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農作業から仕事の自信が付く 非電化工房住み込み弟子の記録 8/21~8/27
農業と台風
こんにちは。
非電化工房住み込み弟子の宮地です。
今週は台風でした。雨風が強い。都会に住んでた頃ならなんとも思わなかったけど、農業をやると思わずにはいられない。「苗飛んでないかしら」「実は落ちてないかしら」「ハウスは倒れてないかしら」。こんなに天候に敏感になるなんて…
それで21日、畑。ああ、きゅうりの支柱が崩れてる…
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重くなったきゅうりの上に、強い風が吹いたからでしょう。
まあ元々、支柱が細くて弱々しいというのが一番の理由…だからヘチマの支柱も壊れたんだよなぁ〜。
育てるには、支えが弱い。台風が教えてくれました。
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疾風怒濤…ワークショップ準備!
さてさて、今週の非電化工房では、ワークショップがありました。
参加者の方はとても熱心で、力量不足の弟子はてんやわんやです。
でも、当日以上にやばかったのは、準備です。
たかが準備で何が…。いえ、準備の中身は、色々なんです。
今回のワークショップは、太陽熱温水器です。太陽熱で温水を作るものです。
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下のホースから水が流れ、ペットボトルに詰まっていきます。一杯まで入ったら、太陽光にあてて、あったまるのを待つだけ。終わったら、新しい水を入れ、温かいのは左上の隅のノズルから出てきます。入れ替えるってことですね。先生によれば、40度まで上がるのだそうです。
写真には載ってませんが、ペットボトル周りの空気熱が出過ぎぬよう、ポリカーボネートの波板を被せます。
これと同じものを参加者も作れるよう、準備します。
まずは、ペットボトルにコネクタを通すため、キャップに穴を開けます。
最初は、ポンチ(後に紹介)を使って開けていったのですが、これが大変。力が必要だし、一個作るのにとっても時間がかかる。小一時間やって、これじゃあ間に合わないと気づいたので、先生に相談しました。
そこで、ドリル。ドライバードリル(これも後に紹介)を使い、開けようとしました。しかし、万力で固定したキャップがずれてしまう。ドライバーの勢いが強くて、動いてしまうのです。固定する方法を思案しましたが、アイデア浮かばず疲れるだけ。また先生に相談です。
そうしたら、ドリルと言っても、ボール盤を使ったドリルだと。
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レバーを手前に回すことで、先っぽにつけたドリルが降りていきます。降りる先には固定できるテーブルがついていて、そこを垂直に降りていきます。これならズレないです。
使い方。まず、先っぽにつけたいものを取り付けます。
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仮に動かしてみて、左右にぶれないかみます。ちゃんと垂直に装着しているかです。次に、テーブルに固定した先が目的の位置になるよう動かします。テーブルの位置や穴を開ける物体の位置はもちろんのことですが、物体の高さも大事です。ステップドリルで穴を開けると、テーブルの底に食い込んでしまいます。だから、浮かす必要がある。今回は材木を敷きました。キャップより少し小さくします。キャップをしっかり挟んで、固定させるためです。
そしたら、どんどん動かします。開けたい大きさに削ってく。コツは、ドリルの自然な重さでレバー操作すること。レバーだから無理やり押し込みやすいのですが、穴が歪んでしまうことがあります。
こうして、キャップは作成することができました。穴を開けるだけなら簡単です。でも、残り時間がある。準備を始めたのは三日前から。一日目の午前は、お客さんへの対応で終了。午後イチで先生からワークショップの説明。それからの作業です。今話したように、作るものはわかっていても、使う道具は自分たちで考えたりします。どうしたら早く終わるのか。それを実現する道具は何か。毎度毎度、方法から考えなくてはいけません。
お次は、ペットボトルのコネクタ部分からの水漏れを防ぐよう、シリコンパッキンの作成です。
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パッキンなんて売ってそうなものなのにと思うかもしれませんが、欲しいサイズのパッキンはなかったりします。それで、作ってしまうんですね。作るのは作品だけでなく、部品も。
使用する道具は教えてもらいました。パッキンポンチです。
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ポンチとは、底にゴムの板を敷いて、板の上に乗ったものに穴を開ける道具です。金槌を上部に打ち付けて使います。
大事なのは、打ち付けた時、水平に食い込むかどうかです。そのためのコツは、打つ前に、ポンチをしっかり水平に当てるということです。
そのポンチで、パッキンを作れるのがパッキンポンチ。
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パッキンは、大きい円の中に小さい円があるものですから、そのサイズに合わせたポンチを使うのです。サイズ付け替え可能なポンチが、パッキンポンチです。
これは数が多い。ペットボトルのコネクタは、蓋と底に使います。なので一本で2個。ペットボトルは、太陽熱温水器一つにつき24本なので、一人48個。それの参加者が10人なので、全部で480個です。しかもポンチは一つだけ。弟子と協力して、他の作業と並行してやりましたが、準備二日目の夜までかかりました。
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パッキンの部品以外に、ネジも足りませんでした。なので、ネジも作ります。
ネジロックという接着剤を使い、ネジの頭をつけていきました。
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こうして、当日直前、最終日。ペットボトルの底に穴を開ける作業を始めました。
最初は、ポンチで穴を開けてから、一本の真っ直ぐなドリルで開けていこうとしましたが、開かない。なので、中間のサイズのドリルでやってみました。するとなんとか空きましたが、穴が汚い。食い込んだ跡(「バリ」)が残ります。それでサイズの組み合わせを色々試す。それでもうまくいかない。
時間を食った気がしたので、先生に相談。ハンダゴテとステップドリルを使う方針になりました。
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ハンダゴテで、穴を開けます。
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そうしたら、ステップドリルをつけたドライバードリルで穴を開けます。
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ドライバードリルは、先っぽを替えられる電動回転の道具です。コツは、先っぽの当たる感覚で垂直なのかがわかるかです。目で見るだけでは一方向しか見れません。なので感覚です。
穴を開けた後、どうしてバリができます。そこで、バリ取り機を使う。
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穴に差し込み、張りのある周りに当て擦ることで取れていきます。やりすぎると広がてしまうので、一周ずつ回して、確かめるといいです。
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この穴あけ作業は、ペットボトル240本。終えた頃には、最終日の夜中に突入していました。
これで終わりではありません。まだ手をつけてない作業がありました。
土台作りです。
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この手の四角いものはよく作っていました。だから、作れることは間違いない。けれど、今から部材を切るところから始めて、一体何時に終わるのか…。全部で10個。後2時間で朝。途方に暮れそうになりましたが、やるしかないのでやります。
裏に貼ってあるベニヤ板は、電動丸ノコで切りました。
木枠は、卓上式スライド丸ノコで切ります。
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普通の丸ノコと違うのは、丸ノコ自体に固定できるフェンスが付いていることです。写真のように、木をあてることができます。また、手前までスライドすることができますので、多少の長さのものなら切断できます。
使い方です。まず、歯を動かしてみて、緩くないか確認します。次に、部材を当ててみて、その歯の半径で切れるか確認。それで初めて電源を入れます。
木をフェンスに当て、歯を下ろします。この時も、手が巻き込まれないか確認です。そして、スイッチを押さず、歯だけをスライドさせてみる。イメージ通りに切れるかみます。
そしたらOK。切ってきます。コツは、フェンスに当てがっておくことです。木がズレなければ、その通りに切れます。
同時並行で、ポリカーボネートの波板も切っていました。
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こうして、諸々の作業を終え、時計を見ると朝の7時(笑)。後3時間でワークショップです(笑)。
限界の頭で、会場セッティング。いや〜、本当に間に合ってよかった。マジで疾風怒濤の三日間でした。
ほらまた空いた…デッキのパッチワーク
土曜日のワークショップが無事終わり、翌日はそれ以外の仕事。
今回はカフェデッキ。連日の雨で傷んでしまい、至る所で怪しい箇所が出てきました。
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穴が空いているところを見つけては、その大きさにあった板を貼っていきます。
使う道具は、インパクトドライバー。先ほどのドライバードリルと似たような形状をしていますが、装着できるのはネジを回すドリルだけ。いわゆる電動ドライバーです。
コツは、ネジと先っぽのドリルが、一体になっているかを感じることです。
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もっと大きなものを打つときは、途中まで食い込ませる仮締め、全体の位置を確実にした後、最後まで打ち込む本締め(「二本締め」)。
慣れた作業ですので、ちゃっちゃかちゃっちゃか埋めてきます。終わって見渡すと、素敵なタイルの床が広がっていました。
ついに雨が降ってきて…ビオトープ化する畑
この日の夜、とんでもない量の雨が降ってきました。道中車で移動していると、至る所で大きな水たまり。バッシャーンするアトラクションの繰り返しでした。畑大変なことになってるぞと思い、覚悟していました。
翌朝。
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なんじゃこれやぁ!!
池ができてました。畝が見えない。水から野菜が生えている。ビオトープです。
しばらく立ち尽くしたあと、正気を取り戻し、とにかく水を抜く方法を考えました。
そこで、水を逃す穴を畑の側面に掘ることに。
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おかげで、夕方には畝全体が見えるようになっていました。よかったよかった。
支柱と仕事
よくなかったです。またヘチマの支柱が崩れてました(笑)。
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支柱をまた入れ、
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ほら元通り!
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この一週間は、支柱に始まり、支柱に終りました。
強い風で倒れかけ、それでも新しい支柱を入れて太くなる。
ワークショップの準備も同じ。時間の限りがある中、何度もうまくいかないことが起きました。けれど、そこには弟子の協力があったり、先生のご指導があったりして、なんとか間に合った。仕事をやり遂げることに少し自信を持てました。
会社で働いていた頃は、そんな自信一欠片もありませんでした。しんどいから中断する。眠いから中断する。でもそれは仕方のないことだと思っていました。
今にして思います。その時の僕には、しんどくても頑張れる仲間がいなかった。頭がピンチの時お手本に出会うことがなかった。
仲間とお手本。これが、仕事の自信を支える支柱なのかも。