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肌のテクスチャーを選びましょう

2019/07/09

 出版編集A、14回目の授業。今回は、最終課題

「noteともう一つ,あるいは複数のウェブサービス,もしくは,アプリを組み合わせ,自分の考えを「好き」を超えてうまくパブリッシュ=公開できるような仕掛けを考え,かたちにする.」

で、考えて試してみた成果物を紹介しようと思う。

 前々回、前回と最終課題案を練っていたけど、なかなかいいものが思いつかず止まっていた。今朝やっとピンときたものが思いついたので授業中に作ってみた。
dropbox paperの一番上に出した案と、このサムネイルに表示されているGIFになっているものがそれだ。(GIFアニメーションを作って、このnoteに載せるつもりだったけど悲しいことにアップロードできなかった)

 まずこちらを見てもらいたい。

文字化けしていることには触れず、今回新しくinstagramのアカウントを作った。そして今回はそのInstagramで新しく作ったアカウントをメインに使って課題に取り組んでみた。(一応Instagramの他にGIFをつくるところでGIPHY CaptureやGIFを圧縮するwebサービスなんかも使っている)

 投稿を見ると一見平凡で普通なinstagramの使い方をしている。見てわかるように、化粧品のテスターを撮影して投稿しているのがなんとなく分かる。

 そしてここでようやく私がこの課題で何をやったのかという説明に至る。

Instagramで化粧品テスターについて全く役に立たないレビューをする。そしてこれらの投稿をnoteを用いて、自分なりにどういうことを感じたのかまとめてみる。

 なぜこんな目的が不透明で、どこら辺が”好き”なのかわかりづらいものをつくるに至ったのかの経緯を説明する。ざっくり言えば、2つの”好き”を合体して考えてみた。いつかのnoteで書いたように私は自由に与えられたテーマの中で何か1つに絞ることがあまり得意ではないので、なんとかやってみた。

1つは、化粧品が好きだということ。
2つめに、役に立たない情報が好きだということ。

 化粧品が好きな理由は自分が化粧することが好きなことと、商品のパッケージやデザインが美しいからだ。今回はデパコスと呼ばれる価格が高めでデパートに入っている化粧品のブランドのテスターを取り扱った。
(ファンデーションやBBクリーム、下地のテスターが多いのは、まあまあな確率で買い物をした時店頭で貰うことと、旅行の時に使おうと残し結局旅行でも持って行かずたまってきているから。)

 役に立たない情報というのは、ほぼ生活するにおいて無駄と呼ばれるもののことだ。いらないものと切り捨ててしまうとそれで終わってしまうのが役に立たない情報や、無駄なものだ。
だけどそこに自分で意味や価値、もっと堅苦しさを除けばなんとなく良さを感じると自分が思った途端、これらのものは自分にとって大切な何かになったり素材のネタ・アイデアになる。こういう風に感じるから私は役に立たない情報が好きだ。

 手順はこんな感じ。

⑴ 手元にあるテスターを持参
⑵ 教室でそれらを撮影し、Instagramに記録する形で投稿
⑶ 投稿した写真に、テスターを使った感想や、特に調べたりせずこれら
 テスターの外見からどういう印象を感じたか短いレビューを添える

 ではここから、実際に投稿を4つ取り上げてみる。

 我ながらレビューとは何なのかと感じる。この投稿を化粧品のレビューだと思って見たらは?と思うだろうな。
父が建築関係に携わっており建築素材?の見本が家にあるため、もし自分が化粧品を知らない人間だったらこう思うだろうなと感じた感想だ。

 安直な感想だけどこれしか思いつかなかった。他のテスターが黒やシルバーのパッケージのものが多かったから余計にそう感じたのかもしれない。あと何となく叶姉妹のイメージがあったけどコメント欄に残すのは気が引けてタグ付けにしておいた。

 このテスターは最初見たとき、Wordみを感じたがそれよりもこの形って何という疑問の方が大きくなったため感想というか思ったことをそのまま書いた。

 これもこのテスターから感じたことが他のイメージ、ここでは焼肉店の銀皿に盛られた生肉の新鮮さと繋がり、全く化粧品と結びつかなそうな感想が出てきた。

 ここまで投稿を見てきて、こんな全く化粧品の実際の機能や道具としての性能からかけ離れた感想が出たということが気になった。これはこの物の本来の使い方をせず、視覚的で表面的なところから自分が情報を得ようとしたからなのだと思う。
 これらファンデーションやBBクリーム、下地は本来、化粧品の1つであり主に肌の色を整えたり変えたり、紫外線や空気中に漂うチリや埃から肌を守ったり肌を整地する役割を果たしている。肌のテクスチャーを決めるようなものだ。しかしこういうことを私が知っているのは、自分が化粧をする人間のうちの1人だからなのだろう。

 もしかすると、化粧をしない人間がこれらの化粧品テスターを見た時同じようなことを感じるのかもしれない。そもそも肌に塗る物ということすら分からないので何が何だか分からない可能性もあるけれど。

 これらの投稿は化粧品レビューとしての役割はまるで果たしていないし、まさしく役に立たない情報であるけれどその代わりにこういった気付きがあった。

 そしてここまでの話と全く関係はないけれど、やっぱりブランド化粧品のテスターというだけあって、これらの写真が並んでいるだけでちょっといい感じに見える。写真自体の加工、フィルターや明るさの調整をもっと気にしていたらこれより統一性があって綺麗な感じになっていたと思う。

 しかしここで私がもう1つ思ったことがある。
実際ファンデーションを知っていても自分で化粧品の買い物をする時は様々な会社から様々なファンデーションが売り出されている。だから最終的に購入の決め手は商品の外見や雰囲気にも頼ることになるのだ。
確かに周りの声や評判、実際にカウンターで試すこともするけれど自分が面倒くさがりでめちゃくちゃに熱心な化粧品マニアでもないのでファンデーション選びがかなりめんどくさい。個人的に化粧品の中だと一番慎重に選びたいのに一番試すのが面倒臭い。

ということは、あながちこの一見全く参考にはならないこのレビューも、誰かにとっても自分にとっても1ミリも参考にはならないけど自分の購入選択に関係していそうだと感じた。
この投稿の中で自分が使った新鮮に感じる、とか高級に感じるという感想は化粧をする人間に対してポジティブな印象を与えるものだと思う。他の人は全く違うことを感じているかもしれないが、少なくとも自分には良いイメージに繋がるものだと思う。

 今回自分の取り組んだ最終課題の成果についてまとめる。

・化粧品テスターを撮影し、Instagramに投稿する

・投稿に使用した感想ではなく、外見のみから感じる感想を添える

・実際の機能、性能について全く関係の無い感想ばかりでる

・実際に全く参考にならないレビューができる

・化粧品の役割や偏見から離れてパッケージデザインに集中できる

・この投稿全体を見るとやっぱり多少良い感じに見える

・視覚から入る情報が商品の購買に影響していることを身を以て感じる

 最後に振り返る。これで自分の”好き”が他者に伝わっているかどうかは若干というかだいぶ怪しいけど、改めて自分の”好き”を取り上げてそれを誰かに伝えようとすることは難しいと思った。

しかし、誰かに何かを伝える時の色々なアプローチを自分自身で考える良い機会になった。自分にどれだけ好きなものや伝えたいことがあっても、それを自分以外の人間に伝えるには、伝えるまでの過程を工夫しなけれなば魅力的にとか十分には伝わらないのだなと感じる。

そう感じて、普段はほぼ口頭の会話や身振り手振りだけでコミュニケーションをとれる人間はすごい生き物なんだなとも思ったし、情報を編集する作業はそのコミュニケーションの上に成り立つさらに丁寧な作業なのだなと思った。他者を意識したり思いやることが編集というものの本質のような気がした。自分もこれから人に見せる資料や何かを作る時はこういうことを意識して作りたいなと感じた。