エイミー先生、そこで生徒を止めなさいなっ!
[これの続きです]
ここらで一発、それはないよセニョールな英語をご紹介します。
カイトくんがいきなりかましてきました。
What animals can we see in New Zealand? (?)
(ニュージーランドではどんな動物が見られますか)
ああ、ああ、日本の中学英語の伝統芸がこんなところで息を吹き返してます!
伝統芸? そうですの。日本語に直訳するともっともらしい英文に思えるのだけど、本当はそんなにもっともらしくない英文が、教科書に堂々と載っているという、伝説の伝統芸です。
いいですか皆さん、この英文じたいは文法的には正しいのですが、ネイティヴにはこう聞こえています。
原文を分析してみましょう。
What animals can we see in New Zealand? (?)
「We」(私たち)とありますね。これ、リアルタイム対話中のニュージーランドの姉妹校の皆さまが「You」(あなたたち)で、アサミやカイトたちが「We」(私たち)なのだと、姉妹校側の面々には理解されます。
まるでアサミたちが、修学旅行でニュージーランドまでやってくるかのようです。「もうじきそちらにぼくら行くわけだけど、どんな動物が拝めるかな?」と。
こういうときこそエイミー先生の出番です。カメラに向かって、ニュージーランド側の生徒たちに、きっとこう説明してくれることでしょう。
He wants to say, "Your country has a lot of unique animals, hasn't it?"
すなわち、
この子はつまり「ニュージーランドには変わった動物がたくさんいるんだよね」と言いたいのよ。
と割って入ることでしょう。
このページで「What なになに do you なんたらかんたら」文をデビューさせないといけないので、「What animals can we see in New Zealand?」つまり「今度ニュージーランドにぼくらみんなで行くので、どんな動物が見られるか知りたいな」と誤って理解されるであろう英文が、強引に押し込まれているのです。
「can」を小学校でやたら稽古させられて、本当のニュアンスがわからないまま、中1でこういう英文を習わされるのだから、まことに気の毒に思えます。
[続く]