老いるとは (Ⅶ)
受精の季節(時期)
今回の内容は、若い頃に聞いたエピソードをもとにした話であることをあらかじめお断りして置きます。
私は小児科の専門医であると共に、若い頃は産科医からの依頼があれば24時間いつでもドクターズカーで新生児の搬送を行い、リスクのある分娩があれば立ち会って「 後遺症なき生存 」を目指していた新生児科医でもあります。
何故こんな長い前置きをしたかと言うと、今回の話が興味本位のものではなく、真面目な話としてお聞き願いたいからです。
以下の言葉を発した人は、多くの赤ちゃんを取り上げてきた80歳代のおばあちゃん助産婦さんの言葉です。
人間にも 『 受精の季節(時期) 』がある。
人目を気にせず手をつないで楽しそうに歩いている男女の姿を見ると、おばあちゃん助産婦さんがおっしゃっていた 『 受精の季節(時期) 』という言葉を私はいつも思い出す。
綺麗になるホルモンや元気になるホルモンもこの二人を後押しする。
『 受精の季節(時期)』とは、子孫を残すための伴侶を探す季節(時期)と、言い換えることができるかもしれない。
受精の季節(時期)はやがて終わる。
人生の終わりが近い年齢になって振り返ってみると、思い出の多くはこの時期に集約していたように思う。
つまり、この時期をいかに充実して過ごすかによって、後の人生の豊かさが決定されるのである。
「 おばあちゃん助産婦さんは、若い人にそのことを伝えたかった⁈ 」と私は勝手に思い込み、このエピソードは是非書き残して置かなけばいけないと思うようになった。
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