【韓国論文】語学学習において異文化理解をどのように扱えばいいのか
1.語学学習の中の文化理解
外国語をより深く学ぼうとすると、その言語がもつ文化についても学ぶ必要が出てきます。
中には、学習者がもともと持っている文化と相反することもあるでしょう。
それだけでなく、その文化を理解して語学学習につなげようとすると、単純な説明だけでは足りないこともあるでしょう。
今回は、学習者に異なる文化をどのように教えていくのがいいのかを欧米の教育システムと比較しながら模索した論文を共有します。
共有する論文:ユ・ヒョンジョン「韓国語教育分野で韓国文化教育の目標と方向設定に関した考察―アメリカ、ヨーロッパの文化教育の比較を中心に―」
2.文化比較的視点を取り入れて
この論文は、韓国語教育標準モデルの文化領域をアメリカやヨーロッパの言語教育指針と比較して、言語教育における異文化理解に関した全般的な認識と異文化理解における目標や内容選定などを調べることを目的としています。
アメリカとヨーロッパは、早くから多種多様な言語を使うことや多文化に関連した研究が発展してきました。
これらの言語教育の指針を韓国語教育と比較、検討していきます。
比較対象は、アメリカの「国家外国語学習標準(NSFLL)」とヨーロッパの「ヨーロッパ共通参照基準(CEFR)の中の異文化理解の項目です。
それぞれの異文化理解における内容の特徴は以下の通りです。
韓国語教育分野は、主に学校教育の効率性を中心に異文化理解の目標と内容を提示しています。
これと比較すると、学習者の生涯教育の次元で学習が繋がっていくように、長期的な目標を設定している点が注目すべき違いだといえます。
論文の筆者はこのように、欧米の教育システムと比較して、韓国のシステムが参考にすべき相違点を以下の3点挙げました。
論文の筆者は、この研究は、韓国語教育分野の文化教育を欧米の外国語教育と比較して、学習者に相互文化的観点を通したコミュニケーション能力を身につけられるように、方向転換するべきだと提案し、具体案を模索したところに意義があるとしています。
これと同時に、今後も継続的にこのような研究が行い、教材内容を見直す必要があると主張しました。
3.文化を知ることはその言語の考え方を知ること
教育システムを考える時、どうしても教室での活動に考えが行きがちです。でも、学習者の立場で考えると、教材を終えたら学習が終わるわけではなく、その外国語と長い付き合いになることもあると思います。
また、表面的な理解では、その言語に現れる文化に気付くことも難しいでしょう。
例えば極端に言えば、日本語には本音と建前があるから日本人は二重人格だと、いったような偏見に繋がる危険性もあります。
外国語学習における異文化理解は、その言語の考え方や物の見方を知ることで、円滑なコミュニケーションができるようにしようというものです。
そのため、文化を教える時は柔軟にかつ慎重になるべきです。
もちろん文化に優劣はなく、学習者が前から親しんでいる文化も尊重するべきですし、多くの学習者はその文化の違いによるカルチャーショックから異文化に深い興味関心をもつと思います。
これを入口に単なる事象で終わらせるのではなく、その言語を話して生きている人間のこととして考えられるように手助けをする教材になっていくことを期待します。
論文
ユ・ヒョンジョン「韓国語教育分野で韓国文化教育の目標と方向設定に関した考察―アメリカ、ヨーロッパの文化教育の比較を中心に―」『漢城語文学』45巻、漢城語文学会、2021年、pp.223-250
유현정 「한국어교육 분야에서 한국문화 교육의 목표와 방향 설정에 관한 고찰 - 미국, 유럽의 문화교육과의 비교를 중심으로 -」『 한성어문학』vol.45, 한성어문학회, 2021년, pp. 223-250
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