしまうのに、こうやって子どもたちに「can」をとにかく使わせるおけいこをやらせるせいで、旧課程以上に日本の子どもたちは「can」のニュアンスを間違って学んでいくのです。
こんな社会科ごっこしてる場合じゃないでしょ!