新世界のあたま #328

歌のレコーディングをした。レコーディングと言っても、自主制作音源のもの。

俺はボーカリストではない。が、ときどき歌う。そして歌うことは好きだ。自己顕示欲が強い方なので、本当はギターボーカルみたいなおいしいポジションでバンド人生を歩みたかったと思っているくらいだ。ただし俺には大きすぎる弱点がある。かなり強めの慢性鼻炎を、幼いときからずっと患っている。俺は鼻に爆弾を抱えているのだ。世の中の爆弾のなかで、最も格好のつかない爆弾だ。

今回レコーディングしたのは、言わば身内向けで、リリースします!みたいなものではないけど、せっかくなので出来る限りいいものを作りたい。歌ものとなると、俺のボーカルが今後のその曲の運命を握ってしまうことになる。

あろうことかこの2週間くらい鼻の具合はいつもに増してよくない。油断すると日常生活中に酸欠になりそうなくらい、いつも鼻が詰まっていて苦しい。この状況で歌を録音するとなると、できる限り体調を整えておかなければならない。

ボーカルを自分のポジションとして掲げている人たちは、本当にたいへんだと思い知らされる大切なライブの前なんかは、声が出なくなったらどうしようtl不安な気持ちになり、変な夢を連日見てしまいそうだ。そういえばライブ前やレコーディング前は酒を控えるボーカリストの人をよく見かけるが、そういうことなんだろう。

音楽を作ったり演奏するときに、多かれ少なかれ自分の身体を使うということは、どのパートにも共通しているけど、ボーカルはその中でも異様なくらい自分自身の身体と向き合うことになる。なにせ自分の身体から音を出すのだから。何も持たずに己の身ひとつでと言えど、自分の身体をひとつツールとして扱うのだから、場合によっては一番研究がむずかしそうだ。楽器を使う人たちは、新しい機材のことを調べてウキウキしたりするけど、ボーカリストは新しい呼吸法や新しいのど飴なんかについて調べてウキウキするのかもしれない。

あと練習もたいへんだ。大きい声を出していい場所なんて意外と限られている。ギターを弾きてえなー!と思っても、そこにギターもアンプもなければすぐに諦めもつくが、ボーカルはいつも必ず歌える状態で、歌いてえなー!と我慢し続けなければいけないわけだし。


今日のMUSICTRICAL

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