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はじめて

適応障害で通院し始めて4ヶ月、ついに先生から11月末で卒業できそうだね〜と言われた。適応障害の治療目安は6ヶ月。4ヶ月前の自分と比べたら見違えるくらい元気になったし月一とはいえ病院の為に都内に出るのが大変だったからちょうどいいかと思っていた。そんなふうに言い聞かせてたけど1回怖いと思ってしまったものは今でも怖いままだし病院に通わないということはもう戻れない感があって急に不安に襲われた。11月からはまた1人で生きていくのかって。またフルタイムでお仕事が始まる。久しぶりってこんなに怖いんだっけ。

そう思ってたら街の景色が違う風に見えてきた。

キラキラしているように見えた東京の街があまりキラキラして見えなくなった。みんな大変なことあるんだなって毎日必死に生きてるんだなって。

冷たく感じてた東京の人が困ってる人をみんなで助けていた。優しい。冷たく感じてたのはあの時の自分がキラキラしてた街とキラキラしてる人たちに嫉妬していたからかもしれない。程遠かったからかもしれない。

ゴミ箱に入りきらない瓶がゴミ箱の上に綺麗に並んでいた。きっと前だったらゴミ箱外に瓶が散乱してたら危ないなとか早く回収してくれないかなと思ってたはず、でもはじめて見た光景だったからいや、今までだったら目にも止めていなかった光景だったから綺麗に見えたのかも。

そう思ったら久しぶりじゃなくてはじめてで物事を捉えてみたら少し気持ちも変わるんじゃないかと思った。久しぶりは前までの感覚を取り戻そうとしたり前までの見られ方の自分で行動したり「前まで」という言葉がどんなことにもついてくる。でもはじめてならどんな自分でもいい、どんな立ち振る舞いをしてもいい、はじめてだからやりたいだけやればいい、失敗してもはじめてだから大丈夫。はじめてだから何にでもなれる。

はじめては久しぶりよりもドキドキするかもしれない。でもはじめては久しぶりとは違うドキドキ。どんな自分に出会えるか、どんな人と出会えるか。

私が読書を好きなのは自分が経験したことのない、はじめましての体験ができるから。この間は世界旅行をする旅作家さんのエッセイを読んだ。私もはじめて世界旅行をした気分になった。

「はじめて」なら大丈夫かもしれない。


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