∞(無限)という球をめぐるゲーム
これの続きどす⇧
これまで何度か言及した『物理数学の直観的方法』なる書物には、複素関数をはじめとする大学数学のわけのわからない諸々を、巧みな比喩と視覚化で分からせてくれる書物で、私もお世話になったひとりです。
しかし今読むと、たとえば一様収束についての説明が(間違ってはいないのだけど)ゆるゆるだったり、コンパクト性の本質がどうもつかめていない風だったりと、いろいろゆるゆるで、物理学学徒にはこのくらいで間に合うのだとしても、数学学徒にとっては害悪も少なからずあるのではないかというところです。
閉集合、開集合のペアを使えば解析学が語れてしまうロマンが伝わってこない。
抽象数学とはスポーツのルールブックを作っていくようなものだと私は前から考えています。
これ、なんの球技のルールブックか分るでしょうか?
これです。
私は体育の授業で(嫌々)バスケをやってはいるので、こういう球技なんだなってことは体でわかります。なんとなく。しかしそういう「体で覚えろ」なやり方を禁じ手にして、すべてを言語化して教えるとなると、数学における定義➱定理➱証明➱定義➱定理➱証明の無限反復と同じになりますきっと。
シンプルに「∞(無限)という球をめぐるゲーム」と最初に宣言して、そこから段々話を広げ、深めていく教え方って、できないのでしょうか。
そして「物理学からの独立宣言」のドラマとして歴史語りしていくの。
前回もした話ですがカラス三羽に二羽のひよこが孵ったら何羽かしらという問いに、幼児はカラスを思い浮かべながら(場合によってはカラスの絵を描きながら)指で数えて答えようとしますが、算数では3+2と抽象化して5を算出しますよね。そこにはもはやカラスとかみかんとかの物理的実体は消えているわけです。
バスケのルールブックには、選手の人種や性別や身長体重ほかの物理的実体はいっさい省かれています。
なにかいい本は書けないものか・・・