ルベーグ積分で気がおかしくなる数学徒たちへ
ルベーグ積分をひとに教えるとしたら、どう教える? そんな思考実験を頭の体操がてら、かなり前から考えています。
カギはやはり、∞は近づいていくものなのか、すでにあるものなのか論争かな。高校数学では n→∞ で語られてしまうけれど、ほんまもんの数学では ∞ はどん!と存在してしまうの。
前者だと時間の進みとか、近い遠いといった、物理的概念がどうしても混じってしまいます。
数学は数学で自律すべきという、19世紀後半にカントルあたりから始まった革命の波が、20世紀冒頭になってルベーグによってルベーグ測度論に、そしてカラテオドリとハウスドルフによって洗練されたのが、現代のルベーグ積分です。
ルベ積の本を読んでいると、∞ の扱いをどうするかで一大ジャンプがあったことにはろくに触れないのが解せないです。集合論にくわえ位相空間論をきっちり習っておかないと理解できないからかな?
それぞれが有機的に絡んでくるので、数学史をわかっていないと気がおかしくなる世界ではありますね。さっさと適応してしまう、いわゆる神童くんたちはどこまで本当に分かっているのかなって思います。