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絵空事 -前日譚-

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自創作『絵空事 -十六夜月と銀の翅-』シリーズの【-irreal-】の前日譚にあたる物語たちです。【蒼ノ章】【白ノ章】【紅ノ章】【玄ノ章】【黄ノ章】に分かれております。
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2020年9月の記事一覧

絵空事 -remota- 第1話「実らぬ穂」

とある一族に伝わりし伝承 されど偽りか真かは、当事者にしか判らぬ噺 *** どこか深い山…

絵空事 -remota- 第2話「銀と狐」

「…雨宿りかい。それは、大変だったろうねぇ。山の中で、こんな雨に降られては。…それも、君…

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絵空事 -remota- 第3話「月と翅」

夜が明けて、洞の中にも光が差し込みました。 銀翅の結界があるためか風は吹き込んできません…

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絵空事 -remota- 第4話「銀の穢れ」

銀翅は、式神を用いて山に家を造らせ、そこを住む処としました。村に本来の家がありましたが、…

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絵空事 -vana- 第1話「葵の葉」

とある一族に伝わりし伝承 されど偽りか真かは、当事者にしか判らぬ噺 *** 「…なあ、ガ…

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絵空事 -vana- 第2話「葵と銀」

『…。飯…』 やがて、よい香りにつられたように、少年が目を開けた。 「もう少しででき上が…

絵空事 -vana- 第3話「落ちた穂」

――辺りはまだ暗い。 ゆるやかに目を開けると、いつものとおり、誰もが眠っていた。 ごろりと寝返りを打ち、天井を見上げる。 ――起きて何かをすると、二人の眠りを妨げることになるかもしれないな…。 そう思い至り、そのまま目を閉じて、外からの音に耳を澄ました。 木々のざわめき、風の音。――それでも妙に静かなのは、ひょっとすると雪でも積もっているのかもしれない。 寒くはあれど、冬は嫌いではない。 何事もなく、静かなのは好いことだ。冬は、よりその静けさが際立つ。 獣のうちにも、

絵空事 -vana- 第4話「鉄と葵」

そうしておれは、山で出遭った夫婦に礼を言い、山を越えた。 「おいあんた、見ねぇ顔だな。何…

絵空事 -himno- 第1話「流れ者」

とある一族に伝わりし伝承 されど偽りか真かは、当事者にしか判らぬ噺 *** おかしい。 此…

絵空事 -himno- 第2話「意思」

それから、数日したのち。 日が暮れる頃になってから、男はまたも、私の山に踏み入ってきた。 …

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絵空事 -himno- 第3話「満ちる月」

「それにしても、あんた…、のこのこうちについて来て、大丈夫かいな。」 よくよく考えると、…

絵空事 -himno- 第4話「欠ける翅」

銀翅の声を合図に目を開けると、がらんと開いていた筈の地には一軒の家が建っていた。 「…よ…

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絵空事 -himno- 第5話「畏怖」

「――という訳で、暫くこの地で世話になる事になった。宜しく頼む」 『…は、はい。承知致し…

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絵空事 -eclipsar- 第1話「祓」

とある一族に伝わりし伝承 されど偽りか真かは、当事者にしか判らぬ噺 *** ――こんな世など、壊れてしまえば良いのに。 時折、そう思う事があった。 或いは、これは単なる私の夢想かもしれない。 ほんとうのことは、きっともう、誰にも判らないだろう。 *** 「十六夜。――少し出かけてくるよ。」 「は? こんな夜中に、どこ行くん?」 「少し、印が解けそうな処があるんだ。…危ないから、直ぐに済ませてくるよ。」 「…、ふぅん。――気ぃつけてな。」 「ああ。有難う。――直ぐ