座談会『イノベーションエコシステムの創出』
本日のゲストスピカーは、地域の起業家応援団として「地域の土づくり、土壌づくり」をモットーに大活躍中の土屋 俊博さん。
先日の中小企業経営診断シンポジウム2020の成果発表会では、土屋さんの「しごとを育て、ひとを集め、まちを創る~首都圏から地方創生を実現する、ポスト2020の地域支援メソッド」が優秀賞を獲得されています。
(おめでとうございます!!)
土屋 俊博 様
大手電機メーカーに入社後、経営企画、新規事業企画等に従事し、2019年6月より内閣府に出向。政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 政策調査員 として科学技術・イノベーション関連政策の検討に関わる傍ら、地域での若者の起業・チャレンジを支援する取組を2020年から開始。中小企業診断士。
https://note.com/office626
今回は、ノリにノッている土屋さんに「イノベーションエコシステムの創出」というテーマで話していただきました。
以下、土屋さんの講義の概要です。
1.起業・創業の実態、どうなのよ?
まずは、統計データなどを使いながら、起業・創業の実態をわかりやすく解説。
・近年の開業率は下降気味
・起業希望者・起業準備者・起業家 とも下降傾向。でも、起業準備者に対する、実際に起業する人の割合は増加傾向
・日本のVC等による国内向け投資金額と投資件数は増加傾向
・学生の起業意識は高まりつつあるけど、まだまだ小さい
・起業しやすい都市ランキングで「東京は15位」
・国際的にみて「起業意欲」が低い
などなど。
統計的なデータなどを丁寧に見ていくと、実は「日本の起業するポテンシャルは高いのではないか」という「問い」が出てくる、とのこと。
2.創業支援の政策のあり方
次に、内閣府や経産省などスタートアップ関連の公開資料をもとに、イノベーションエコシステムなど、最新のスタートアップ支援政策のポイントを紹介。
なぜ今、イノベーションエコシステムの強化が必要なのか、「これまで」と「これから」のイノベーションエコシステムの違い、目指すべきイノベーションエコシステムなど、最新のトピックを交えて解説いただきました。
(参考のWebサイト)
3.地域での起業・チャレンジ支援をはじめてみた
土屋さんは「地域で経済をもっと回せないか」という考えを持ちながら、地元の千葉県流山市で起業家支援を実践しています。
これからの日本の高齢化社会を考えると「はたらく若者がますます、大切。地域で支え、応援せねば!」という想いからターゲットを大学生に設定。その想いをカタチにしたのが「夢まちラボ」です。
中小企業診断士、税理士・公認会計士、証券会社、ITなどの専門家が集まり、大学生の起業支援をまちぐるみで応援しています。
夢まちラボで、やりたいことは
「”あなた”を”応援”したくなる人に」
これは「起業家になりたい人」を「周りから応援したくなる人にしたい」という想いです。そんな人材を育てるためのオンラインスクールのコンテンツも作成。「応援したくなる人」になるには、ロジックや数字よりも、実は「熱さ・マジ度合い」などの「マインドセット」が大切だといいます。
夢まちラボの立ち上げ時には、クラウドファンディングで地域の方から支援を受けて目標達成額205%するなど、大きな成果をあげながらも「アイデアコンテスト」は、うまく応募が集まらなかったり、とまさに試行錯誤しながらチャレンジしています。
土屋さんのビジョンは「新たな事業を地域で生み出すこと」だけでなく、支援した側も「地元への愛着意識」が生まれ、より地域とのつながりが深まること。その取り組みが増えことで、地域に事業者や支援者をさらに呼び込み、資金や知恵が還流するサイクルを生み出せたらいいな、と語ります。
4.診断士としてできることは
最後に土屋さんからディスカッションテーマの提示。
「創業支援」「スタートアップ支援」と言っても、支援のフィールドはさまざま。フォーカスする領域によって、支援するターゲットも違ってきます。
また、多くの打席に立つためにはどうするか(創業支援に自身がどうかかわるか)、どう創業支援で収益化させるか、なども問題提起されました。
最後に
今回は、最新の創業支援政策から地域の創業支援まで、幅広いテーマで話をしていただきました。「地域愛」にあふれる土屋さんの「創業支援を通じて地域の経済を回し、地域の魅力を高める」という考え方に自分も深く共感。
最後の「診断士としてできることは?」というテーマは、改めて参加者一人ひとりに気づきのある「問い」だったのではと思います。
診断士の仕事としては「稼げない」とも言われる創業支援ですが、地域へのインパクトや新しいビジネスを応援する支援の醍醐味は大きいはず。創業支援の収益化も引き続き、考えていきたいです。
本日は出張先の会津から、ありがとうございました!