Walls and Bridges / John Lennon

聴いてそうで聴いてこなかった音楽を、今さらこっそりまじめに聴くシリーズ。

ビートルズのことは好きだ。ビートルズフリークというわけではないけど、いちおうアルバムはひと通り聴いて、そのなかでも好みの作品があったり、ビートルズはやっぱり中期がいいですよ!なんてことを酒場でウダウダと話せる程度に熱はある。

ただし、ジョン・レノンのソロ作品をアルバム単位で聴いたことがなかった。もう15年くらい前にベストアルバムを iPod に入れて、そのなかの数曲を延々と聴いていたことはあったけど、しかしまあそんな程度のお付き合いでしかなかった。

せっかく聴くなら、正しく1stアルバムから聴いてみることにした。

最初の数曲を聴いてにて、どうして今まで俺はジョン・レノンのソロ作品を聴いてこなかったのかがだいたいわかった。直感的に、好きじゃない(笑)

ビートルズのなかでは、ジョンが作曲した曲が好きだ。でもたぶんそれは、変な曲が多いからだと思う。ソロ作品の方は、あまり変じゃない。いや、何も変じゃない。たぶんジョンが素直にリスペクトしているロールドロックを丁寧にやろうとしたんだろうなと思う。

そう思うと、ビートルズ時代の終わりごろには、まさかそんなことができなかったんだろう。彼らには音楽の歴史を塗り替え続けないといけない責任があった。そりゃまぁ解散するわけだ。

さらに聴き進めていく。5曲目あたりで、このアルバムがちょっとずつ好きになりはじめている自分に気づく。序盤よりも曲のトーンがだんだんと下がりはじめたということも言えそうだけど、どちらかと言うとジョン・レノンが鳴る部屋の空気に俺が慣れはじめた。ジョンに対して俺が人見知りをしなくなってきた。

楽曲が苦手というのは、おもしろさやよさがわからないということだけど、音楽場合はいったんその音楽で空気をあたためることで、少し自分と距離をおくことで、ピタッとそれがわかるときがある。わからなかった理由は、音楽のよさではなくて距離感のほうだった。

そう思えば、サブスク時代の今、最新の音楽は向こうから距離を詰めてくるものが増えるはずだ。あきらかなフックがあったり、強引に踊らせてきたり。それはそれでいいけど、部屋に充満させような作品もちゃんと生き残れるように、せめて俺自身はそんなふうに音楽を聴けるような状態でありたいと思う。

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