何がそんなに面白いんだいチャーリー・ブラウン?
以下のコミックストリップを見ていただきましょう。
英語が読める方ならくすっとくるのでしょうが、読めない方、または読まない方にとっては、スヌーピーが歩いて止まってボタンを押してひとに追い抜かれてまた歩き出すという一連の動作が複数のパネルで(そして色分けで)描かれているという以上ではないと思います。
この「Peanuts」シリーズに限らず、アメリカンのまんがは文字テキストをいちいち読まないと何が面白いのか分からないものが大多数です。すべてとは言っていないのでいきり立たないでくださいアメコミ通を自負する皆さま。絵というかイラストがあって、何かギャグなり物語なりを語っているらしいぞと視認して、そして文字テキストを読んでいって「ああなるほどそういうオチか!」とほほ笑む…それがかの国ではまんがを楽しむお作法のようですね。
そういうお作法を消化して4こままんがに革新をもたらしたのがいしいいさいちだった等の難しい話は後の機会にするとして、文字テキストを読解することでどんな風にくすっが来るのか、これより実際に体感していただきましょう。本当は吹き出しの中のテキストを書き替えたものを貼りたかったのですがそういうアプリを使えばできるのはわかっているのだけどダウンロードして操作法を学ぶの面倒くさいので日本語訳を画像下に付けてヨシとします。
日本語にすると今一つくすっとこないのは、英語ならではの理屈っぽさが日本語にはうまくのらないせいなのかな。スヌーピーは「TO CROSS STREET PUSH BUTTON WAIT FOR WALK SIGNAL」(道路を渡るためにはボタンを押して歩けの表示が出るのを待て)という案内文を読んで、そこに「AND THEN WALK」(信号が変わったら歩け)とはないので、ボタンを押してしばらく待てば自動的に道路の向こう側まで運んでくれるのだろうと思い込んでいたのだという、時差攻撃的なギャグなのです。男の子(スヌーピーとは仲良し)が「YOU HAVE TO MOVE YOUR FEET, TOO!」(動く歩道じゃないよ)とポーカーフェイスで通過し、その後「HOW EMBARRASSING!」(えへへしくじった)と歩いているスヌーピーが描かれているのを目にして私たちは「ああそれでスヌーピーはずっと立ち尽くしていたわけね」と同時に「ああそれでスヌーピーが立ち尽くしているコマを連続させたのでこのまんが家さん」と、二重のくすっを堪能するわけです。
こういうメタな笑いについてはいつかじっくり分析してみたいです。文字テキストを読解しないと何が何だかわからないイラストに終わってしまう、アメリカンなまんがの基本技法ゆえに生じるメタな笑いだなーって感じました。ここにある非常に面白いテーマがあるのですが考えが熟していないので熟してきたら少しずつ語っていきますね。