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宇宙のロマン、それは時間依存シュレディンガー方程式(その3)

その2からつづくよ。ハミルトン力学は、高校物理では習わないとはいうものの、いわゆる古典物理学のほうに分類されています。

力学的エネルギー保存則(中学理科!)を、偏微分(おお大学微積…)で語りなおしたようなものですからね。

ハミルトン関数 = 運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー

神の作り給いしバランスシート(力学の帳簿というところかな)でございます。


神という名の帳簿係

ところがこの神様、小銭の計算については緩いところがあります。

本当です。不確定性原理と呼ばれています。

たとえば  運動量 $${p}$$ と位置 $${x}$$ のペアについて、その正確な値を双方同時には神でさえ帳簿チェックができません

 エネルギー $${E}$$ と時間 $${t}$$ のペアについても、やはり双方同時には帳簿のチェックができないのです。

どうしてできないのかというと…

そこをまともに語りだすと長くなってしまうので、物理学者たちは「不確定性原理」と名付けて済ませています。


♪ はみ~ると~ん、あーみーっ!

ハミルトン力学、振り返ってみましょう。

ハミルトン関数 = 運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー

この式は、神様が完全無欠の帳簿係さんという前提での式です。

しかし実際は(全体での値は正確なのだけど)こくわずかな金額で誤差がどうしても生じてしまう、そういう帳簿係さんでした。

人間的ですね。人間の世界では、帳簿に「現金過不足」という項目をあらかじめ用意して、全体のあるべき値と、計算値の微細な食い違いについては、その項目に押し込んで「誤差ってどうしても生じるからねー」で済ませています。

量子力学の帳簿では、波動関数 $${Ψ(x, t)}$$ が今取り上げた「現金過不足」欄の役を務めています。

くだんの数式 ⇩ にですね…

ハミルトン関数 = 運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー

波動関数 $${Ψ(x, t)}$$ をふりかけると、こんな式に変貌してくれるのですよ!

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帳簿でいうところの借方・貸方の両方に「現金過不足」にあたるものを巧く挟み込んだもの…と思えばいいです。


その名はディラック定数

ここにある $${ℏ}$$ がエネルギーの総量を表す…とさしあたって思い込んでくださると嬉しいです。

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ここが運動エネルギーで…


これがポテンシャルエネルギー。


マシリト博士もびっくり

おさらいしましょう。以下の…

ハミルトン関数 = 運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー

これは「不確定性原理」が見出されるより前の時代の数式ですが、そこに $${Ψ(x, t)}$$ を、こうやって両辺に挟み込むことで…

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同原理対応の式に、かっこよくチェーンジ!できてしまうのです。
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もっとしゃんとしなさいヒーローなんだから! つづく



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