装画『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』-メイキング
装画を担当いたしました。
今回のお仕事は
2019年から約1年かけて5冊ぶんの装画を担当した『受験ジャーナル 特別企画』と2020年の『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』
から継続してご依頼いただけました。
1:ご依頼
基本的なフォーマットは前回と同じ。
2:ラフスケッチ(約10日後)
初めてお仕事をするクライアントさんにはもう少し丁寧なラフをお送りしますが、『受験ジャーナル』は過去に6冊手がけているので「最低限の情報が伝わればいい」というラフ加減です。
雰囲気としてはこちら↑や、2020年の『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』のように輪郭線をきっちりと描ききらないタッチであることをお伝えします。
この時点で「人物の顔も見えないしミステリアスすぎるかな、もっと明るくナチュラルなカラーリングの方がいいかな」とも思いましたが「自由に」と言っていただけたのでまずは描きたいものを描いて提出しました。
自分なりにちょっとだけ攻めた表現にしたつもり。
ダメならリテイクがくるはず!
3:フィードバック(約1週間後)
デザイナーさんのご意見。
配色をまるっと塗り直すことになるかも、とも考えていたのですが最初の案を尊重してくださいました。ありがたい!
以下は具体的なご要望。細かいところまでご配慮くださっています。
編集さんともご相談し、Cの「空中廊下を近づける(拡大する)」のはいい塩梅を探るのがスケジュール的に難しそうだったので、AとBだけを反映させる方向にさせていただきました。
(バランスを取るのが難しそうな構図にした私のせいなのですが、空中廊下がこれ以上近づく(大きくなる)と手前の人物と被ってゴチャつきそう・ビル街がよくわからなくなりそうで…)
余談ですが「犬だけでもカメラ目線にしたほうがいいですかね?」とも伺ってみると「たぶん犬も窓の向こうの彼女が好きなのでこのままで」というお返事をいただいてなんだかほっこりしました。
またこの時点でのレイアウトラフもいただきました。
タイトル以外の文字情報が入るとしたらこんなかんじか、というのがざっくりわかったので細部を書き込む際の参考になりました。
4:納品(ご依頼から約1ヶ月)
青紫色の陰の印象に負けないよう、やわらかな光を感じられるよう意識しながら描きました。
場合によってはドーナツやマグカップのあたりに文字が被っても(何か細々とした物が置いてあることだけ伝われば)いいかなとも思っていましたが、特に修正もなくそのまま使っていただけました。
5:完成
ミントグリーンが爽やかです!
入り組んだ絵を描くときは(上に載った文字がちゃんと読めるように)色数が多くなりすぎないよう気をつけているのですが、デザイナーさんが仕上げられたものを拝見すると「なるほど、こんな組み合わせをすると映えるのか」とハッとなります。
実物も発色が綺麗。
ちなみに写真では見えないけれど、背表紙は濃いブルー→ミントグリーンのグラデーションカラーを敷いています。これは今までにはなかったアレンジだそう。
↑令和2年度(右)は屋外から見た構図・3年度(左)は屋内から見た構図で、カラーリングなどもろもろ対になっています。
また青年が手を振る窓の向こう、空中廊下を歩きながら手を振りかえしている女性。実は令和2年度の真ん中にいる女性と同一人物という設定です。
よーく見たら手を振りかえしてるな、とわかる程度のサイズなので自己満足ですが。
本書を手に取る人には「勉強中の青年が外の世界(将来)に目を向けている」というイメージが伝わればそれでいいかな、というかんじです。
今回もとても楽しく描けました。
二十歳そこそこの頃はこんなふうに物がギュッとひしめいた部屋に憧れていたなぁなどと思いながら。
ありがとうございました!