#18 スモールステップで、黒字のフリースクールを立ち上げるための教科書(前編)
このようにご相談をいただくことが増えたので、この度フリースクール立ち上げノウハウを1~10まですべてまとめたnoteを執筆することにしました。
そんなあなたに読んでいただきたい内容を体系的にまとめておりますので、よろしければぜひ最後までご覧ください。「誰もが半年以内に黒字でフリースクールを運営し始められる未来を実現するためのノウハウ」を余すことなくおとどけしていきます。
なお、こちらのnoteでは「ヒト・モノ・カネ・情報」といった資源がほとんどないという方を想定してノウハウをまとめています。
「つかえる資源があるよ!」という方は、これから挙げるノウハウに資源を掛け算することで、より加速度を持って事業を推進していくことができるといった整理をしていただけますと幸いです。
無花果の紹介
はじめましての方もいらっしゃると思うので、まずは簡単にですが自己紹介をさせていただきます。私たち無花果(いちじく)は、瀬戸内エリアを拠点に全国で教育事業を展開している教育系スタートアップです。
Forbes JapanにてNEXT100という、100通りの「世界を救う希望」として選出いただいたりもしており、フリースクールや通信制高等学園を主に運営します。
また教育事業を展開する中でノウハウを体系化し続けており、個人や法人がスクール事業を立ち上げる際のサポート等もさせていただいています。
これらの事業の一環で100件を超える多様なご相談を受けてきており、そこで得られた知見をもとに、この度はフリースクール立ち上げノウハウをまとめていきます。
【前置き】 0 → 1 : フリースクール立ち上げ前に身につけたい、最低限の経営思考
では早速本題に入っていきましょう。
こうした質問は毎回のようにいただきます。
あなたはフリースクールを黒字で運営できている未来を想像できますでしょうか?「想像できる」という方はこのセクションを読み飛ばしていただいて大丈夫です。「想像できない」という方は、ぜひ以下ののように思考を整理してください。
フリースクールはスモールステップで金銭的なリスクはほとんどなく始めることのできる事業です。(経営のお話なので、あえて「事業」という表現を使わせていただいております。)
結論からお話をすると、次のように事業の骨格をつくることから始めることを私たちはおすすめしています。
>① 生徒1人あたりの学費を設定(4万/月など)
私たちは「お金を払ってでも通いたいと思っていただけるスクールをつくった上で、その先で学費を下げたい気持ちが強いなら、学費を下げる方法を模索する」という順番を大切にしようといつもお伝えしています。
ご相談をいただく中で多いのは、この順番が逆の方です。
「限りなく無償に近いカタチで、教育をとどけたい。」
この想いは本当に素敵です。ですが、フリースクールを持続可能なかたちで運営するには現実問題資金が必要です。経営のことを考え抜くことなく学費設定をしてしまうと、スタッフへの人件費を十分に払えなくなりフリースクールが立ちゆかなくなってしまうなどの「望まない未来」をきっと迎えてしまうでしょう。
もちろん最初から寄附金集めなどをして経営を成り立たせていく方法もあります。他にマネタイズポイントをつくり、フリースクール自体で利益を望まないという方法もあります。これらはとても素敵なビジネスモデルなのですが、「しっかりと未来を思い描いた上で学費を安くして運営をスタートすること」と、「思考停止をし想いだけで学費を安く設定して運営をスタートすること」との間には大きな差があります。まずは自身が前者としてフリースクールを立ち上げられるよう、思考を深めていきましょう。
とても当たり前のお話からですが、売上はざっくりと以下の式で計算されます。
例えば月謝を4万円に設定すると、生徒数5人で20万円の売上、生徒数10人で40万円の売上になります。
ここで大切なことは、「月謝○万円は適正だ / むしろ安いくらいだ」と感じられるくらい教育内容を考え抜き、実践していくという姿勢です。フリースクールの立ち上げには、子どもを預かるという観点で一定の責任が伴います。もちろんこの責任は、無償でフリースクールを運営するからといってなくなるものではありません。あなたは、自分のつくるフリースクールにどれだけの価値があると感じられているでしょうか?無意識下で「学費を低くすることによる教育内容の妥協」を選んでいないでしょうか?
運営として資金があるからこそつくっていくことのできる学びは確かに存在します。その点も踏まえて、まずは目標売上(売上 = 顧客単価 × 顧客数)を想定して月謝を仮設定してみましょう。月謝についてまだよく考えられない…という方は、「目標売上44万円 = 月謝4.4万円(税込)/ 週2日プラン × 10名契約」を仮設定として読み進めてください。
>② 月々のコストを計算する(コストを限りなく抑える工夫を考える)
次に考えることは、月々のコストについてです。
フリースクールは前述した通り、スモールステップで金銭的なリスクはほとんどなく始めることもできる事業です。
とてもざっくりとですが、フリースクールの運営に係る固定費・変動費の例は以下になっています。
私たちのおすすめは、「借りたい物件を借りた時のコストを予測売上が越えるまでは、例えば週1日〜で貸してくれような場所を探してフリースクールを運営する」という方法をとることです。フリースクールを始める際、最初からコストを大きくかける必要はありません。売上が立つことが具体的にイメージできるまで、コストを限りなく抑えるための工夫はたくさん思考・実施できます。
最大限コストを下げながら、自分でもできる最初のスモールステップはどこになるのかを考え抜いてみましょう。
>③ 「① > ②」を、あらゆる手段を用いて実現する。
ここまででなんとなく毎月の売上・コストをイメージすることができたと思います。ここからは「① : 売上 > ② : コスト」が本当に現実的かを判断し、より思考を深めていきます。
「① : 売上 > ② : コスト」を実現していくための具体的なおすすめのhowについて、1つピックアップをして以下に挙げていますので、よろしければぜひ参考にしてみてください。
(1)開校日を週2日にする。
フリースクール立ち上げ時におすすめなのは、(原則となる)開校日を減らすというhowです。自明のことなのですが、開校日を減らした分だけ「フリースクールの生徒を増やすための施策を打つことに使える時間」も増えます。
例えば、毎週火曜日・木曜日の13時 ~ 17時を開校日にするとどうでしょうか? この条件だとあなたは、平日丸3日、そして平日2日間の午前中に、生徒募集のために時間を自由に使うことができます。
時間に余裕があると、以下のようにその時間を活用することができます。
フリースクールを運営する中でよくあることは、「生徒が誰もいない時に、先生と会う機会をつくってほしい」などの要望を聞くことです。原則としての開校日を設定しておくことで、こうした要望にも柔軟に対応をしやすくなります。
また、週2回プラン : 4万円/月などで設定をすることは、約5,000円/日を意味し、法外な金額設定という訳でもないこともわかります。
いきなり毎日生徒を受け入れるのではなく、柔軟に方針を決めながら運営を進められるように開校日を限定するというhowを、ぜひ検討してください。
補足)事業を加速させるという観点に立つと、代表であるあなた自身が経営のことを考えられる時間を増やすために、現場を任せられる仲間を早く見つけるという打ち手は効果的です。その場合においても人件費削減という観点で、開校日を減らすというというhowは効果的だとわかります。
Ex) かかる自分以外の人件費 : 時給1,000円 × 5h(開校時間+1h) × 8日 × 1人 = 4万円
他にも、
【売上をupさせる施策】
・生徒の勉強のペースメークをするオンラインサービスをつくる。
・保護者向けのサービスをつくる
【コストをdownさせる施策】
・古民家を買い切るなどし、月々のコストを下げる
・ジモティで地道に備品を集める
など、あらゆる手を使って「① : 売上 > ② : コスト」を実現できる未来を思い描いていきます。このhowの数は、無限大です。
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いかがでしょうか?
フリースクールを立ち上げるにあたっての最低限の経営思考についてまずはお話をさせていただきました。
「ここまで読んで〈考えてみよう〉のワークもしてみたけど、よくわからないや…」という方がもしいらっしゃったとしても、安心をしてください。
ここからより具体的に「もし私が、今からフリースクールを立ち上げるなら」をテーマにしてstep毎にフリースクール立ち上げ・運営のhowを解説していきます。質問があれば60分のZoomでのご相談も無料で受け付けておりますので、わからないことなどがあればぜひメモしながら読み進めてください!(その際はぜひ、全てのメンバーシップnoteをお読みいただいた上でご連絡をいただけますと幸いです。)
もし私が、今からフリースクールを立ち上げるなら
STEP1) 教育についての勉強
やはり最初のstepは、教育についての勉強です。
これらの問いに、あなたはこたえることができるでしょうか?
フリースクールを立ち上げる前にはしっかりと教育について学び、フリースクール運営者としての土台を築くことが大切です。
上記の問いにこたえられるようになると、次の問いに進むことができます。
教育の本質について底の底まで考え抜いたことがあるかどうかで、フリースクール運営に際するあらゆる問いの立て方が根本から変わってきます。そして問いが変われば、導き出される解も変わります。
これまで100冊を超える書籍を読んできましたが、今振り返ってみて「フリースクールを始める前に読んでおけるとよい」と感じられる書籍を以下にまとめました。
フリースクール開校後も学び続けることが必要なことは大前提のもと、「フリースクールを始める前の必読書5選」をお届けしますので、まずはこちらの書籍から学びを深めてください。書籍で学び続けるだけではフリースクールはできないので、以下の書籍を読んだ後には具体的な行動(STEP2)に移っていきましょう!
>① 『教育の力』 苫野一徳
「“よい教育”とは何なのか?」をわかりやすく説明してくれる良書です。
本書を読むことで、感想や好き嫌いでではなく「哲学(教育の本質)」に基づき教育を条件解明的に捉え、思考・実践していくことができるようになります。「フリースクールを立ち上げたい」という方に必ず最初におすすめをしている必読書になっていますので、まずはこちらの書籍から手にとってみてください。
ここからもう1冊、苫野一徳氏の書籍が続きます。
>② 『「自由」はいかに可能か 社会構想のための哲学』 苫野一徳
“よい教育”とは以下で定義をされます。
では、ここでの〈自由〉とは何を意味するのか?
この書籍を読むことで、人間の本質に迫り、より解像度高く教育を捉えてくことができるようになります。
〈自由〉をイメージでではなく、しっかりと本質で捉えられるようになることの先に、“よりよい教育”の実践者としての道は開かれます。
少し難しい本ですが、必読書だと私は位置付けているのでぜひこちらで学びを深めてください。(この本が難しいと感じたら、途中でも次の書籍に移りましょう!)
>③ 『〈叱る依存〉がとまらない』 村中直人
3冊目は少しの息抜きも兼ねた、読みやすい書籍です。
「叱ると怒るは違う!叱るは大切だ!」
このような言葉はきっと聞いたことがありますよね。
ではここで問いです。先生として、叱るという行為が“よい”言動となる瞬間とはどんな時なのでしょうか?
“よりよい教育”の実践者として、「確信」に向き合う在り方は重要です。
「叱る」という言葉をキーワードに、今まで抱いてきた「確信」に自覚的になる体験をできる良書ですので、3冊目はぜひこちらをお読みください。
>④『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション』 安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)
4冊目は「問い」に関する書籍です。
そんな「そもそも論」から始まるこの書籍も、ここまで3冊の書籍を読んできたあなたであれば、“よい教育”の実質化に資するかたちで紐解くことができるでしょう。
“よい教育”の大切なキーワードでもある「探究」についての知見を深められる良書です。4冊目はぜひこちらをお読みください。
>⑤『仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考』内田 和成
最後は「仮説思考」について学べるこちらの書籍です。
“よりよい教育”をつくっていくという観点に立った時、仮説思考は最も重要な思考法の1つです。仮説思考を身につけることは、生徒の探究サポートに資することはもちろん、フリースクール運営者(経営者)としてのレベルアップにも資するので、最後の一冊はぜひこちらをお読みください!(書籍の内容自体はビジネスマンをターゲットに書かれております。)
STEP2) 自身のつくりたいフリースクールの魅力を伝える、1枚もののWEBページ案(ヒアリング用)をつくってみる。
STEP1で教育について学んだ後は、その学びを「これからつくるフリースクールの実態」に具体的に落とし込んでいきます。事業をスタートする際、見込み顧客へのヒアリング(STEP3)は最重要項目です。このSTEP1とSTEP3の間に、仮説思考を用いて「現時点で考える、自身のつくりたいフリースクールの魅力を伝えるためのwebページをつくる」というSTEP2を設定します。
webページをこの段階でつくる意図は、自身の提供するフリースクールの具体、そして価値を言語化することを通じて、その後のヒアリングの質を高めるという点にあります。もちろんwebサイトではなくチラシ作成から取り掛かるという方法もあるのですが、私としては「情報量の制限がない中で理想をカタチにできるwebページ制作をおすすめします。
具体的なイメージ、仮説がないままヒアリングをしてもよいお話はできません。webページをつくるというDOを通じ、自身のつくりたいフリースクール像を具体的に整理をしてみましょう。
>(補足1) web制作はまずは無料で
なお、webページはstudioなどのサービスで無料で作成可能です。
今すぐつくることができるので、ぜひ触ってみてください!
>(補足2)他スクールのwebを見てみる
webページを作成する時、他スクールのwebページにぜひたくさん訪問をしてみてください。あなたのつくりたいフリースクールに近いwebページに出会えたり、理想のフリースクールのカタチを更新してくれるwebページに出会えたりするかもしれません。
たとえば↓のスクールなど、とっても素敵ですよね!!
>(補足3)開校場所候補を、リストアップしてみる(声かけも)
見込み顧客へのヒアリングを行う際には教育内容案が決まっていることはもちろん、場所のイメージを持ってもらうこともとても大切です。
例えば私であれば以下の概要のフリースクールを想像し、物件にあたりをつけ始めます。
物件探しはsuumoなどのサイトで行うこともできますが、私でしたら「フリースクールの理念に共感してくださり、週2日〜などで物件を貸してくださる方」をまず探します。
アクセスのいい駅前の物件がいいのか、交通の便が悪くても広い物件がいいのかなどなど、あなたのつくりたいフリースクールに合う物件を探しましょう。
STEP2を通じて、あなたのつくりたいフリースクールは具体的な姿になり続けているはずです。そこから生まれる想いをぶつけ、物件を探しましょう。
> (JUMP UP) 学校コミュニケーションなど、フリースクールについての解像度を上げる。
フリースクールを運営している今だから分かることの1つが、学校コミュニケーションの具体的な姿です。学校との具体的なコミュニケーションの方法が確立していることによって保護者に感じてもらえる安心感はとても大きいです。
たとえば私たち無花果では、毎月学校に生徒の「活動記録」・スクール全体の当月の様子がわかる「いちじく通信」の2点を送付しています。
これらの報告・連携を軸とし、無花果では出席扱いを受けながらフリースクールに通うことのできる体制を整えています。
ここではフリースクール運営実態の一例を挙げたのですが、このような「見えそうで見えないフリースクールの裏側」はたくさんあります。こうしたフリースクールの関する解像度を上げるには、しっかりとお金を払ってでもフリースクール運営者にお話を聞きにいくことが一番のおすすめです。
実際に私たち無花果でも、これまで30組近くの視察を受け入れてきました。(視察希望者が多く、現在は有料でのみ視察の受け入れを行なっております。)webページ制作等を通じ、自分でできる最大限の解像度でフリースクールを捉えられるようになったと感じられるようになったタイミングで視察にいくのも手ですし、関係性などによってはもしかするといきなり視察に行くのもいいかもしれません。
出席扱い制度は自治体によって考え方も違ったりするので、開校予定地域周辺の運営者へヒアリングをすることで得られる情報もきっとあります。「見込み顧客」にとどけたいフリースクールの具体や価値をあなたの言葉で説明・表現できるようになるために、必要だと感じるヒアリングはぜひ行なってみてください。
STEP3)見込み顧客等にヒアリングを始める
STEP2で「つくりたいフリースクール」が明確になってきたら、ここからSTEP3として「見込み顧客等へのヒアリング」を本格的に行なっていきます。このヒアリングにメンタルブロックがかかる方が実は多く、このSTEP3を実行できるかどうかで、フリースクールを開校できるかできないかが決まるといっても過言ではないと考えています。
>ヒアリングをする際の最低限のマインドセット
見込み客等へのヒアリングをする際の最低限のマインドセットとして大切なことは、以下の3つだと私は捉えています。
①はいうまでもないですね。よりよいフリースクールをつくりたいという想いでヒアリングを実施しているからこそ、ヒアリング結果をもとに仮説があっているかを検証し、改善していきましょう。
ここで大切なのが、「② : とはいえ顧客は自身のニーズに気づいているわけではないことの理解」です。ご存じの方も多いと思いますが、ニーズを聞かれた際に、そのニーズを顧客は具体的に言語化をしてくれるわけではありません。顧客は本当のニーズに気づいていないことを説明する際にしばしば引用される有名な例としての「馬車と自動車」の話があるので、こちらをchatgptにまとめてもらいました。この例は、イノベーションや潜在的なニーズの発見についての洞察を与えるもので、以下のような内容です。(chatgptなどの生成AIは、今日のフリースクールでも大活躍しています。)
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> フォードと顧客のニーズの例
自動車の父として知られるヘンリー・フォードが語ったとされる有名な言葉があります。
この言葉の意味
時代背景: フォードが活躍していた時代は、馬車が一般的な交通手段でした。しかし、馬車には速度、移動距離、維持費など多くの制約がありました。
顧客の認識: 顧客は自分たちが直面している問題に気づいていても、それを解決する新しい方法を想像することは難しい場合があります。当時、人々は「もっと速い馬」や「馬車を改良する方法」を望んでいましたが、全く新しい発想である自動車という選択肢は想像できませんでした。
イノベーションの力: フォードは「顧客が求めるもの」を直接改善するのではなく、「顧客が解決したい課題」を深く理解し、全く新しい方法で解決しました。これが自動車の普及につながり、馬車を過去のものにしたのです。
この例から得られる教訓
顧客のニーズは潜在的である場合が多い: 顧客が言葉にできる要望(表面的なニーズ)だけでなく、背景にある本当の課題(潜在的なニーズ)を理解することが重要です。
問題解決型アプローチが有効: 顧客が何を求めているかを直接聞くのではなく、「なぜそれが必要なのか」を掘り下げることで、新しいソリューションが見えてきます。
イノベーションは未知の領域を切り開く: 時には顧客が求めていないものを提供することで、大きな変化を生み出すことができます。
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このように、顧客が言葉にできる要望(表面的なニーズ)だけでなく、背景にある本当の課題(潜在的なニーズ)を理解しようとする姿勢が、ヒアリング時には大切です。顧客の表面的な声に惑わされるのではなく、本質を捉え、ヒアリングを事業づくりに活かしていきましょう。
そしてヒアリングをする際の最低限のマインドセット3つ目が「具体的な提案をその場でつくる姿勢をもつこと」です。ヒアリングを通じて得たニーズに応える提案を、特に立ち上げ時は柔軟に、そして積極的に行なっていきましょう。
例えば無花果におけるフリースクール立ち上げ時には、「いきなりフリースクールには通えなそうだけど、オンラインでのサポートがあったら嬉しい。本人も受験のことを考えて、勉強を頑張るきっかけを求めている」との保護者の声を起点に、オンラインでのサポート体制をその場で小さくスタートし始めました。
生徒本人ともお話をし、まずは平日毎日LINEをし、勉強の目標設定や進捗共有も行うというかたちから一緒に活動を行なっていくことを決めました。(必要な時にはモーニングコールも行なったりしました。今となってはいい思い出です。)
経営的な話を加えると、通常週1回フリースクールに通うプラン3万円(税抜)のところ、テスト運用として上記の勉強サポートもつけて3万円(税抜)という金額で契約をしていただきました。そしてこの生徒を起点に、ここからスタディサプリと提携をして勉強サポート体制をつくっていくなどの未来をつくっていきました。(現在はスタディサプリとの提携はストップしています。)
ヒアリング時にはついついヒアリング後にお話を整理しようとしてしまいがちです。ですが大切なことは、その場でできる限り提案の種も含めてお話をする姿勢です。これができるかどうかで、改善をしていくスピード感が変わってきますので、ぜひ意識をしてみてください。
もちろん、ここで言っていることは「無理やり提案をしよう!」という意味ではありません。目の前の方のニーズに応えられるhowを懸命に考えた先で、
「こんなカタチができたら理想ですかね…?」
「確かに、それだったらうちの子にも提案をしてみたいかも…」
などの会話が生まれたら大万歳です。
私たちはフリースクールを提供する存在ではありません。目の前の方にとっっての「価値」をつくる存在です。ぜひ、あなたらしいヒアリングをし、よりよいフリースクールのカタチをつくっていってください。
>ヒアリング先のおすすめ
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