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たべること つくること

「きょうのごはん、なに?」と聞くのは我が家ではNGワードになっています。とはいっても、そんなのお構いなしで子どもは毎日「きょうのごはん、なに?」と聞いてきますが。

私自身はたべることも、つくることも好きですが、毎日の日課のようになると話は別で、おまけにコロナによる自粛生活で学校が休校となり、毎日毎食、自分以外の家族の献立を適当に済ますことが出来なくなりました。

自分ひとりだけなら残り物で済ますとか、コンビニで買ってくるとかできるのですが、家族がいると、特に子どもがいると、野菜も、栄養のバランスも、好き嫌いもといろいろ考える必要が出てくるからかと思います。ここに夫や高齢の祖父母が加わると、みんなが食べられるものという制約がかかり「あぁ~」と、大きなため息が出ることになります。

作る作業よりも、考える作業の方がよりめんどくさい

毎日の食事の担当は女性、特に母親が担うものではないと思っています。やれるものがやれるときにすれば良いと思うのですが、日本の社会は男女問わず労働時間も長く、とりわけ男性に家事をする時間がほとんどないというのが実情かと思います。コロナによって期せずしてその時間が作れるようになった家庭も増えたと思うので、この機会に誰もが食事を作れるようになると一人の人にかかる負担も軽減されるかもしれません。

我が家についていえば、子どもが小さいころは私が仕事後子どもを保育園へ迎えに行って、そのまま晩ごはんを作って食べるというのが日々の流れでした。仕事からの一連の流れで進めないと、作ること自体が億劫になってしまいます。「空腹が最良のごちそう」とはよく言ったもので、お腹がすいているからこそ作る気にもなれます。食べたいものしか作りたくないので、買い物も特売とかはあまり気にせず、なるべくその季節に手に入る旬の食材を使うように献立は考えていました。

子どもを大切に思うからこそ、子育てについてこだわりも出てきます。特に食に関してはアレルギーや宗教上の制限も出やすく、食材の鮮度や安全性などこだわりだしたらきりがありません。自分で納得してできる範囲では問題ありませんが、それが少し窮屈になるとストレスに感じるようにもなります。なので私はとことんこだわるのではなく、ある程度割り切って考えていました。


保育園生活を始めた頃に買ったレシピ本

〔働くおうちの 親子ごはん〕
著:田内しょうこ

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タイトルにも心惹かれたのですが、私がグッときたのは以下の文章

うちの子はお店に囲まれた街育ち。すぐに「買おうか!」と言います。「買おうか」ではなく「作ろうか」と言える回数の子になってほしい。そんな親の期待を込めて、作る姿勢を見せたいと思っている作業のひとつです。

今の子たちは買う経験は豊富にあるのに、作る経験はとても少ないというのは当時の私も感じていました。作る事ってクリエイティブで楽しいのになとも。そんな気持ちもあって、何気に買っている調味料なんかも「これ、作れるかな?」と検索しては、よく手作りしていました。それは今も続いています。

ある時、いつもの食事中にふいに我が子から「かあちゃん、またこれつくってな!」と言われて、自分の子育てにご褒美をもらったようで、力みがちな子育ての力がふっと抜けたのを覚えています。

子育てに正解はなく、なかなか自分で良しとは思えません。もちろん、他人から良しと言われることも少ないと思います。それが、子育てのしんどさでもあります。だけど、時にはこれでいいんだなと思えないと前に進めなくなってしまいます。

食べることは命に直結するからこそ、それぞれのこだわりも食の文化もいろいろあります。そのいろいろを実感して、楽しめるのが一番いいなと思うのです。



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