新世界のあたま #349
俺はよく飽きる。
音楽的にやらなければならぬこと、みたいなものが今は落ち着いていて、ほとんどやりたいと思うことだけをやっている。言わば暇なのだが、こんな音楽が作りたいと思うものはあるので、そのイメージに近づけられるように、誰に求められているわけでもなく勝手にひとりで忙しそうにしている。考え方によっては無敵のような状態だ。
「これがやりたい」と思ったら、良くも悪くも他のことをそっちのけにしてそれをやってしまう癖があるので、集中力は途切れずに済む。その結果、たとえば今の場合だとイメージに近い音作りはできるようになった。そしてそこでいったん飽きてしまう。
それを広げて新しい作品をたくさん作ればいいのだろうけど、もうできてしまったのだからそこまで熱意が続かない。続いたほうがいいことくらいはわかっているが、どこかしらに惰性のようなものが含まれてしまうと思って、手を出したくない。
お仕事的な観点で考えると、構築した仕組みを場合によっては自分以外の誰かにもシェアして、それを横に向けてどんどん展開していくのがふつうだと思う。そうやってある意味アタマを使わなくても製品やサービスが出来上がっていくようにする。
俺に限った話ではなくて、作品はその図式には当てはまらない場合がある。でかいマーケット上で大量生産されるものが作品ではないと思わないので、一概にそれとこれは別もではないけど、少なくとも俺が個人で作る音楽はビジネス的なものと縁がない。だから俺が俺の作品として作るものはたぶん永久に売れない。卑下しているのではなくて、そもそも性質がちがう。
今日また飽きがきた。実践しはじめてからたった二日程度の熱意だった。どうやったらできるのか、と言うことを考えて、今出せるアイデアを出していった結果がそうだったので、技術がずいぶん身についたのだと思うけど、それはそれでさみしさがないわけではない。
使う機材を変えたりすると、慣れないせいで自ずとかかる時間が延びる。だから人は新しいものに飛びつきたくなる。飽きたくないから。
かと言って、やりことがなかなか前に進まないことはストレスにもなる。バランスがむずかしい。
京野MUSICTRICAL
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